【概要】
今にも雨が降り出しそうな薄雲が一面に広がっていた。県内はあいかわらず梅雨の真っ直中。少し疲れ気味ということもあって気持がいまひとつ盛り上がらなかったが、梅雨の中休みのような週末はやはり大事にしなければと近くの葉山を歩いてくることにした。ところが現地に到着し準備を始めようとしたところで、登山靴を忘れてきたことに気づく。一時は今日の山行をとりやめようかと思ったほど落胆したのだが、あらためて自宅に戻ってからリスタートを開始してみると、不思議にもモチベーションが当初よりも高まるのだからわからないものである。そんなこんなで登山口を出発したのかなり遅くなってしまった。
昨日の蔵王では先日の集中豪雨による痕跡はほとんどなかったのだが、この葉山でもそれほど被害はなかったようである。尾根道は濡れたところもなく、乾いているのでとても歩きやすいものだった。歩き始めてまもなくすると早くも下山者と出会ったが、すれ違ったのは結局この一人の登山者だけだった。
見晴らしの尾根に飛び出すと両側の視界が開ける。なにげに眺めると吾妻連峰の背後に聳える磐梯山に気づく。当然ながら今までも見えていたのだろうが気づいたのは初めてだった。雨が降るどころか、いつのまにかガスも晴れて、長井市や白鷹町の山居集落も見渡せるまでに視界が回復していた。姥石を過ぎて水場を通過すれば、そこから山頂も近い。葉山山荘が目前となると、登山道に大きな水たまりができていて、大雨の爪痕がようやく現れた形だった。この少し前から再び雲の中に突っ込んでしまい、周囲の視界はほとんどなくなってしまった。
葉山山荘の入り口は閉じられたままで人の気配はなかった。豪雨と水害の直後とあっては山登りも敬遠されたのだろうか。いやいや、この時期の長井葉山を訪れる登山者などそもそもいないのかも知れなかった。
葉山神社で参拝後は小屋前に座ってしばらく昼食休憩をとることにした。湿度がかなり高いのか、全身が汗でびっしょりと濡れてしまい、タオルも絞れるまでになっていた。もっともこうして絞れるほど汗をかくというのも山登りにおける楽しみのひとつともいえるので文句はいえない。全身から汗が噴き出す爽快感もなかなか捨てがたいものである。今日は展望もないのでは奥ノ院へ向かう気にもならず、休憩後はそのまま山荘から引き返すことに決めていた。
登山口 |
山百合が咲いていました |