【概要】
雨もよいの土曜日、無為に時間だけが経ってゆく。遅くなったがこんな日には気軽なハイキングでごまかそうかと通い慣れたネイチャーセンターへ出かけた。雨は朝方まで降り続いていたのかしっとりと濡れた登山道を歩いていると、上流からはタケノコ採りの人たちが次々下ってくるところだった。まっすぐに装束場に向かうつもりだったがこんな人たちと出会ったためリュウキンカ広場へと左折してみることにした。石跳川にかかる木橋は今冬の大雪のために大きく壊れ、通過が困難になっていた。タケノコがないものかどうかときどき笹薮に入ろうとするのだが笹が濡れているために奥まで行く気にはとてもなれないでいた。古くなったカッパでも持ってくればよかったなと思っても後の祭りだった。それでもあきらめきれなくていろんなところを覗きながらリュウキンカ広場を通過する。時期的にはかなり遅いのかリュウキンカは1輪も見あたらない。カワクルミ沼まで足を延ばすと結構な高度まで上がったのを実感するようになる。樹林に囲まれた山奥の沼はひっそりとしていてとても神秘的な佇まいをみせている。カワクルミ沼の湿原にはミツガシワが盛りだった。やがて大きく右手にいったん下ってから急坂を一気に登るようになる。やれやれと登り着いたところで雨が降り出した。雨は次第に本降りとなり急いで雨具をザックから取り出したがそれでもかなり濡れてしまった。雨は止むどころかますます激しくなるばかりで土砂降りといってもいいような状態にしまいには気分もブルーになってゆく。急斜面から石跳川へと降り立つとそこは春木戸橋。春木戸からは大門海沼を周回してネイチャーセンターに戻るつもりだったが降り続く雨を眺めているうちにそんな気持ちも萎えてしまった。姥ケ岳どころか装束場までも届かない一日。雨に煙るような風景を眺めながら石跳川に沿ってまっすぐに下ることにした。