山 行 記 録

【平成25年3月3日/蔵王連峰 古屋敷〜番城山】



番城山の山頂



【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】番城山1323m
【地形図】(2.5万)不忘山 (20万)仙台
【天候】曇り
【参考タイム】
古屋敷 8:30〜番城山12:00〜休憩(900m)12:40-13:00〜古屋敷 13:30

【概要】
 番城山は奥羽山脈の脊梁の一角をなす山で、山形県上山市と宮城県七ヶ宿町の県境に位置している。標高はたかだか1323mとたいしたことはないが、1000m前後の峰々がもろもろひしめく蔵王と吾妻の区間では一番の高さを誇る。上山市古屋敷地区を訪れるのは7年ぶりで、前回は山歩きだったが山スキーでは初めてだ。本当ならば厳冬期に訪れたかったのだがなかなか予定どおりにはゆかない。一昨日は結構な量の雨が降り、昨日は暴風雪だったことから、パウダーなどは望めそうもなかったが、少なくとも置賜地方よりは天候が良さそうということで急遽自宅を出た。週末ごとの猛吹雪と連日の雪片付けにはほとほと参っていたこともあった。

 「日本国古屋敷村」の大きな案内板の道向かいが駐車場だった。駐車場には誰もおらず今日は一人旅のようである。シールを貼りさっそく駐車場手前の林道に入ってゆく。ところどころに吹きだまりがあるが、この辺りではスキー靴の半分ぐらいしか沈まず、ラッセルというほどではない。歩いているうちに7年前の記憶が少しずつよみがえってくるようだった。

 曇り空が広がっていたがときどき青空も見える山日和だった。1週間振りのシール登行がたまらなく心地よい。歩いているうちに汗が流れてきてしまい途中で一枚衣服を脱ぐ。林道の雪解けがかなり進んでいて、雪が途切れているところが2箇所ほどある。林道は次第に勾配が増していった。

 1時間もすると林道が大きく折れる箇所がでてくる。標高はおよそ700m。ヘアピンカーブのようなところでこの辺りから高度がぐんぐんとあがってゆく。次第に新雪が多くなりラッセルが続くようになる。スキー靴程度なのだがこれでも俄然ハッピーな気分になる。なにしろ吹きさらしの林道はガリガリのアイスバーンも多かったのだ。

 まもなく林道の道形も不明瞭になると周りは杉の植林地となった。ラッセルが結構きつくなったため杉林の尾根に上がることにした。冬山を登る人も多いのか杉の木には赤布や赤ペンキもめだつ。途中からブナ林へと変わり傾斜ががくんと落ちると平坦な尾根に出た。地形図では1050mの等高線付近で、前方の高みの黒々とした稜線は番城山のようであった。残りの標高差は300m弱しかなく、登りもあと小一時間だろうが結構疲れも感じてきているところだった。

 尾根の左手はブナの疎林帯が広がりなだらかな沢状になっている。うまくすると山頂から滑ってこれそうだ。ときおり日差しが降り注ぐと霧氷が一斉に輝いた。この光景を眺められただけで登ってきた甲斐がありそうである。しばらく陶然とした心持ちに浸った。

 山頂が近づくにつれて強風が吹き荒れるようになった。地吹雪が舞う様はさながら厳冬期と変わりがない。平地では春めいてきたといっても、奥羽山脈の上空にはまだ寒気の残滓がこびりついているようだった。

 南西尾根はアイスバーンが目立った。スリップが多くなったところでスキーアイゼンをつけた。駐車場を出る時に急に思い出してザックに入れておいたものだ。そこからはスリップすることがなくなり直登も可能となった。

 勾配が落ちると木立がほとんどなくなり急に視界が広がった。奥羽山脈の一角に登り着いたようだった。高みへ高みへと進むとそれ以上高いピークがなくなり、ようやく番城山の山頂に到着した。960mの標高差を3時間30分。ラッセルがなかった割には時間がかかっている。山頂では相変わらず曇り空が広がっているばかりで青空はなかった。展望がないのは残念だったが休んでいる間に七ガ宿方面の山並みが少し見えたりした。至福の山頂だった。

 昼食は後回しにしてさっそく滑降に移る。山頂からは西側の沢方向に向かった。上部にはアイスバーンが残っていたが、少し下がるとフカフカのパウダーだった。これを楽しむためにきつい登りに耐えてきたのである。登りの疲れは一瞬にして消えていった。途中で登りのトレースに出会ったところからはさらに尾根の西側へと滑ってゆく。沢沿いといってもそれほどの深雪ではないので雪崩の危険もなさそうだ。どんどんと下ってゆくといつのまにか登りのトレースから大きく離れていた。

 尾根を右手に回り込むと見覚えのある尾根と杉の植林地が見えた。このあたりまで下ると先ほどまでの強風は治まっている。空の一角にはいつのまにか青空が戻っていた。雲が晴れて前方に現れた大きな山はなんだろう。地形図で確認してみるとどうやら龍山のようだった。見慣れた山容と少し違うので戸惑う。右手にはライザスキー場があり、その麓の小さな建物はレストハウスだった。この展望を楽しみながら下ってゆくと登りのトレースと合流した。このまま下ってしまうのがもったいないのでザックをおろして休憩をとる。

 休憩地点はおよそ900m。駐車場まではまだ500mも下れるというのもうれしい。そこからはショートカットしたりパウダーを楽しみながらのんびりと滑ってゆくばかりだ。林道にでればあとはスキーに乗っているだけでよいのである。春の空気を体全体で感じながら滑ってゆく感覚は格別だった。まもなくすると前方に古屋敷村が見えてきた。


トレースが延びる


標高800m付近(前方に番城山)


尾根が平坦になりました


霧氷が輝く


最後の急坂に取り付く


パフパフの始まりです


この辺りも快適なパフパフ


パウダーが続きます


瀧山とライザスキー場(右上)


ちょっと休憩しました


古屋敷の駐車場


本日のデータ


ルート

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