【概要】
磐梯吾妻スカイラインと浄土平の駐車場が、今年は大震災対策のため無料だということを聞いてさっそく出かけてみることにした。浄土平のレストハウスやトイレが改修中だったが利用する分には支障はなかった。
福島県は朝から目も覚めるような青空が広がっていた。しかし肝心の一切経山付近はというと厚い雲に覆われていて、山頂付近はまったく見えなく、これほどがっかりするものはなかった。駐車場では異様なほど雲の流れが速く、吾妻連峰の天候はめまぐるしく変わっているようだったが、それでも吾妻小富士付近はなんとか晴れ間が見えるので、これだけで良しとしなければならないようだ。
今日の行程をどうしようか迷うところだが、取りあえず天候の回復を期待しながら吾妻小富士に登って足慣らしをすることにした。吾妻小富士の山頂までは標高もわずかなのでそれほど時間はかからない。天候がいまひとつとはいっても、整備された登山道は多くの観光客で賑わっていた。それらの観光客に混じりながらお鉢巡りは1時間足らずで終わった。その後、浄土平の駐車場を横切って一切経山をめざすことにした。濃霧と強風は相変わらずだったが、ときどき青空も顔をのぞかせるまずまずの天候といえそうだった。
二人とも何となく疲れていて途中では何回か休憩をとらなければならなかった。酸ガ平避難小屋へと登り着くと、こんな天候でも休憩する人達やトイレを待つ人々でにぎわっていた。しかし、登るにつれて回復するだろうという期待は儚くも消えてしまい、天候は逆に悪くなる一方となった。雨が降らないだけましともいえそうで、強風に煽られた有毒ガスの噴煙が登山道まで流れてきていた。そのためハンカチで口を塞ぎながら行動だったのだが、それでも気分が悪くなりそうだった。
一切経山の楽しみはなんといっても五色沼であろう。様々な色合いに変化する五色沼を眺めながらの休憩や昼食がこの一切経山の唯一の楽しみなのである。しかし、2時間近くかけて登ったというのに山頂は強風とガスでほとんど視界がなかった。少し待っていると霧の切れ間からわずかながら沼の一部分が現れて、眺めていた少数の登山者から歓声が上がったりしたが、結局はそれだけで終わってしまい、その後は晴れることはなかった。
山頂は日差しがないこともあって気温の低さはかなりだった。防寒着が必要なくらいでカミさんはいつのまにか厚手のガウンを羽織っていた。僕は有毒ガスに晒されたせいなのか気分がすぐれず早めに下ることにした。そして眼下に酸ガ平避難小屋が見えてくるとようやく視界が戻り、それと同時に気温も少し高くなってきたようだった。僕たちは木道を少し下った地点でザックをおろして遅い昼食をとった。そこからは浄土平が見渡せたが、日差しはなく、午前中のような明るい雰囲気はすでになくなっていた。
吾妻小富士で |
吾妻小富士で |
吾妻小富士 |
鎌沼 |