【概要】
今日は久しぶりに山岳会メンバーとのツアースキー。硯石コースは何回か歩いているが山スキーでははじめてだ。冬山の様子は全然わからなかったが他には山スキーも登山者も見当たらなかった。登山口までは入れないので集合地点の県道から山に向かって歩き出す。いくら大雪とはいってもたいしたことはないだろうとたかをくくっていたら今日の蔵王はすごいことになっていた。前日からの降雪が50センチ以上はありそうでさらに今も休みなしに降り続いている。きつい膝ラッセルから始まったがそれでも少しずつ高度があがってゆく。最近は単独ラッセルばかりだったが今回は6名でラッセルを交代できるので大助かりだ。単独であればそうそうに退散してもおかしくないほどの積雪が延々と続いた。時々青空が広がると林間がまぶしいほどにきらめいた。斜度が出てくると積雪は股下までにもなりなかなか高度が上がらなくなってゆく。スキーのトップが全然雪面からあがらない。かなりの疲労感だ。しまいには足が攣ってしまいそうになりあわてて後続とラッセルを交代する。3時間もたった頃になってようやく森林限界を超えた。一時は晴天が広がったりしたのだがいつのまにか鉛色の雪雲に覆われてしまっている。時折目もあけていられないほどの風雪が舞った。なおもラッセルの交代を続ける。ほとんど休憩無しという苛酷さだったがさすがに午後の1時も近くになるとタイムリミットを考えないわけにはゆかなくなり、ちょうど1400m付近で今日の行動を打ち切ることにした。ここが今日の山頂ということである。不忘の碑は目前だったがすでに限界だった。それからはしばしの大休止だ。灌木のツリーホールのような場所にツェルトを張り風から身を守った。1時間ほどの休憩といっても休んでいるとあっという間に過ぎて行く。ツェルトから出てみると風雪は止んでおり視界が戻っていた。さて転倒すれば二度と起き上がれなくなるほどの深雪である。猛烈なラッセルを続けただけに休憩地点からの滑降は激バウの連続となったのはいうまでもない。最初は下りラッセルになりそうだったが斜度が出てくるとみんなスプレーを巻き上げながら下り続ける。こんな時には自然と声が出てくるものなのかみんな雄叫びのような咆吼を周囲にまき散らしながら滑っていった。傾斜がゆるむと登りのトレースを利用してさながらボブスレーのようなコースをからませながら降りてゆく。このコースがこんなに快適なものだとは予想外だった。それもこれも豊富な積雪のおかげである。今日のラッセルにはほとほと疲れ切っていたがそれを補ってもあまりあるようなパウダーを味わったことで久しぶりの充実感に浸った。