【概要】
昭文社のエアリアで、未踏のコースとして残っていたのがデコ平口から登る西大巓だった。週間予報によると天候も良さそうだったのでこの週末はカミさんと登る予定をたてていた。デコ平湿原を起点に周回コースをとれるのも魅力的だった。登山口にはグランデコスキー場の駐車場から吾妻林道に入る。この林道は全長約6キロというから結構長い。悪路に近い林道だが乗用車でもなんとか入れるようだった。駐車場にはすでに10台前後あって、登山口の傍らには立派な案内板やベンチが設置されている。駐車場の片隅には仮説のトイレまであった。
デコ平湿原は登山口から歩いてすぐのところにあった。木道の両側はワタスゲの群落が広がっていてこの一種幻想的な風景に目を見張った。早稲沢口との分岐からゲレンデをいくつか横断するとまもなくゴンドラの山頂駅につく。そこでは鮮やかな草花が咲き乱れ、なだらかなゲレンデには「ブナの小径」などのハイキングコースが整備されている。テラスのようなところでテーブルに腰をおろししばらく一休み。登山者はほとんど登ってしまったあとなのかあまり人の姿は見られなかった。
山頂駅の道向かいにある案内板に従い右手に続く登山道にはいってゆく。ここからは本格的な山道となり勾配も徐々に増してゆく。自然石の階段の道が延々と続いた。偽ピークがあらわれるようになると高度もかなり上がったことになる。このあたりは山スキーで何度も通過しているので懐かしい場所。右手には西吾妻小屋や西吾妻山が至近距離に見えた。コバイケイソウやオニアザミなどを愛でながら進むと山頂はまもなくだった。
山頂にはほぼ3時間かかって到着。久しぶりのカミさんはかなり疲れている様子だったが、登り切った達成感はやはり格別なのだろう。登りの疲れも忘れてようや笑顔が溢れていた。山頂では360度の展望を味わいながらしばらくランチタイムを楽しんだ。
山頂からは周回コースの予定だった。最初は下りの地点がよくわからず余計な時間をとられて右往左往した。ほとんど地形図もみなかったのが間違いのもとだったのだが、あらためて地形図を再確認してからやっとうっかりミスに気付く始末だった。デコ平口へ下るもう一つの下山口を探していたのだがそんなものはあるはずもなく、早稲沢コースを下ってからデコ平口へと折り返すのだと初めて気付いたのである。思い込みというのは実に恐い。カミさんからは全く信用を失ってしまった。
なにはともあれ早稲沢コースは久しぶりに歩く。しかし、倒木や崩れた箇所もあって前回のイメージとはかなり違っていてとまどった。大きなアップダウンがいくつもあって、ただでさえ疲れていたカミさんはしだいに足も上がらなくなっていてすでに疲労困憊の様子。それに何回もの渡渉があるのもすっかり忘れていた。見るべきお花畑などはほとんどないのが予想外だった。恐怖の急斜面トラバース区間が何カ所もあり、さらには倒木の通過も簡単ではなく、ザックをおろして通過しなければならなかったのだ。道も不明瞭で疲れは増す一方だった。布滝鑑賞路に降り立ったのは2時間20分もかかってからだった。ホッとするとともにさすがに肩の荷が下りた気がした。
カミさんは一歩も動けない様子なのでしばらく布滝を鑑賞しながら一休み。布滝からは2、3分でデコ平への分岐点だが、ここからは疲れた体に追い打ちをかけるような急斜面の階段がドーンと目の前に現れる。それが終われば九十九折りの登りや階段がいくつも・・・。ようやく道が平坦になった頃には夕暮れが近づいていた。カミさんは頭痛を訴えはじめたが、水もほとんど底を突いてしまっている。そこからはダマシダマシ先を進むしかなかった。最後にデコ平湿原のロータリーを楽しむ予定もあったのだが、すでに周りは薄暗くなり始めている。分岐からは最短コースでデコ平口へと下ることにした。