いつもの駐車地点に来てみると懐かしい顔ぶれが揃っていた。挨拶などをかわしている間にも次々と車はやってきて瞬く間に駐車スペースはいっぱいになる。福島、秋田、宮城、新潟と半分は県外ナンバーのようだった。天候はあいにくの雪模様で時折風雪に晒された。スキー用具などをあわててザックに詰め込んできたこともあり準備に時間がかかった。しかし今日は装備類の点検も兼ねてあくまで足慣らしである。無線を持つのも昨シーズン以来。いつも行動を共にしているメンバーを数えてみれば8名ほどいたのだが、準備を完了した者からのんびりと歩き出してゆく。久しぶりにスキーで歩く感触が懐かしい。いつのまにかスキーシーズンが自然と始まったのを実感した。
今回ははじめからシールで歩いてゆけるのがいい。林道の積雪は70センチ前後はありそうで深いトレースが姥沢へと伸びている。先行者がすでにラッセルしてくれているので後続はトレースにそって歩いてゆくだけだった。少しは交替したい気持ちもあるのだが先行者はかなり早く出発したらしく全然追いつけなかった。いつもの電柱下も積雪量は十分でこれぐらいあればらくらくスキーで滑ってこれそうだった。
姥沢が近づくにつれて風雪が強まってくる。正面の姥ガ岳は分厚い雪雲に覆われていて全く見えなかった。リフト下駅で一休みしているとブログで知り合った人から声を掛けられる。山スキーの世界は狭い。みんな考えることは同じだなあと思わずにいられなかった。リフト乗り場から鉄塔下の積雪はさらに増した。ラッセルしてくれているトップはかなりたいへんだろうと思った。リフト上駅には志津温泉から3時間かかって到着した。飛ばされるほどではないものの風雪は激しくなるばかりで月山の標識もうっすらと見えるのみ。予報では午後から回復するはずだったがそんな兆しは微塵も見られない。リフト乗り場の下に少しスペースがあってみんなそこに潜り込んだ。いつのまにか内部はコンパネでふさがれていてここだけは風雪も入らず別世界。この天然のシェルターを利用しながらしばらくランチタイムを楽しんだ。
鉄塔下は予想外のパウダーだった。途中で下った人のシュプールで雪面は少し荒れているものの積雪量が半端でないだけに少しも支障にはならない。普通の板ではなかなか快適な滑りにはならないはずで今日はファットを持ってきて正解だったようだ。久しぶりの浮遊感を楽しみながら鉄塔下を一気に下った。一方ベテランの山○さんが意外にも遅れているらしくいくら待っても降りてくる様子がない。あとでわかったのだが新調したウロコ板がほとんど滑らず難儀しているらしかった。まあこんなことも初滑りならではのプチアクシデントもいえそうだ。その後は電柱下を右へ左へと滑りながら降りて行き林道をショートカットしてゆく。最後の方になると太ももが攣りそうになり制動もほとんど効かなくなっていた。体調もいまひとつで、さらに体力がなくなっている中をなんとか下ってこれたのは、予想以上ともいえる積雪の多さと軽い新雪のおかげである。両足は痙攣寸前だったが終わってみれば豊富な積雪にも恵まれて例年にはないような快適な初滑りの一日となった。