山 行 記 録

【平成26年3月15日/朝日連峰 片寄〜石見堂岳】



眼下に寒河江ダム(950m付近)



【メンバー】5名(安達、神田、佐藤節、荒谷、大江、蒲生)
【山行形態】山スキー、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】 石見堂岳 1286,0m
【天候】雪(午後一時晴れる)
【温泉】西川町 水沢温泉館(300円)
【参考タイム】
駐車地点8:30〜994mP11::00〜尾根の合流地点11::25〜石見堂岳12:00-12:20〜山頂直下のブナ林(休憩)12:30-13:00〜720m14:00〜沢底14:10〜栗ノ木沢橋15:10〜駐車地点15:20
 
【概要】
 石見堂岳には登山道はないのだが、積雪期であれば登れそうな尾根や沢がいくつもある。しかし雪の状況は常に変化しており、単独の場合初めてのコースというのは簡単に踏み出せないものである。今回は山岳会のメンバーが一緒なので以前から考えていたルートをたどってみることにした。今日は真冬並みの寒気が入っていて朝から雪が舞うあいにくの天候だった。しかし、状況によっては大越橋までの縦走も考えて車を1台ゴール地点にデポしてから駐車地点へと向かった。

 県道に入るとすぐの駐車スペースにジムニーが止まっていた。なんとなく見覚えのある人が雪壁を崩しながら登りだそうとしているところだった。もしかしたらと引き返してみるとやはり山岳会の安達さんだった。安達さんは翌日の山行の下見にきたらしかったが、もちろんそこからは一緒に石見堂岳をめざすこととなる。そこはボクが予定していた尾根の少し手前の地点だった。

 初めは沢沿いに進み、少し先で左手の尾根に取り付いた。尾根に上がれば順調に進むだろうと思われたがそう簡単ではなかった。積雪は結構あるのだが、ヤセ尾根のため所々で雪が分断されたりしてスキーで登るにはかなり困難な状況だった。張り出した雪庇もいたるところで崩れていて、ルートをさがしながら大きく迂回したりするのでなかなか先へと進まなかった。安定した尾根に上がったのは10時近くになってからだった。ここまで水平距離にして500m、高度差たった100mぐらいのところを1時間30分もかかったことになる計算だった。700m付近でいったん尾根は細くなり、やがて傾斜も緩んでくると尾根も広々としたものに変わってゆく。この辺りからようやく快適なシール登高が続いた。

 雪は津々と降り続いていた。ときおり晴れそうな兆しはあるものの、すぐに視界を遮るほどの風雪が舞った。天候はよくなるどころか悪くなる一方だった。994mPを過ぎると前方に大きな山塊が見えてくる。視界はあまり良くなかったが石見堂岳から派生する尾根やピークのようだった。一瞬だけだったが左手奥に赤見堂岳が見えた。細いブナ林が目立つようになると平坦な雪原に出て従来の尾根と合流する。そこからは確かに見覚えのある風景が続いていた。右手にトラバースしながら疎林帯を抜け出るとほとんど樹木もなくなり白一色の世界となる。ひさしぶりに眺める石見堂岳直下の懐かしい光景だった。厳しい寒気の中、もうひとがんばりと力がこもった。山頂はまもなくだった。

 大きな石のある山頂に着いたのはちょうど12時。所要時間は3時間30分。いつもよりも早い到着だった。ヤセ尾根でのロス時間を考慮すれば、今回はやはり最短コースといってもよいのかも知れなかった。悪天候の中でもなんとか登り切ったという達成感にしばし浸った。視界は40〜50mといったところか。目の前に大きく聳えているはずの赤見堂岳は全くわからなかった。それでも小桧原川の向こう側は割合にはっきりしており、対岸の平坦な雪原は馬場平らしかった。こんな光景だけで今日は満足するしかないようだった。

 ひとしきり山頂でのひとときを過ごせばさっそく滑降開始となる。大越橋への縦走は天候が悪すぎるために中止にした。山頂からは久しぶりのパウダーを堪能する。今日の新雪は快適の一言で、厳しい天候だったが登ってきてよかったと思える瞬間だった。天気さえ良ければひと思いに沢底まで滑ってゆきたい衝動に駆られてしまうほどだった。ブナ林で休憩をとった後はしばらく広々とした尾根を滑ってゆく。すると下るほどに天候は穏やかになり、日差しも降り注ぐようになっていった。こうなると山スキーは楽しいばかり。スピードにのりながら新雪を滑り降りて行く春スキーをしばらく満喫した。

 ヤセ尾根が出てくるとターンも難しくなる。単独の場合はそれほど苦労することはないのだが多人数だとそうもゆかなくなる。横滑りやトラバースをおりまぜながら高度を下げ、700m付近から右手の沢へと下りることにした。しかし、沢底を滑り始めたとたん前方から大きな沢音が聞こえてきたのにはまいった。沢が狭くてよくわかなかったが滝のようでもあった。こんなときには迷わず安全最優先。シールで登り返しながら危険箇所を回避した。この時期に不明瞭な沢をスキーで下るのはそう簡単ではなかったということである。それでも前方に栗ノ木沢橋が見えてくればゴールは目前だった。最後はシールを再度貼り直し、小さな支尾根を回り込んでから県道へと降り立った。




県道から上がるだけでもたいへんです


前方の尾根をめざします


雪が降り続きます


標高750m付近のヤセ尾根


振り返ると山形自動車道と寒河江ダムが


994mピークをめざして


一瞬、赤見堂岳(左奥)が見えました


ようやく山頂に到着です


感激の山頂です


ようやく晴れ間が(950m付近)


栗ノ木沢橋


最後は県道に降り立ちました


ルート

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