【概要】
2週間ぶりの月山。連日の猛暑続きでいささかうんざり気味のため手っ取り早く標高の高い山へというわけである。しかし、ネイチャーセンターからの行程だと標高差は1200mにもなり、大朝日岳を日帰りするぐらいの運動量にはなりそうだった。
タケノコ採りのシーズンも終わりネイチャーセンターには祭りの後のような静けさが漂っていた。人の姿はなく駐車場の車もたった1台だけとちょっと信じられないような光景だった。装束場へと続く山道は不思議なほどの静寂さに満ちている。石跳川に注ぎ込む多くの支流はまだ雪解け水が滔々と流れていて触れると指先が切れるような冷たさだった。
装束場へは1時間30分で登り着いた。花の最盛期は過ぎたのかニッコウキスゲがわずかに咲いているだけだった。装束場から金姥までは300mほどの標高差があるがここまで登れば気温はぐっと低くなり快適なハイキングとなる。道ばたにはウツボグサやウメバチソウ、ダイモンジソウなどが咲く。またノウゴウイチゴがちょうど食べ頃になっていて手当たり次第に食べてみた。まだ時間が早いのか下ってくる人もいなかった。
金姥までくると姥ガ岳から月山へと向かう登山者が大勢行き交っていて、これまでの石跳川コースとは全く別世界となった。装束場から45分。疲れがでてきたこともあってペースが少しずつ落ちてきたのを感じる。牛首を過ぎると渋滞というほどではないが下山してくる人も多くいて自分のペースでは進めなくなった。それでもここは冷たいほどの風が渡っていて高山のありがたさをしみじみと思った。ここではミヤマリンドウ、ハクサンフウロ、マツムシソウなどが多く咲いている。月山の山頂では大勢の登山者で賑わっていた。
牛首の分岐点からは四ツ谷川に沿って姥沢小屋へと下ることにした。ここまで大勢いた登山者も四ツ谷川への三叉路からはほとんどいなくなり、見渡してもせいぜい一人か二人といった程度である。いつのまにか風がなくなり汗が吹き出していた。雄宝清水では冷たい水が溢れるほど流れていて、月山は本当に飲み水には困らない山なのだとあらためて思った。樹林帯に入りまもなくすると木立の間から姥沢小屋が見えた。
姥沢小屋からはいったん舗装道路に出るがすぐにネイチャーセンターへの山道へと入る。ここは昔からある月山への参道。はじめは階段状の急斜面の下りに驚くが、途中で博物園の遊歩道と合流すると道幅も広くなり、ここからはハイキング気分となる。なによりも人がいないのがいい。誰一人とも出会わないのである。一日中、陽が差さない樹林帯は驚くほど涼しく、ボクは快適な森林浴を楽しみながらのんびりとネイチャーセンターへと下った。
湯殿山とニッコウキスゲ(装束場) |
装束場と湯殿山 |
賑わう月山 |
四ツ谷川から望む朝日連峰 |
ダイモンジソウ(金姥付近) |
ミヤマリンドウ(紫灯森) |