山 行 記 録

【平成24年9月15日/吾妻連峰 若女平〜西吾妻山〜新高湯温泉〜白布温泉】



西吾妻小屋と飯豊連峰(西吾妻山から)



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】 西吾妻山 2035m
【地形図 2.5万】天元台、白布温泉、吾妻山
【温泉】米沢市白布温泉「森の館」395円
【天候】晴れ
【参考タイム】
若女平登山口8:15〜小和清水9:05〜若女平9:30〜西吾妻小屋11:00〜西吾妻山11:10〜天狗岩11:20-11:40〜梵天岩12:00〜大凹12:20〜カモシカ展望台12:40〜北望台13:00〜新高湯温泉下山口13:50〜新高湯温泉14:10〜湯本駅前14:40〜若女平登山口14:50

【概要】
 若女平を登るのは6年ぶり。まだまだ残暑が厳しいことから、自宅から近いところで、なおかつ少し長い山歩きが可能なコースをと考えて今回の若女平である。白布温泉から西吾妻山頂までの標高差は約1200m。さらにリフトやゴンドラを使用せず、新高湯温泉へと下山する周回ルートとなると、古寺鉱泉から大朝日岳をピストンするぐらいの行程にはなりそうであった。

 前回と同様に西吾妻スカイバレーの入口付近に車を止めて歩き出した。ほかに車はなく誰も登っている様子はなかった。藤右衛門沢に沿ってゆくと尾根の取り付きに立派な標柱が立っている。ここからはしばらく急登が続くので汗が搾り取られる区間だ。やがて薄暗い杉林に入ると急登は一段落となりやれやれとなる。杉林からカラマツ林へと変わる頃にはいつのまにヤセ尾根を進むようになっている。ここは積雪期のイメージがとくに強いところでもある。ヤセ尾根から少し登った地点に小和清水の標識があり、左手にちょうど20歩進んだところが水場だった。清水は岩場からしみ出るように流れていてとても冷たく美味しい湧き水だ。水は余計なくらいに持ってきていたのだが、さらに1リットルほど詰めて行くことにした。

 左手から天元台が見えてくるとまもなく若女平だ。平坦な若女平は山スキーにおける別天地のようなところだが、積雪期とは違ってまわりには鬱蒼とした潅木とダケカンバが密集していて展望はなかった。若女平からは徐々に頭上を遮っていた木立も疎らになり、明るさが増すと共に日差しが降り注ぐようになる。それでも意外と今日は風があって先日までの猛暑といった感じはない。ザワザワとした風の音が終始絶えず、この爽やかな風のおかげで前回よりもはるかに登りやすかった。ダケカンバ帯が終わってオオシラビソが目立つようになるとさらに勾配が増してゆき、再び樹林帯が続くようになる。展望の楽しみはないものの、登山道はよく整備されていて歩きやすく、順調に高度が上がってゆく。「米沢山岳遭難対策委員会」と書かれた、まだ真新しいコース標識がいたるところに取り付けられていた。

 展望がない樹林帯はその後も続いた。黙々と登っているとときどき赤い三角形の標識を目にするようになる。それは「小坂」から始まって、「若女平」「大木崖」「金小屋」「鍛冶小屋」などと、単調で長い登りにあって意外と楽しめる。そして「竜崎」という標識を見ると、まもなく樹林帯が終わり広々とした湿地帯に出た。湿原にはオヤマリンドウが群生となっていたるところに咲いている。ここまで見晴らしのない樹林帯が続いただけに、目の前が急に開けた感激は予想以上である。高原を吹く風は爽やかで登りの疲れも一気に吹き飛ぶようだった。冬のツアー標識が現れるとその先には木道が東西に伸びていた。

 木道の左手は天狗岩で、右手に進むとドーム状の西吾妻小屋がある。この付近も多くの登山者が行き来していて今日も大賑わいである。誰一人とも出会わなかった若女平とは大違いだった。周辺の湿原は早くも草紅葉がはじまっていて、遠望の西大顛も少し色づいているように見えた。小屋からは10分ほどで西吾妻山山頂につく。この地点も冬には何回も訪れているところだが、山頂の標識を見るのは久しぶりだった。

 天狗岩は大小の石や岩がゴロゴロとした広場になっているところで、ここでも多くの登山者が行き交っていた。昼時間ということもあって、天狗神社の周りでは昼食をとりながら休憩している人もあちらこちらにいた。ここはさらに涼しい風が吹き渡っていて、2000mの高山の有り難さがしみじみと身に沁みてくる。ボクはザックから食材を広げてしばし休憩をとることにした。

 20分ほどの休憩を終えて梵天岩まで進むとここでも大勢の登山者が憩いの時間を楽しんでいた。梵天岩の岩場を下ればまもなくいろは沼の湿原に出る。湿原には池塘が散在していて、その美しさは例えようもないほどである。もう昼時間というのに大凹から登ってくる人達もまだまだ多かった。前回カミさんと訪れた時には大凹の水場も枯れていたのだが今回はわずかながらも流れているようだった。しかしよく見ればしずく程度のしたたりでしかなく、コップを満たすにもかなりの時間を要しそうである。今年の干ばつではこの水場をあてにはできないようだった。この頃になるとボクはかなりの疲労を感じはじめていたようである。カモシカ展望台ではどうしようもないほどの睡魔が襲ってきてしまい、しばらく横になって眠った。

 北望台からはほとんどの人達がリフトを利用して下って行く。ゲレンデを歩いている人は誰も見当たらなかった。ゲレンデはなるべく草原状の部分を下るように努めた。そこはまるでクッションが効いているような柔らかさがあって歩きやすいのである。しかしリフト3本分のゲレンデを下り切るには小一時間ほどかかった。

 新高湯温泉への下山口を示す標識はゲレンデの左端にひっそりと隠れるようにある。ここからは昔ながらの山道だが意外と整備されていて歩きやすい区間でもある。しかしますます暑さが増してきたこともあり、ボクは次第に重苦しさを感じ始めていた。眼下に新高湯温泉が見えてくると車や人のざわめきも聞こえてくる。新高湯温泉では県外ナンバーの車で溢れていて駐車場は満杯だった。日帰りの入浴客も多いらしく次々と車が下から上ってくるようだった。舗装道路には真夏の強い日差しが降り注いでいて、その照り返しを見ているだけで目眩がしそうだった。そんな光景をみているうちにボクは気が滅入ってしまい、路肩に腰を下ろしてしばらくのんびりと休んでゆくことにした。


登山口


ここから尾根に取り付きます


至るところに標識があります


小和清水


若女平から西吾妻山を仰ぎます


湿原に飛び出しました


湿原にはオヤマリンドウ


西吾妻小屋


西吾妻山への分岐点


西大巓と草紅葉の湿原


大凹からかもしか展望台へと向かいます


ゲレンデから天元台と米沢市の市街地が一望できます


気持ちの良いゲレンデを下ります


新高湯温泉への下山口


新高湯温泉が樹林の間から


新高湯温泉を通過します


ルート

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