山 行 記 録

【平成27年5月24日/梅花皮荘〜西俣ノ峰〜頼母木山】



頼母木小屋(頼母木平から)



【メンバー】単独
【山行形態】日帰り
【山域】飯豊連峰 
【山名と標高】西俣ノ峰1023.2m、枯松峰1184m、頼母木山1720m
【地形図】(2.5万)長者原(20万)新潟
【天候】晴れ
【参考タイム】
奥川入荘5:50〜登山口6:04〜大曲り6:30〜十文字池7:00〜西俣ノ峰7:40〜枯松峰8:40〜大ドミ9:07三匹穴9:37〜頼母木平10:20〜頼母木山10:25-11:10〜頼母木平11:20〜三匹穴11:43〜枯松峰12:35-13:10〜十文字池14:27〜大曲り14:43〜登山口15:10〜奥川入荘15:30

【概要】
 西俣ノ峰から頼母木山コースはちょうど1週間前、体調不良のため三匹穴で敗退している。何とも情けない結果に内心忸怩たる思いがつきまとっている。この西俣尾根は冬山専用というだけあって大淵の町道が開通となる来週以降は見向きもされなくなるはずなのでいつでも良いというわけにはゆかない。さらに枯松峰の大雪原からみる杁差岳などは季節限定という魅力も捨てがたい。今回は是が非でも頼母木山まではゆきたいものだと出発を1時間早くした。

 たった1週間の違いというだけで景観は様変わりしていた。前回は西俣ノ峰までびっしりとあったカタクリなどはほとんどなく、かわりにコイワカガミやオオイワカガミが目立つ。前回蕾だったムラサキヤシオは今が盛りと咲き競っている。春山というよりはむしろ夏山の盛りといった雰囲気に近かった。また十文字池の融雪が進み池本来の姿が忽然と現れ始めている。西俣ノ峰まではほとんど夏道のみをたどった。

 西俣ノ峰からの残雪も激減していた。一見すると2メートル以上はなくなったような激変振りなのだ。前回、枯松峰まではほとんど残雪を歩いたというのが信じられないほどだった。西俣ノ峰からの夏道は初めてだった。おかげで真新しい山登りのような新鮮さなのだが、樹林帯の緑も多くなっていて杁差岳も前回ほどには見えなくなっている。枯松峰直下までくるとようやく残雪に上がることができるようになった。山頂からは杁差岳や雄大な飯豊連峰が至近距離に迫りその迫力には息を呑むばかり。雪解けが進んだとはいえ大雪原からの大展望には期待を裏切られることはなかった。尾根上を進むと早くも夏道が現れていて、枯松峰の登山道はこんなところにあったのかと認識を新たにする。傍らにはイワウチワがびっしりと咲いていた。

 枯松峰から先はほとんど夏道通しとなった。この辺りは前回ほとんど歩いていない区間だけに新鮮そのもの。しかし樹林帯の中だけに展望も少なくなり、蒸し暑さが際だってくるようだった。標高が1400mを超えるとようやく森林限界となり展望が広がった。稜線を流れる風は爽やかで汗を搾り取られていただけに生き返るような心地良さたった。

 前回5時間もかかった三匹穴には4時間弱で到着した。疲労感はあるもののいまのところ体調には問題はなさそうだった。ここまで来ると杁差小屋もはっきり見えるようになる。この常に寄り添う杁差岳に励まされながら登るのがこの西俣尾根の一番の魅力ともいえそうだった。この雄大な山岳景観と吹き渡る涼風は疲れた体を知らず知らず癒してくれている気がした。

 三匹穴からわずかに歩いてゆくと大きな雪渓が現れる。そこは頼母木山への取り付きのような急斜面で、まもなくすると前方から3人グループが下りてきた。大きなザックを背負っており一見して小屋泊りだったとわかる。昨日は石転ビ沢を登り梅花皮小屋泊まりだったという新潟山岳会の人たちだった。夏道に上がるといよいよ頼母木山が目前となった。一帯は笹ヤブだが、最近刈り払いされていて一見すると山道のようにはなっている。しかし藪こぎよりはちょっと増しといったもので、なぎ倒しただけのような笹薮は滑りやすいうえに歩きづらく、ここではかなり閉口させられてしまった。なんとか登り切ったところが頼母木平だった。右手にはマッチ箱のような頼母木小屋がありその背後に聳えるのは二王子岳のようだった。頼母木山の山腹をトラバースして縦走路に合流すると山頂は目前だった。

 頼母木山到着は10時25分。三匹穴からはおよそ50分かかった。とりあえずザックをおろして大休止である。さすがに疲れ果ててしまい一歩も動けなかったが久しぶりに味わう達成感に満たされる。ようやく手にした山頂からの大展望は格別だった。頼母木小屋はすぐ目の前にあり、そのまま縦走路をたどれば大石山、鉾立峰、杁差岳へと続いている。さきほどまでは身近にあったはずの飯豊山はいつのまにかかなり遠ざかり、かわりに地神山が大きな山塊を誇示するかのように眼前に聳えている。思わず欲を出したくなるような地神山だったがどう考えても今日は無理だろう。きょうの自分にとって200mの標高差はその数値以上にとても大きく感じるものだった。

 一休みにしていると途中で追い越していた若い新潟氏が登ってきた。まもなくするとこんどは地神北峰から4名ほどのグループが現れて山頂は一気に賑わいを増した。良くみれば「飯豊朝日連峰の登山者情報」の井上さん達一行であった。お会いするのは何年振りなのだろうか。懐かしくなりひとこと挨拶をかわさせてもらったが、はて、ほかにもどこかでお会いした方もいる。あとで確認したらブログ「それゆけとーちゃん」の竹田さんだった。竹田さんは梅花皮小屋の小屋番を終えての下山だったようである。気付かなかったのだが、井上さんとは自分と同じように西俣ノ峰を登り、地神山でみんなと合流したものらしかった。ほかにもダイグラ尾根を登って梅花皮小屋泊まりだったという若い人もいて唖然とするばかり。ここに集まった面々はみんな飯豊連峰の強者ばかりであった。

 頼母木山では小一時間ほど休んでから山頂を後にした。井上さん達一行からはかなり早く下りはじめたつもりだったが彼らの足並みは人並みではなかった。怒濤のように急坂を下ってきたと思うまもなくたちまち追い越されてしまい、4人は見る間に見えなくなってしまった。

 下るほどに気温が上昇して暑さに体力が奪われてゆくようだった。雪を頭に載せたり、口に入れたりしながら体温を下げようと試みるもののたいした効果はなかった。枯松峰ではほとんど動けなくなり大休止をとらなければならなかった。体力が結構戻ってきたと思ったのは錯覚だったのかもしれない。5時間かけて登った頼母木山だったが、結局登りと同じく5時間もかかって下山しなければならなかった。


枯松山(西俣ノ峰)


枯松峰から頼母木山が近づいてきました


枯松峰から見る杁差岳は圧巻
写真ではなかなか伝わりませんが・・・


大ドミ付近のブナ林


頼母木平は初夏の兆しが漂っていました
背後には二王子岳


頼母木平の草原地帯


残雪の二王子岳


頼母木山から杁差岳への縦走路


地神山が大きい!(頼母木山から)


ようやく着きました!
遠方は飯豊本山


井上さん達一行が梅花皮小屋方面から登ってきました


頼母木山を振り返ります(頼母木平)


大ドミ付近をくだる

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