山 行 記 録

【平成26年3月9日/朝日連峰 蔵京〜大沢尾根〜長井葉山】



大沢尾根(1098m地点)



【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】長井葉山1,210m
【地形図】(2.5万)羽前葉山、(20万)村上
【天候】晴れ(山頂は曇り・小雪)
【参考タイム】
蔵京除雪終了地点7:00〜森林公園(尾根取付)7:35〜金剛山8:10〜町境尾根9:13〜698m9:35〜862m10:28〜1098m11:43〜葉山山荘(周辺散策)12:30-12:50〜(途中休憩30分)〜森林公園14:30〜駐車地点15:00

【概要】
 大沢尾根は白兎尾根の北側に位置している。白兎尾根を登っていると常に右手に見える尾根でちょうど町境ともなっている。二つの尾根の間には大沢という深い沢があり、この尾根は葉山の山頂直下で合わさる。大沢尾根には夏道はなく積雪期にしか登れない。以前から山スキーの機会を伺っていたが、3月に入ってからは高温続きで、今シーズンはあきらめていた。ところが、この週末にかけて予想外のドカ雪が降ったことからチャンスが到来した。さらにこの日曜日は晴れそうなのを見て実行してみることにした。

 午後からは低気圧の通過により雪が降り出すということから早出をすることにした。しかしなんだかんだといっても結局出発は7時。この時期であればもう1時間早ければよかったのだがそうそううまくはゆかない。蔵京地区の除雪終了地点から歩き出す。今日は目の覚めるような青空が広がっていた。久しぶりの好天だった。しばらく天候の心配はなさそうだった。リセットされたような新雪のまっさらな雪原に深々としたトレースが延びてゆく。降雪直後とあって今日は出だしからフルラッセルである。気もちは良いのだが一歩一歩が重い。単独のラッセルとなると今日は山頂まで届くかどうかわからなかった。

 葉山森林公園から金剛山への尾根道に取り付く。金剛山は2回目だがこのコースから登るのは始めてだ。夏道はもちろんわからないが尾根は割合にはっきりしている。前方を見上げると山頂のあづまやが見えた。金剛山からはいったん下りる形で尾根が続いている。この辺りは木々が密集していて少し薄暗い。尾根も狭いところは先週の小実淵山とよく似ていた。

 白鷹町との町境尾根に飛び出すと少し見晴らしがよくなる。左手には大沢を挟んで白兎尾根が平行して走っており、右手を見れば葉山の稜線からいくつもの無名尾根が平野部へと落ちている。振り返ると山居集落や田園風景が木立の間から見えた。698m点はなだらかなピークで一気に展望が広がる。ここは白兎尾根と違って深くえぐられた登山道もないので尾根が広く感じる。雪さえ豊富であれば山スキー向きといえそうだった。

 しばらく傾斜が緩やかになったもののラッセルはますます厳しくなってゆく。気温の上昇と共に雪がスキーにこびりつき始める。するとスキーはより重くなるのでなおさら足が疲れるという悪循環だった。それに地形図ではたいしたことはないと思っていたアップダウンだが、結構高低差があってそのたびにがっかりする。滑ってくる勢いで登り返せればよいのだろうが、下りではいささか難儀しそうだった。

 まもなく登り切ったピークは862m点。この先、変則的なコルを通過して一気に急斜面への取り付きとなる。左手は大きなクラックが走り、ブロックが崩壊すれば雪崩を次々と誘発しそうな場所だった。ここは右手に大きく回り込みながら急斜面を回避してゆく。結構な傾斜があって力が入りすぎたのだろうか。キックターンをする時、急に足が攣ってしまい動けなくなってしまった。痛みが治まるまで小休止するしかない。これでは山頂まで到達するのは到底無理かも知れないと愕然とした。

