山 行 記 録

【平成26年5月3日/吹浦口〜文殊岳〜千畳ヶ原】



文殊岳から望む新山



【メンバー】4名(荒谷、神田、大江、蒲生)
【山行形態】山スキー、日帰り
【山域】鳥海山
【山名と標高】文殊岳 2002m
【天候】晴れ後曇り(午後から強い濃霧)
【温泉】秋田県鳥海町 フォレスト鳥海 400円
【参考タイム】
吹浦口(鳥海ブルーライン駐車場)8:30〜御浜小屋10:10〜扇子森10:30〜御田ヶ原〜八丁坂10:45〜七五三掛〜文珠岳11:30〜千畳ヶ原12:10-12:30〜鳥海湖〜稜線13:10〜河原宿〜吹浦口駐車場13:40

【概要】
 GWの後半戦。今回は荒谷さん達の計画に加えさせてもらうことにした。吹浦口からの鳥海山は以前毎年のように通ったコースだが、調べると9年ぶりというからだいぶ大昔となる。鳥海ブルーラインを含め周りの風景も懐かしいばかり。今日は文殊岳に登り山頂から千畳ヶ原の滑降が目的。以前からこのコースの長大さや素晴らしさを聞いていただけに毎年宿題としていたものである。御浜小屋までの標高差は約700m。そこからいったん御田ヶ原に下りて八丁坂、文殊岳へと登る。文殊岳からの滑降高度は550mにもなるというから胸が高鳴る。文殊岳は外輪山の一角だがそこからは伏拝岳も至近距離。標高も2000mを超えておりなかなか侮れない山である。

 ブルーラインの夜間通行止め解除を待って登山口へと上がる。駐車場は大平山荘から少し北に進んだ地点だがすでに大勢のスキーヤーや登山者であふれていた。駐車スペースはほとんどないような檄混みで、ナンバープレートを見ると全国各地から訪れているようだった。

 朝からすばらしい青空が広がっていた。風が強かったが時間と共に気温が上がるだろうと薄手の夏ズボン一枚で登り始めた。今日は午後から天候が崩れる予報がでているので午前中が勝負となりそうである。急斜面を登り切ると広々とした大雪原となる。雪原のはるか向こう側は笙ケ岳と思われる連山が見えた。このどこまでも広がる雪原にはただただ圧倒されるばかりである。振り返ると徐々に日本海が低くなって行き、左手からは鉾立の駐車場や山荘が見えた。まだ登山者の姿は少ない。河原宿の広々とした雪原は実に静かで別世界に遊んでいる気分だった。

 御浜小屋が近づくと外輪山の後方に新山や七高山が忽然と現れる。現実離れしたような山岳景観にしばし感動する。雪に覆われている鳥海湖を眺めながら小屋の裏手から回り込む。御浜小屋には1時間30分で到着した。風が強いために小屋の陰で一休み。残雪が多くて小屋の入り口はまだ多くの雪に埋もれていた。

 扇子森のピークを右手から回り込みながら稜線に上がると突然声をかけられた。長井の○○嵐さんだった。昨年のシーズン始め以来だから6ヶ月ぶりの再会だが世の中は狭い。○○嵐さん達は4名のグループで我々と同じように文殊岳のようだった。御田ヶ原から八丁坂へと進むと七五三掛けが目前。ピークを登ると文殊岳の急斜面となる。先ほどの4名は右手から巻いていったがボク達は直登する。気温が低いとアイゼンが必要な急斜面だが今日の雪はかなり緩んでいるのでその必要もなさそうだ。

 文殊岳には3時間かかって到着した。さすがに稜線では夏道がでていたもののそれでも残雪は結構多い。記念写真などを撮りドロップポイントを探りながら稜線を伏拝岳へと進んでみた。4人組は早くも滑降を始めている。ドロップポイント付近の風はハンパではなかった。なにもかも飛ばされそうなほど。急いでシールをはがしてさっさと滑ろう。文殊岳からの南西斜面はちょうどスキー向きの中斜面がどこまでも広がっていた。末端は千畳ヶ原だがあまりに広大で先が見えなかった。雪面はフラットで信じられないほどの滑らかさである。さらに今日のザラメはスキーが滑りすぎるほどの快適さでワックスなどは全く不用だった。

 滑っても滑っても同じような斜度がどこまでも続いた。みんなもあまりの快適さに酔いしれている。ここは病みつきになるようなほどのパラダイスだった。先行パーティは途中からトラバース気味に逸れて行き休憩に入ったようだった。ボク達はトラバースの考えなどは微塵もない。悔いの無いようにスキーが止まるまではどこまでも落ちて行く。どうせシールでの登り返しなどたいしたことはないのだ。結局千畳ヶ原の平坦部までの標高差550mを滑り切ってスキーは止まった。ここまで下れば風もほとんどなく大休止をとりながら昼食とする。目前には月山森の大きなピークが聳えており尾根の向こう側は宮様コースのようだった。どこを見渡しても眺める光景が実に新鮮でこの舞台に立っている幸福感をしみじみと味わった。

 休んでいる間に少しずつ雲行きが怪しくなっていた。いつのまにか空全体に薄雲が広がり始めている。午後から崩れるという天気予報はやはり当たりのようだ。急いでシールを貼り直し鳥海湖へと登ってゆく。周りには人の姿もかなり少なくなっていた。なだらかな尾根を登ると鳥海湖の縁に出る。この当たりから天候は急速に悪くなる。濃いガスが出てきたと思うと視界は一瞬にしてなくなった。周りにもスキーヤーがいたが現在地を見失っている人もいる。新山に向かおうとしているのか話がよく見えない。ガスられたら危険なので早めに下山した方がいいよとアドバイス。

 最後の急斜面を登り笙ケ岳の稜線に上がるとようやくシールをはがせる。視界はほとんどなく足元しか見えない。完全なホワイトアウトだった。ボク達はGPSをたよりに元のトレースを追いながら滑ってゆく。ほとんど目隠しで滑っているようなものだったが、幸いに河原宿周辺は超がつくほどの緩斜面なのでそれほど不安感はない。こんな場合はGPSを信じて下るしかない。4人のトレーンを崩さないようにしながらほとんど休みも取らずに下り続ける。GPSのトラックを見ながらそろそろスタート地点かなと思っていたら突然目の前に駐車場が現れた。


ブルーラインから出発です


日本海が眼下に広がります


御田ヶ原から八丁坂に向かいます


文殊岳の最後の登りです(後方には稲倉岳と千蛇谷)


ようやく到着です!


つぎつぎと登ってきます


文殊岳からの滑降が始まりました


快適です!


止まりません


酔いしれてます


天候が悪化してきました(ポコは鍋森)


鳥海湖の淵付近


突然ゴールが目前に


駐車場もほとんど視界がなくなっていました


ルート
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