【概要】
いま頸椎椎間板ヘルニアのため闘病中。処方されている劇薬のせいか最近は少しずつ痛みが治まってきている。2ヶ月近くの闘病生活のため体はすっかりメタボ体質に変わっている。動くのも大儀だったが運動不足解消にと昼近くになって重い腰をあげてみる。山頂までゆけなければ途中で引き返すつもりだった。
平地とは違い山の紅葉は一段と進んでいた。ナラやカエデはかなり色づいておりブナの黄葉も驚くほどの鮮やかさである。日差しがあるだけに普段はただ薄暗いだけの登山道も今日はまぶしいほどに輝いている。しかし一方では久しぶりの山登りとあって疲れは結構足に来ていた。筋肉はパンパンに張っていて今にも攣りそうだった。これではイカンと一休みをしながら漢方薬を飲む。常にはなんでもない尾根道がきょうは途方もなく難路に思えてきた。それでも時間をかければ少しずつでも高度が上がって行く。姥石をすぎると山頂は間近となり、ここまでくれば引き返す気持ちはなくなっている。山頂はどうでもいいのだが今回は無理してでも奥ノ院からの祝瓶山を眺めたくなっていた。
葉山山荘では若い夫婦連れが休んでいた。オケサ堀から登ってきた二人は、途中でキノコを採取してきたため、山頂到着はかなり遅くなったのだといいながらその収穫物を広げながらみせてくれた。葉山神社は今年20年に一度の式年お建替のはずだが、まだ建て替え工事はなされてはおらず右側は取り壊されたままの状態だった。
奥ノ院に向かう途中、御田代湿原に立ち寄ってみる。湿原はすでに草紅葉一色に染まっていた。それはほとんど晩秋の風景と変わりなく、まもなく長い冬を待つばかりのように見えた。奥ノ院からの祝瓶山は久しぶりだった。残念ながら逆光のためシルエットだけだったが久しぶりに眺める朝日連峰の鋭峰は感無量だった。陽は西に傾き始めている。祝瓶山からは柴倉山、三体連山と稜線が連なりその背後は飯豊連峰だ。そして栂峰の山塊、吾妻連峰と長い山稜が南へと続いていた。この懐かしい山並みをひととおり楽しんでからボクは一人下山にとりかかった。