山 行 記 録

【平成26年5月4日/堰口〜七高山】



堰口から鳥海山を仰ぐ



【メンバー】4名(荒谷、神田、大江、蒲生)
【山行形態】山スキー、日帰り
【山域】鳥海山
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【地形図】(2.5万)鳥海山、(20万)新庄
【天候】晴れ(快晴)
【参考タイム】
堰口(735m)7:00〜1570m付近11:00〜七高山13:00-13:30〜堰口15:00

【概要】
 朝から快晴の空だったが風が強い日だった。前日は鳥海ブルーラインから鉾立を経由し、花立、祓川と鳥海山麓を半周しフォレスト鳥海にたどりつく。夜は堰口にテント設営した。二日目の予定は祓川から七高山にのぼり堰口へと下るロングコース。このコースは2年ぶりとなる。

 準備をしているところに祓川から降りてきたという地元の人がやってきた。登山口付近では20mを超える突風が吹き荒れ、とても登れるものではないので祓川駐車場から引き返してきたところらしかった。同行予定の仲間も祓川から呼び寄せているらしく、こんな時にはこの堰口から沢沿いに登ることを勧められる。見上げると山頂付近は雲の流れがかなり速い。地元人のアドバイスに従ってボク達も堰口からのピストンに計画を変更した。

 行程は長いのでのんびりムードでスタートする。テン場も結構風が強かったが樹林帯に入ると心地良い微風となる。沢沿いに入ると風の影響などほとんど無くなり、下から登るのは確かに理にかなっているようだった。行程が長くなるのはいまいちだが、考えようによっては積雪やコースの状況を確かめながら登れるのですごく得した気分でもある。周りにはブナ林が広がり見上げれば目の覚めるような青空が広がっていた。

 1時間もすると高度が徐々に上がってゆく。前方には鳥海山。朝方の雲はすっかりとれて紺碧の空が天空を覆っている。右手遠方には祓川の稜線が長く延びていて、この広大な雪原にはただただ圧倒されるばかりである。いくつかの急斜面を登ってゆくと祓川山荘と同じような高度となる。猿倉口から登ってきたと思われる登山者が一人二人と現れはじめた。

 登るにしたがい鳥海山が徐々に近づいてくる。なにも無いような白い斜面だがよく見るとたくさんの登山者やスキーヤーが張り付いている。しかし巨大な鳥海山に比較すると人間はあまりに小さく、ゴマ粒かアリの群れにしか見えなかった。樹林が切れてからはいっそう風が強まってきて途中からジャケットを着る。遮るものがなくなったためなるべく沢状の窪みに沿って上がろうとするもののそんなにうまくはゆかなかった。

 3時間もするとようやく1500mを超えてくる。まだ700mも登らなければならず、このあたりはひたすら上を目指すのみ。七ツ釜小屋と同じ標高になったのは4時間も経ってからだった。この頃から周りに登山者が急に増えだしてくる。風は時間と共に弱くなっているようだったが、雪面はウインドクラスト状態。これでは山頂直下はガリガリだろうなと心配になる。寒気はなかなか抜けきらず容易にはザラメにならないようだった。この急斜面のアイスバーンにはみんな難儀しているらしく、途中で山頂を断念し下ってくる人や、あるいはせっかくスキーを担ぎ上げても滑れずに再びスキーを担いで斜面を降りる人なども多いようだった。

 標高2000m地点となったところで同行の○谷さんが疲れのためリタイヤとなり、近くの茂みで待っていることになった。山頂アタック隊は3名。久しぶりに仰ぎ見る鳥海山に圧倒されそうだったが、この機会を逃すとなかなか登れない鳥海山である。みんなも疲れはあるのだろうが体調は良い感じなのでアタックを続行する。しかしボクはというとこの辺りから足首に痛みが頻繁に襲ってくるようになる。なんなんだろうと訝しみながらもバンドをゆるめたりしてみるが痛みは一向に治まらない。おのずとダマシダマシとなりペースは遅くなる一方だった。それでも足を動かしていればいつかは山頂に着く。七高山到着は午後1時。登り始めてちょうど6時間だった。至福の山頂。このロングコースを登りきった達成感をしばし味わう。

 七高山の山頂は大勢の人であふれていた。対岸の新山はというと雪もまだまだ豊富で神社や山小屋はまだ雪に埋もれている。新山のピークも千蛇谷から登ってくる人たちでにぎわっている。昨日登ったばかりの外輪山も素晴らしく写真はいくら撮っても撮り切りなかった。三角点で記念写真を撮り終えればとりあえず休憩である。今回は待ち人がいることもあり昼食は簡単に済ませ、シールをはがして荒谷さんの待つ地点へと滑降開始となった。

 ガリガリのアイスバーンは閉口だったがとにかく高度を下げれば雪は緩むはずである。しかし山頂直下はとても滑りにはならないだろうと、ボク達ははじめ東斜面へと逃げてみる。しかし雪面の状況はそんなに変わりはなく結局元の急斜面へと戻った。○谷さんと合流後は一気に下ってゆくばかりとなる。祓川への斜面は荒れに荒れていたがボク達のルートはトレースもほとんど無くきれいなものだった。ほどなく雪が柔らかくなるとターンは自由自在となる。手つかずの広大な斜面がいたるところに広がっているのがちょっと信じられなかった。みんなも同じ思いだったろう。こうなったらスキーは止まるはずもなくどこまでも滑り降りてゆくだけである。極上のザラメにはスキーもよく走った。サンクラストした雪面は雪面からの抵抗感がないのでまるで厳冬期のパウダーのようでもある。スキーの技術が格段に上達したかのような錯覚をするほどだった。

 変化に富んだ斜面を次々と滑り込んでゆくこのコースの楽しさは鳥海山随一といえそうだった。登りに利用したトカタノ沢に入ると下界も近い。尾根か沢伝いに下れば堰口だった。どこをどう下っても下山口へとたどり着く。広々とした緩斜面をのんびりと下ってゆくと見覚えのある樹林帯が近づいていた。


夜明け


堰口で幕営です


まもなく晴れる予兆の鳥海山


いよいよ出発です


清々しい朝です


樹林から鳥海山が


トカタノ沢の大雪庇


トカタノ沢はまだまだ多くの雪で埋まっています


沢底から向こうの尾根に上がりました


高度がかなり上がってきました


風はかなり強いです


猿倉コースとの合流点付近です


風が強いのでたくさん休憩をとります


最後の急斜面に取り付きました


見た目よりも傾斜があります


柔らかそうですが氷化していました


七高山は多くの人で賑わっていました


人・人・人・・・です


新山にも人影が


雁鈴山と千蛇谷


ようやく仲間が登ってきました


もう少し


山頂でパチリ


快適な斜面です


堰口コースはどこも貸し切りでした


まだまだ続きます


何度も振り返りました


あの山頂から滑ってきました


ようやくゴールです


お疲れさまでした


ルート


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