【概要】
大峠トンネルからの飯森山は5年ぶり。初めて飯森山の山スキーをしてからちょうど10年経った。こんなに恵まれた山スキー向きの山が近場にあるというのに、それでいてあまり回数が増えないというのは、ここが桁違いの豪雪地帯ということもある。なにしろ飯豊連峰の一角だけあって積雪量がハンパではないのである。
朝方まで降り続いた雪はさらに驚くほどの積雪となっていた。今回は一応飯森山が目的だったが、その前衛峰である鉢伏山を視野にも入れている。この鉢伏山にはメンバー全員まだ登ったことがなかった。前日もこのルートを登った人がいるらしく、コース上にはトレースらしい痕跡が残っている。雪面がわずかに窪んでおり、当然ボク達もその踏跡を追ってゆくのだが、それでもスキー靴はすっぽりと埋まる。斜度が少しでも出てくると膝上までのフルラッセルとなった。
登り初めは雪が舞うあいにくの空模様だった。しかし午後からは天候が回復するという予報。そんな予報を反映してか時々目の覚めるような日差しが降り注ぐ。まわりのブナ林がまぶしいほどに輝くと一斉に歓声があがった。急斜面を登るとヤセ尾根に出た。晴れていれば遠方に飯森山が見えてくる地点である。視界はあまりなかったが、霧が流れると鉢伏山からの日中ダムへと連なる稜線が見えた。ここまで約3時間。ほとんど休まずにラッセルを続けているというのに結構時間はかかっている。
しばらくすると鉢伏山への急斜面となる。標高はすでに1400mを超えており積雪はますます増してゆく。大きく張り出した雪庇は覆い被さるほどで圧倒されそうだった。ボクは早くも両足が攣りそうになり途中で何回か休まなければならなかった。コースはいったん平坦な尾根にでる。このころから天候は確実に回復基調を見せ始める。突然濃霧が消えて目の前に真っ白い鉢伏山が現れる様は感動的だった。初めて目にする風景は魅力的で高まる気もちを抑えきれない。飯森山へのトラバース区間が眼下というのも新鮮だった。
無木立の急斜面をひと登りするとようやく山頂に到着した。大峠トンネルからちょうど4時間。飯森山への稜線も見えているが山頂はまだ雲に隠れて見えなかった。飯豊山ももちろん雲の中。しかし見渡す限り山また山といった光景にはただただ感無量。至福の山頂だったが風が冷たくて休む気もちにはなれず、休憩はいったん肩まで下りてからとることにした。
山頂からは久しぶりのパウダーを堪能する。滑降ルートは南東斜面から真東にまっすぐ続いており、ここはとっておきのツアーコースともいえそうだった。休憩後は途中の美味しそうな斜面を見つけては一斉に飛び込んでゆく。この頃になると目の覚めるような青空が広がった。気持ちは一気に春スキーへと変わってゆく。尾根も快適だったが適度な斜度のある沢沿いも魅力的でこうなるともう止まらない。トップに引きずられるように沢底へとなだれ込んでゆく。
尾根に戻ってからもしばらく快適なパウダーが続く。しかし気温は急速に上昇してしまい雪は徐々に重くなってゆくばかりだった。天候が良すぎることの裏返しでもあり、ここからはただ安全に下るしかない。最後はこの重く湿った雪に難儀しながら高度を下げ続け、大峠トンネルには午後2時前に降り立った。
雪が舞う大峠トンネル |
ブナ桜に日差しが降り注ぎました |
山頂直下を登る |
山頂で |
尾根への登り返し |
尾根に戻る |
飯森山 |
青空がまぶしい! |