【概要】
帰省中の長男が明後日には帰京するというので蔵王に出かけた。家族3人の山は久しぶり。当初はロープウェイを利用して三宝荒神山、地蔵岳、熊野岳とお手軽トレッキングの予定だったのだが、蔵王は分厚い雲に覆われていて天候はよくなさそうだった。念のためロープウェイ乗り場で聞いてみると山頂付近の視界はほとんどないという。まあ経験からいってもこんな場合の蔵王は濃霧と強風、悪くすると雨まで降っていそうなほどの悪天候のはずだった。とても山登りを楽しめる状況ではなさそうだったが、この蔵王連峰一帯を見回すと唯一瀧山だけが晴れている。長男の体力が心配だったがここは長短いろんなコースがとれるので今日の山を瀧山に変更した。
上ノ台駐車場に車を停めて登山口から登りはじめる。登山者はほかになく我々3名だけ。前回は瀧山〜ドッコ沼を7月中旬単独で縦走している。あのときは朝から連日猛暑日が続き熱中症が心配だったが、すでに8月下旬とあってその心配はなさそうである。早くもススキが穂をツケはじめており、山はすっかり秋の気配につつまれていた。
途中何回か休憩タイムをとりながら山頂には2時間弱で登り着いた。山頂では柔らかい日差しが降り注ぎ、時折心地よい涼風も流れていた。ボク達は誰もいない山頂にシートを広げる。ザックから食材を取り出せばのんびりとランチタイムだ。しばし3人で飯を食いながら語らいの時間。長男は久しぶりの山とあって結構疲れたのだろう。横になったなあと思ったらいつのまにか本格的に眠りはじめていた。
山頂では1時間ほどのんびりとした。後片付けを終えてボク達は中央高原への縦走路へと下りてゆく。前滝分岐の三叉路から右手へ下りてゆくとまもなく蔵王温泉への標識がある。ここは瀧山登山口の中で唯一歩いたことのない蔵王温泉からのコエド越えコースでもある。以前は廃道だった時期もあったらしいのだが、コースは予想外に明るく開放的で、廃道だったことなど微塵も感じさせないほど歩きやすい。コエド越コースは沢コースともいわれ、途中から涸れ沢をしばらく下るようになる。その変化もまた楽しいものだった。左手に沢音を聞きながら下ってゆくとまもなく瀧山ゲレンデの一角に飛び出した。すぐ近くではスキージャンプのワールドカップ会場で知られる蔵王ジャンプ台の工事が始まっている。重機の音をかたわらで聞きながら今度はこのコエド越コースから登ってみようか。そんなことを考えながら蔵王温泉街へと下った。