【概要】
まだ通ったことがないという国道399号の鳩待峠をカミさんとドライブの予定で自宅を出た。鳩待峠はこれまで入り口付近までは何回も経験はあるのだがいつも冬季通行止めのためあきらめていた。
高畠町の中心部を抜け山道にはいると九十九折りが続く。予想外の急勾配で町並みなどはたちまちはるか下に見えるまでになる。ようやく最高地点に到着するとそこが鳩待峠駐車場だった。向こう側は宮城県七ケ宿町。軽トラや乗用車も止まっていて平日でも観光客はいるようだった。
小高い丘のようなピークがすぐ目の前にあり踏跡もしっかりと続いている。山の斜面を彩るオレンジ色の鮮やかな模様はレンゲツツジで今がまさに満開だった。目の前の高みに登ると全体が見渡せるようになる。なだらかな丘陵といった感じで先へのピークにつながっている。誰しも心が癒されるような牧歌的な風景はハイキングやピクニックにもふさわしいところだろうと思った。
鳩待峠は龍ヶ岳の登山口だったのを思い出し、はて?山頂はどこだろうかと眺めてみる。そこからはうっすらと山道が続いているようでもあったがほとんどヤブ道同然ということも聞いている。今日はあいにく山の予定ではなく、登山靴も地形図もカメラさえもない。しかし、せっかくの機会だろうと思い直し、カミさんには待ってもらうことにして、写真撮影用に携帯電話だけポケットに入れて登ってみることにした。
ハイキングのピークから先は道形が不明瞭となって行く。中間地点を過ぎると灌木のトンネルや背丈近い笹藪などが多くなり先々の不安が増していった。目の前のピークには目印や標柱なども無く龍ヶ岳はまだ先なのだとわかった。この先も小高いピークがあるようだ。そのアップダウンはたかがしれているのだが、道形はより不明瞭になりヤブ漕ぎの様相を呈してくる。赤布がところどころにあるのがせめてもの慰めだった。
龍ヶ岳には登り始めてから30分くらいでようやく到着した。ここは山形県と宮城県の県境ちかくにあり、福島県にも接している。山頂にはちいさな標柱と鉄棒、それに二等三角点の標石があり周りはわずかに刈り払われ広場になっている。立木はないので山頂からは予想以上の展望が広がっていた。右奥には高畠町の街並みが見えていて鳩待峠から南にたどると豪士山がある。この県境稜線は先の栗子山へとつながっていて遠方の吾妻連峰へと続く。天気がよければほかに蔵王、飯豊、朝日の山々をも眺めることができるはずだったのだが、今日は全体に風景は霞んでいて遠方の山並みはうっすらと見えるだけだった。
山頂からはふたたび藪道を進むため時間が結構かかった。952mPまでくれば急ぎ足も可能となり、ほとんど駆け足同然のようにして下った。それでも龍ヶ岳山頂から鳩待峠までは20分ぐらいかかった。