リフト終点からシールを貼る。久しぶりにカミさんとの山スキーとあって天候が一番ものだったが、刈田岳の方角を見上げると真っ黒な雲が居座っている。気温は予想外に低く風もあおられるほどの強さだった。それでもスノーボードや山スキー、坪足の登山者もちらほらといる。樹林帯を抜け出すと吹きさらしの雪原にでた。時々まぶしいほどの青空が広がる。快適な春スキーの気分だがまもなくすると再び薄雲が覆ってしまう。天候はかなり不安定だった。カミさんは出だしから体調がいまひとつ。少しずつ慣れてくるだろうと思ったのだが、その後もいっこうに良くなる様子はなかった。
まもなくするとエコーラインの横断地点。すると前方ではタイヤドーザーが何台か動いていて、その後方をロータリーが雪を高々と吹き飛ばしていた。うっかりしていたがGWの開通をめざしてエコーラインでは除雪作業の真っ最中だったのだ。5m以上もあるような落差がすでにできていて、道路を簡単には横断できなくなっていた。ようやく横断が可能になったのは標高1530m付近だった。エコーラインを横切り稜線に立つと右手に五色岳などが見えた。この頃から天候は悪化する一方となる。視界もなくなっていた。傾斜がきつくなるにしたがい今度は激しいブリザードとなる。山頂まではわずか30メートルほどしかなかったが無理は禁物だった。シールのまま引き返すことに決める。春スキーが今日のような悪天候では何の楽しみもない。
半分アイスバーンのような急斜面を200メートルほど下る。風は弱くなり視界も少し戻ってきた。最悪の天候から抜け出したようだった。ほとんど休憩もとらずに行動を続けたためにカミさんはかなり疲労気味。今シーズン初めのツェルトを取り出して途中でのんびりと昼食を楽しむ。
休憩地点からはちょっと沢筋を滑ってみることに。昨日の新雪がけっこうあってプチパウダー。どこまでも滑ってゆきたい誘惑にかられるが前方は深々とした井戸沢。途中からシールで登り返す。この頃から雪が激しくなり下界はほとんどみえなくなっていた。目出し帽はしていたがこうなるとゴーグルも必要な天候だった。反面、雪質はかなりいい感じで快適な滑りだった。ゲレンデトップに飛び出すとあとはのんびりとスキー場を下るだけとなる。雪は激しさを増すばかりでまるで厳冬期だった。
遠方は五色岳 |
稜線はまだ |