山 行 記 録

【平成23年9月9日〜10日/飯豊連峰 丸森尾根から頼母木山】



頼母木小屋(地神北峰から)



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】頼母木山(たもぎやま)1720m
【地形図】(2.5万)飯豊山、長者原、杁差岳(20万)福島
【天候】(9日)晴れのち曇り(小雨)、(10日)曇り時々小雨
【温泉】梅花皮荘(500円)
【参考タイム】
(9日)飯豊山荘 7:40〜 水場 9:30〜 丸森峰 11:30〜地神北峰 12:20〜頼母木山 13:00〜頼母木小屋13:20(泊)
(10日)頼母木小屋6:40〜地神北峰7:10〜丸森峰7:40〜水場 8:50〜飯豊山荘 9:50

【概要】
 当初は久しぶりに杁差岳へ登る予定を立てていた。しかしこのところ体調がきわめて悪く、まずは頼母木小屋までめざすことにした。丸森尾根も実に久しぶりだがいったい何年ぶりなのか思い出せないほどだった。

 今日は平日とあって車は少なかった。車はせいぜい4、5台といった程度で登山者はほとんどいないようだった。飯豊山荘前の急坂を登ってゆくと、まもなく日差しが後方から照りつけるようになり、体力が徐々に奪われるようだった。2週間前の朝日連峰では秋山の気配が濃厚だったのだが、あのときの快適さとは雲泥の差で、季節は真夏に逆戻りしているようだった。

 丸森尾根は結構長い。早くも全身に疲れが出ていたが夫婦清水で空になっていた水筒を満たし、気を取り直して再び登りはじめる。樹林に遮られると幾分元気が出てくるのだが日差しに晒されるとすぐにペースダウンした。今日はいったい稜線までたどりつけるだろうかといった不安が終始つきまとった。丸森峰まで登れば前方に地神山が望めるようになったのだが、一方ではこれ以上は動けないというほどの疲労感が全身を襲った。しばらくザックをおろして大休止をとらなければならなかった。

 地神北峰に向かっているあたりからだろうか。天候は下り坂なのか急に薄雲が広がりはじめていた。今までの晴天はどこにいったのだろうと思われるほどの天候の急変だった。地神北峰直下では稜線までの日帰りだという夫婦連れとすれ違った。二人ともうらやましくなるほど元気そうに見えた。今の僕の体力ではとても日帰りは無理だなあ、などと立ち話をして二人を見送った。最後の岩場のような急坂を上り詰めると地神北峰だった。ここまで登れたことで僕は心底ホッとした。以前はなんということもないピークだったのだが、今日はこの地神北峰までがやけに遠かった気がした。

 地神北峰までくれば頼母木山は目前だ。頼母木小屋も近いのでここで遅い昼食をとることにした。一段落して眺める飯豊連峰は格別だった。久しぶりの光景にしばし見とれていた。一応の目的としていた杁差岳は大石山のすぐ後方に見えているのだが、今日はそこまでがやけに遠くに感じる。やはり今日は杁差への往復はちょっと無理だろうかとぼんやり思った。

 頼母木山へと向かうといろんな花々が目立つようになった。ハクサンイチゲ、ウメバチソウ、ハクサンフウロ、コゴメグサ、そしてマツムシソウなどが一面に咲いている。丸森尾根ではほとんど花をみることがなかっただけに登山道は急に華やかさを増したようだった。頼母木山までくると天候はさらに悪くなる一方となった。視界はあるもののまるで夕暮れの様相だった。

 頼母木小屋にはまだ誰もいなかった。小屋の片隅にはザックがひとつおいてあり、どうやら杁差岳を空身でピストンしているようだった。小屋前でのんびりしていると女性が一人、頼母木山から下ってくるのが見えた。新潟の女性で今日は梶川尾根から登ってきたらしかった。小屋の中でお互いに話をしていると杁差岳を往復してきたという男性が一人入ってきた。こちらは栃木県の人で、一昨日にダイグラ尾根から入山し、昨日は御西小屋泊だったとのこと。今日の小屋泊まりはこの3名だけだった。

 3名で山の話などをしている間に風が強まり窓は小刻みに揺れた。外に出てみると濃霧のため視界は全くなくなっていた。さらに強風に加えて小雨も混ざっている。これで日没の楽しみはなくなってしまいがっかりだった。

 翌日は風の音で目が覚めた。外の様子は昨夜とほとんど変わらなかった。雪がないだけでまるで吹雪を思わせるような強風とガスが小屋の周囲一帯を覆っていた。体調は昨日に比べると少し回復していただけに、今日の天候にはがっかりだった。これで杁差岳はしばらくお預けになってしまったようである。同宿の二人もこの悪天候をみておとなしく丸森尾根を下ることにしたようだった。

 朝食を食べ終えると二人は早めに小屋を出発していった。僕はのんびりと後片付けを済ませてから、雨具を身につけ完全防備で外に出た。風は強かったが体ごと吹き飛ばされるほどではない。それでも途中でザックカバーが風に飛ばされた。とりあえず頼母木山と地神北峰までは緩やかな傾斜が続くので、疲れた足を半分引きするようにしながらゆっくりと登った。

 地神北峰を過ぎると風は目に見えて弱まっていった。まだ霧は濃かったが丸森峰を下りはじめると途中から視界がはっきりとしてきた。見上げると稜線は黒々とした雨雲に覆われていて、僕はようやく雨雲を抜け出したようだった。そして下るほどに天候の回復傾向が顕著になっていった。登山道が乾いているところをみると悪天候は稜線付近だけだったように見えた。日差しが薄雲から差し込むようになると、小屋泊まりと思われる登山者が下からちらほら登ってくるのが見えた。


朝の駐車場


登山口


地神北峰(丸森峰から)


地神北峰を下る登山者


地神北峰と地神山(奥)



頼母木山と杁差岳


頼母木小屋


水場


杁差岳


二日目の朝


地神北峰直下


厚い雲から抜け出した頃


西俣ノ峰の稜線


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