【概要】
当初は三体山まで行きたいと考えていた。しかし、忘れ物を取りに戻ったりしているうちに出発がだいぶ遅れてしまい微妙なはじまりとなる。さらに最近は体力に自信もない。本格的な山登りはとんとご無沙汰なのである。また鳴りをひそめているヘルニアも悪化させたくはない思いもある。婆岳までゆければいいのだがあるいはコニゴリノ頭までがやっとなのかもしれなかった。初めてのコースならば偵察が無難だろうと、行けるところまでと決めて早朝長井ダムへと向かった。なおこの界隈は地元の岳人okusanが西山新道探索も兼ね四季を通して数多く歩かれている。今回はその記録を参考させていただいた。
長井ダムから先も県道が延びているのだが、今はまだ冬期閉鎖中のため、ダム管理所の駐車場が歩き出しとなる。県道はまだ除雪はされてはおらず最初からスキーで歩ける。歩き出すと比較的新しいスノーシューの踏跡が残っていた。(あとでわかったのだがokusan達の2日前のものだった)
心配していた空模様もそれほど悪くはなかった。時々青空も垣間見えるなか、気持ちの良いシール歩行が続く。不伐の森へ右カーブするあたりからルートは左手へと折れてゆき、正面の小高い尾根に取り付いた。振り返ると祝瓶山がうっすらと見えた。ここから明神平峠へと南下してだらだらとした小尾根を巻き気味に進む。木立が無くなる付近が折草らしく適度な斜面はゲレンデを思わせた。
尾根が本格的になり斜度も増して行く。ここは里見坂と呼ばれる斜面で、振り返ると熊野山や長井の山居集落も見えるようになった。斜度はスキー向きともいえそうだが時々急斜面も現れる。直登しているスノーシューの踏跡をたどろうとするものの、スキーでは結構きつく、ジグを切りながら登らなければならなかった。この頃になると朝方青空も見えていた上空もいつのまにか薄暗い雲が広がるようになり、時々小雪がちらつくまでに変わっていた。
いくつかの急坂を乗り越えて行くと斜度もゆるやかになる。まもなく広々とした雪原に飛び出すとそこがコニゴリノ頭だった。山頂はまだまだ大量の積雪があって三角点は雪に埋もれていた。とりあえず当初の目標まで登りきったことで肩の荷がおりた形だった。正面には三体連山が迫る。手前に聳える低めのピークが婆岳のようだった。天候が今ひとつだったが、それでもまだ視界があるだけ今回は感謝しなければならない。婆岳の直下までは割合に平坦だがその先は急坂の連続のようだ。しかし、両足はかなり疲れていて婆岳まではとても行けそうもなかった。体力は残ってはいなくこのコニゴリを今日の山頂にした。
ひととおり展望を楽しんでから下山を開始する。当初は登ってきた尾根を素直に下るつもりだったのだが、北東尾根も伸びているのを目にして気が変わる。地形図では小さな沢をいくつも横断しなければならず、アドベンチャールートにもみえたのだが、未踏のルートを探索する魅力も捨てがたい。まだ時間が早いということも後押しした。
滑り始めてみるとパウダーとはほど遠かった。重い湿雪とあってターンも思うようにならず最初から難儀した。高めの気温のためストップ雪のような悪雪だったのだ。それでもおおよその方角を決めてどんどんと下りて行く。地形図に現れないような小さな沢が至る所にでてきたが多くの積雪のおかげで尾根をなんとかつないでゆく。しかし下部にゆくに従い雪はグサグサの湿雪となりほとんど滑らなくなる。尾根をなんとか回り込もうとしても困難な状況になり、しかたがないので沢底付近でシールを貼った。よほど足が疲れていたのだろう。支尾根を登り始めると足が攣った。
少し上部に出ると尾根がつながるようになり一息をついた。しばらくトラバースを試みながら東へと向かい、杉林を抜け出すと往路のトレースが目前となっていた。小高い尾根に登りきったところで少し遅めの昼食を取ることにした。正面には三体連山や祝瓶山があり、左手を見れば至近距離にコニゴリノ頭が見えた。下ってきた北東尾根を眺めると感無量だった。