 ようやく痛みが治まったところで恐る恐る行動を再開する。痙攣の再発を気遣いながらも少しずつ登ってみようかと自分を励ましてみる。1098m峰直下はかなりの急斜面だった。スキーでも膝まで埋まるほどの積雪があり、下手すると簡単になだれそうにも見える難所である。ここはこのコース最大の核心部のようだった。しかし、雪の接着力はしっかりしていると判断。全神経を集中しながらなんとかこの難区間を突破した。登り切ったところがちょうど白兎尾根との合流点だった。合流点といってもこの辺りは平坦な雪原なのでほとんどわからない。尾根はますますたおやかさが際だってきた。新雪に覆われた尾根や稜線が陽光を浴びてひときわ輝いた。眺めは最高だった。ブナの疎林帯を抜けだし、最後の斜面を登り切ると山頂部の雪原だった。しかし、皮肉なことにこの辺りから薄雲に覆われはじめてくる。予報では夕方から崩れるはずだったがやはり山では気象の変化も早いということか。先ほどまでの日差しはすでになく、次第に雪が舞いはじめてきてしまった。右手奥に見える杉林を目標にしながら葉山山荘へと直進した。

 葉山山荘到着は12時30分。5時間30分かかった計算だった。足を何度も攣りそうになりながらなんとかたどり着いたというのが正直なところだった。しかし体力の限界を感じながらも登り切ったという達成感に満たされた。葉山山荘は多くの積雪に埋まっていた。ほぼ1階部分が隠れるほどだから今年はかなりの積雪があるようだった。葉山神社も半分埋まっていた。大朝日岳が見えるはずだったがすでに見えなくなっている。それでもいくらかでも展望を楽しめればと御田代湿原の少し先まで足を伸ばしてみることにした。小高いピークからはうっすらと大朝日岳が見えたものの写真には写らないだろうと思った。今度は奥ノ院へと向かってみる。しかし、合地ノ峰や柴倉山が見えたものの祝瓶山は雪雲に隠れてほとんど見えなかった。

 葉山山荘まで戻りシールをはがす。天候が下り坂なので昼食は少し標高を下げてから取ることにした。滑降は快適だった。特に山頂からの尾根は広々としているので久しぶりのパウダーを味わう。先週末のアイスバーンがまるでウソのようだった。しかし徐々に雪は重くなって行く。気温が下がりだしたために表面が早くもクラスト気味でもある。尾根の南側は軽いモナカ気味なのでなるべく北側を滑るように心掛けてみる。ちょっとした気温の差なのだが雪質はかなり違った。休まずにどんどんと下って行く。たちまち標高が1000m、900mと見る間に下がって行く。足で稼いだ標高差を惜しげもなく浪費して行くこの快感。まさしく山スキーの醍醐味といえそうだった。

 700m付近まで下りたところでようやく遅めの昼食を取ることにした。山頂からはすでに500m下ったことになる。日差しはすでになくなっていたが高度が下がったことで気温は結構高めだった。後はトレースを追いながら登山口まで無難に下りることだけを心掛ける。途中の登り返しでは再び足が攣ったりしたがダマシダマシ下るしかない。満ち足りた思いを抱きながら駐車地点をめざした。


前方は葉山の稜線


影が濃いです


雪原をラッセルです


金剛山の登山口


金剛山への尾根(右手が山頂)


町境との合流地点(640m)


698m峰


手前が白兎尾根(810m付近)


862m峰


勧進代尾根と葉山の稜線(862m付近)


900mをようやく越える


大沢尾根から見る葉山稜線(960m付近)


960m付近から振り返る


おもわず飛び込みたくなる北側斜面


吸い込まれそうです


まもなく白兎尾根と合流(1098m直下)


標高1130m付近の尾根


ここはほとんど山頂直下です


標高1160m付近の尾根


左:大沢尾根、右:白兎尾根


ようやく葉山山荘に到着です


雪に埋もれる葉山神社


合地ノ峰(左)と柴倉山(中央)


山頂からの滑降


雪が少し重くなってきました(710m付近)


このあと休憩タイムをとりました


ルート

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