【概要】
今回はエコーラインの南蔵王登山口から久しぶりに不忘山まで足を延ばす計画である。立秋が過ぎたとはいえ予報では猛暑日が予想されているためまたまた安易な選択となった。しかし、ここエコーラインはTシャツ一枚だと肌寒いほどの涼しさで、この冷気に触れていると細胞のひとつひとつが生き返るようだった。
2ヶ月前は花の時期ということもあって屏風岳まではまるで尾瀬ヶ原のような混み具合だったのだが、今日は普段の静かな登山口に戻っていて登山者もちらほらと数える程度だった。道ばたの花々はハクサンシャジン、ミネウスユキソウ、イワオトギリぐらいと少なく6月頃の蔵王とは様変わりしていた。
杉ケ峰を過ぎると広々とした芝草平に着く。ここではキンコウカとイワショウブが主役となっていて、前回、湿原に一面だったチングルマはすでにススキのような果穂となって脇役に退いていた。
屏風岳から不忘山までの区間は久しぶりだった。とくに南屏風岳までの平坦な登山道は秋空を思わせるような爽やかさに包まれていて、まるでどこかの高山を闊歩しているかのようでもある。こんな快適な稜線漫歩はいつ以来なのだろうかとふと思ったりした。周りの風景もどこか朝日か飯豊と似ていているような気がしないでもなかった。南屏風岳の南端からは堂々と屹立する不忘山を望めるようになる。その手前に大下りと登り返しが待っているが見た目ほど険しくはない。鞍部からはひと登りで不忘山の頂上だった。
エコーラインから2時間30分。ゆっくりと歩いてきたにしては意外と早かった気がした。たぶん気温が低いために疲れもほとんど感じなかったこともあるのかも知れなかった。山頂には4〜5人の登山者しかなく静かな山頂だった。西側を見れば歩いてきたばかりの南屏風岳や屏風岳が壁のように聳え立ち、北には水引入道や馬ノ神岳がコガ沢を挟みこの不忘山と対峙している。前回はガスに隠れてほとんど展望は無かったのだが今日はどこまでも見渡すことができて感慨深いものがある。ボクは心地よい涼風を味わいながらザックをおろしてしばらく休むことにした。
山頂を後にするとエコーラインからの登山者も少しずつ増え始めていて、行く先々ですれ違うようになっていた。南屏風岳への登り返しが終われば後はなだらかな山々を下るだけとなる。もちろん屏風岳や杉ケ峰、そして前山の登り返しはあるがたいしたことはない。杉ケ峰からは刈田峠避難小屋の赤い屋根が気になっていたため、途中この避難小屋に立ち寄ってからエコーラインへと向かうことにした。
芝草平 |
遠方は南屏風岳 |
南屏風岳の肩から望む不忘山 |
南屏風岳(帰路) |