【概要】
今回は中丸山のツアーコースを逆からたどるものだ。数年前、悪天候のためライザスキー場から仙人沢吊り橋経由でショートカットツアーをしたことがあったが、今日も好天は望めそうもないのでこんな案を考えた。悪天の時の蔵王は想像を絶するものがあり、山越えなどはほとんど絶望的となる。その点、このゴールから遡るルートは安直だが悪天候でもそれなりに楽しめる。登る距離は結構長くなるが、より充実感のあるルートともいえそうだった。
大寒というのに最低気温はプラスとなり、今日は朝から小雨模様だった。先日までの厳しい寒気はどこへやらである。エコーラインを少し上がれば雪になるだろうという予想もあっさりと裏切られ、猿倉でも小雨がポツリポツリと落ちてきていた。
蔵王ラインの駐車地点からは直接山の中へと入って行く。一見、雪の嵩はかなり減ったように見えるのだが、それは雪がかなり締まったからである。先日偵察にきたときには最近にはないほどの深雪が一帯を覆っていた。おかげでほとんどの低木や藪は雪に埋まり、どこでもシールで登ってゆけそうだった。
尾根に上がればあとは高みへ高みへと登って行くだけとなる。小雨は相変わらずだったが視界はそれなりにあってツアー日和ともいえそうだった。しかし、1時間もすると濃霧に包まれるようになり、徐々に視界が失われてゆく。ここは山頂直下までは樹林帯なので少々荒れ模様でもそれほど難儀することはないのだが、時間とともに風は強まり寒さもハンパではなくなってゆく。すでに雨は雪に変わり登るにつれて風雪は厳しさを増していった。
木立が小さくなり、右手から見覚えのある地形が見えてくるとそこはほとんど頂稜部。右手は仙人沢吊り橋からの稜線のようだった。視界は5〜6m先がうっすらと見えるだけで、ホワイトアウトといってもよさそうだ。何年か前の厳しい天候から見ればまだまだかわいいものだったが、せっかくの山スキーにきてこれでは何の楽しみもない。無理してまで踏むほどの山頂でもないので、1470m地点を今回の山頂と決めてシールをはがすことにした。中丸山までは標高差100mの地点だった。
ブナ林の滑降は雪もそれなりに柔らかくそれぞれが思い思いに滑って行った。しかし、そうはいっても最近の高温続きもあって先日までの深雪パウダーとはほど遠いものだった。下るにつれて雪質は手強くなる一方で、みんな苦労しながら高度を下げてゆくばかりとなった。
およそ200m下った地点で休憩をとる。雪のブロックで囲ったスペースは一種のシェルターであり、しばし憩いのひとときとなる。風はなかったものの高度が下がったためだろう。休んでいる間に再び小雨が降り出してきてしまった。
休憩地点からはスキーは滑りすぎるほどになる、常に制動をかけながら尾根をくだらなければならなかった。急斜面をおりてゆけば林道の道形があらわれる。そこからは駐車地点もまもなくだ。怪我をしないようにゴールをめざすだけだった。
ツアーコースを登り始めます |
この頃は天候も良かったのですが |
徐々に視界不良に |
山頂が近づいてきましたが・・・ |