【概要】
今日は高気圧に覆われるときき久しぶりの大朝日岳。古寺鉱泉の駐車場はほとんど県外ナンバーのマイカーでうまっていた。古寺鉱泉の裏手をすすみ尾根に取り付くとさっそく目の覚めるような色鮮やかさに圧倒される。歩いているだけで全身がまるで紅葉の絵の具に染まってしまいそうなのである。この時期の朝日連峰の豊饒さを思わずにはいられない。一服清水やハナヌキ峰付近も今が紅葉の盛りをみせており、いくら登ってもその鮮やかさは衰えることがなかった。このところの冷え込みもあって秋がいっそう深まっている気配が感じられた。
古寺山までくればさすがに紅葉も色あせてくるようになる。しかしそれが逆に心が落ち着いてくるから不思議だった。贅沢なことなのだがここまでのあまりに華やかさに感動し過ぎてしまったのかもしれなかった。穏やかな日差しがふりそそぐ小春日和の一日。葉のほとんど無くなったダケカンバの白い木肌も捨てがたい魅力に満ちている。こんな好天のもとを歩ける幸せを思わずにはいられなかった。小朝日岳は巻道を進み熊越から少し上がれば大朝日岳がもう正面となる。周りの灌木や草木はほとんど枯れてしまい雪を待つだけの風景が広がっている。このあたりでようやく登山者と行き交うようになった。好天が続く予報もあってみな小屋泊りのようだった。
大朝日岳到着は午前11時。予定よりもずっと短い所要時間に自分でもびっくりしている。特に急いだわけでもなかったのだが今日はそれだけ体調が良いということなのだろう。南方には鋭峰、祝瓶山がすっくと屹立し、その後方には飯豊連峰のシルエットが浮かんでいる。まわりを見渡しても吾妻連峰や蔵王連峰、月山、そして冠雪した鳥海山などの高山ぐらいしか見えない。気温が上がってはいないのか下界はまだ雲海に覆われているようだった。冬を目前に控えたこの光景を眺めるために今日は登ってきたのである。晩秋の朝日連峰をこころゆくまで堪能してから下山しようと決めてボクは山頂にザックをおろした。