【概要】
今日は午後から所用があって昼前には下山しなければならずめずらしく未明に自宅を出た。朝日鉱泉では深い霧が辺り一帯を覆い視界はあまりよくなかった。この時期は5時半でもまだ薄暗い。朝日川に架かるつり橋を渡る頃になるとようやく明るくなり始めた。通常の明るさにはほど遠かったがまわりの山々では紅葉が盛りを迎えているのがわかった。
ナカツル尾根への道を右に分けて二つ目のつり橋を渡ると上倉山への急登が始まる。昨年は大朝日岳からの周回コースでこの区間を歩いているはずだったが、そのときの状況はほとんど覚えてはおらずすでに記憶は曖昧だった。ここはまるで飯豊の梶川尾根を彷彿させるような急坂が延々と続く。両側には輝くような赤のカエデが多く、紅葉はひときわ鮮やかさを感じさせた。ようやく登りが一段落すると水場に着く。ここでコンビニのおにぎりをかじりながら少し休憩をとった。水場からは尾根もなだらかになり上倉山へはひと登りだった。登山口から1時間30分。高度差は約600mだが早くも遅くもないといったペース。しかし、のんびりと歩いてきたつもりだったが、両足は結構疲れていて、またここまでずいぶんと汗を搾り取られてもいた。上倉山からはいったん下りとなり2ヶ所ほどの小沢を横断すると今度は御影森山への登りが始まる。ここもまたしばらく紅葉のトンネルが続く快適な登山道だ。道には落ち葉が降り積もっていてサクサクと乾いた音が耳に心地よい。ヤセ尾根が出てくれば御影森山の山頂まではまもなくだった。
御影森山までの所要時間は3時間20分。山頂の南側にまわると前御影森山から中沢峰へと連なる長い稜線が見えた。ブナはすっかり葉を落としていて、目前にはモノトーンの光景だけが広がっている。すでに晩秋というよりも初冬の寂しさのようなものを感じた。この頃になるとガスが大きく流れはじめていて、ときどき薄日も射すようになっていた。しかし、かんじんの大朝日岳はというとまったく雲に隠れていて姿をみせなかった。皮肉にも青空が広がりだしたのは御影森山から大きく下ってからだった。雲が割れて日差しが降り注ぐと冷え切った体が一瞬にして暖まった。真夏にはあれほどうんざりした日差しだったのだが、この時期になると陽の光のありがたさを思わずにはいられない。それからは下るほどに気温も上がり始め、見上げると眩しいくらいの青空がいっぱいに広がっていた。
心地よい登山道 |
御影森山、目前 |
前御影森山(左)と中沢峰 |
御影森山 |
小朝日岳(上倉山) |
紅葉 |
紅葉 |
つり橋から |