【概要】
久しぶりの北アルプス。後立山連峰は19年前(大昔!)白馬岳から五竜、鹿島槍、針ノ木岳、蓮華岳、北葛岳と縦走し、最後は七倉に下山する予定だったが、針ノ木岳で力が尽きてしまい扇沢に下山している。そのとき取りこぼしていた蓮華岳、北葛岳、七倉岳を登れるというので今回、山岳会の夏山合宿に参加したものである。ちなみにこの山域は後立山連峰でも最南端に位置しており、七倉岳からはかつて何回か歩いたことのある裏銀座コースにも接続している。なお蓮華岳から七倉岳間は強烈なアンプダウンと鎖場などの岩稜も多く、北アルプスでもマイナールートとして知られている。表銀座や裏銀座に比べて登山者は極端に少なく、それだけに静かな山旅を楽しめる。最終日は電気もなくポンプアップによる揚水もしていないという、囲炉裏とランプの宿として人気の高い船窪小屋に泊まれるというのも魅力のひとつだった。
初日はあいにくの雨。日本三大雪渓のひとつ針ノ木大雪渓を登りきって針ノ木峠へ。昼近くになって天候が急速に回復しみんなに笑顔が戻る。針ノ木小屋で一服したあとは午後から針ノ木岳を往復した。道中はいろんな花を愛でたり、雷鳥の親子と戯れたりしながら至ってのんびりムード。山頂ではもちろんプシュッ!。雪渓の雪でギンギンに冷やした缶○をみんなで回し飲みしながら登頂をたたえ合った。下山後、小屋前のテーブルで早速乾杯。思わぬお客様の飛び入りなどもあって宴会は大盛り上がりだった。
二日目は蓮華岳、北葛岳、七倉岳と縦走し船窪小屋へ。蓮華岳の山頂周辺ではコマクサの大群落に出会う。斜面一面に広がる様はまるで大絨毯を広げたかのような華やかさ。今年は半分あきらめかけていたコマクサだけに感激もひとしおだった。白いコマクサも初めて見た。七倉岳までは蓮華の大下りや鎖場、ハシゴ場が連続する難度の高い区間だが、上空には澄んだ夏空が広がり最高の山日和。後立山連峰はいうにおよばず、表銀座や裏銀座の山々、そして立山、剣岳、槍ヶ岳、穂高連峰、富士山などの大パノラマを楽しみながらの稜線歩きを堪能する。風は強かったが逆に下界の暑さとは無縁の涼しさに助けられた1日だった。下山後はまたまた小屋前のテーブルで大宴会。夕食後は囲炉裏を囲んでネパールティーを飲みながらのお茶会が催された。
三日目。夜明け前、小屋の小高いピークに登りご来光を待つ。すがすがしい朝の空気はなによりの山のご褒美。昨日まで残っていた雲はすっかり消えていた。暑くなりそうな予感がする朝だった。今日は七倉に向けて1400mの長い下りが待っている。展望の良い尾根歩きは天狗の庭辺りまでで、その後は木の根っこが張り巡っているという歩きにくい山道の連続。垂直に近いハシゴも数え切れないほどある。この尾根はできれば登りたくないなあと思っていると、意外にもチラホラ登山者もいて驚いた。その後も慎重に下りながらほぼ予定通りの4時間で七倉山荘に降り立ち今回の北アルプスが終了した。