【概要】
今日は久しぶりの山の会事業。他のメンバーがまだ登ったことがないという五色岳を登り、熊野岳から中丸山へと下る通常とは逆コースである。下るだけならばよいのだが、最後に出発地点の刈田駐車場まで登り返さなければならないのが唯一の難点といえそうだ。
朝早いために登山リフトはまだ動いてはいなかった。そのリフト乗り場を通り過ぎて登山道に沿ってゆくと20分ほどで馬ノ背にでた。見渡しても観光客はまだまだ少なく静かな稜線だった。そのまま直進しながらお釜に向かって降りて行きロープ外へと進む。砂礫地帯の踏跡を下ってゆけばお釜が間近だ。ここからいつものように反時計回りで五色岳へと向かう。急な岩場を直登すればそこはもう五色岳への稜線である。ここからはしばらくコマクサの群生地が続く。コマクサはすでに盛りを過ぎてしまったと思っていただけに、ここの群落ぶりにはいつもながら驚かされる。たぶん登山者が圧倒的に少ないためだろうと思った。
稜線をすすんでゆくとまもなく五色岳山頂だ。宮城側の天候が悪いのか始終ガスが湧き上がってくるが、それがまた涼しくて快適なのだからいうことはなかった。眼下には澄んだお釜の湖面があり、周囲は火山の噴火口のような荒々しさが際だっている。休憩後はそのまま直進しながらお釜の淵へと降りてゆく。さながら海抜0メートルといった地点に佇むと見慣れたお釜も不思議な感動があった。馬ノ背を歩いている観光客や登山者を見上げると豆粒ほどの小ささだ。五色岳とお釜の散策を終えれば馬ノ背への登り返しが待っている。ここは200mほどの登りだがきつい勾配に汗がしぼりとられた。
馬ノ背は大勢の登山者や観光客で賑わっていた。そんな喧噪を避けるようにそそくさと熊野岳へと向かうことにする。日差しは相変わらず強かったが、吹く風は爽やかで湿度はほとんどないような快適さだった。山頂直下のわずかな斜面を登ればそこは蔵王の主峰、熊野岳の山頂である。ここには蔵王温泉からの登山者も多く、たくさんの人たちで賑わっていた。
熊野岳からの大展望と天然クーラーを味わいながらしばしの昼食休憩が始まった。ときどき視界を遮るようなガスが覆っていたものの、天候が崩れる気配はいささかもない。今日の山頂は涼しく下界の猛暑など信じられないようだった。
熊野岳からは一路中丸山へと向かう。このルートは歩き慣れたとはいえ逆に下るのは個人的には初めてだ。それだけで新鮮さがあるのだが、下るに従って気温が少しずつ上がるのにはまいった。汗が全身から噴き出してくるのである。メンバーも結構疲れているのだろう。ペースが遅れ気味の人を待ったりしながら中丸山へと登り着いた。ここからながめると刈田駐車場はほとんど同じような高さにあるのがわかった。仙人橋まで下りあそこまで登り返すことを思うと気が滅入りそうだった。
中丸山からは一気に仙人沢の沢底をめざして下るだけである。何回も登っているのでたいしたことはないだろうと考えていたのだが、少々それは甘かったようだ。距離が結構あっていくら下ってもつり橋が見えなかった。ようやく眼下に見えたときには本当にホッとする気分だった。みんなも同じ気持ちだったのだろう。つり橋のベンチに腰を下ろすと疲れがどっと出てきたような気がした。
さてここからはゲレンデまでの急登をひと登りして、それから刈田駐車場までの標高差300mほど登らなければならない。この登り返しがみんなつらいと言い出してしまったことから僕は一人で車の回収に向かうはめになった。涼しければ何ということもない登りのだが、運の悪いことにこの時間帯から日差しが一気に強まったのだ。これではたまらんとばかり日傘を取り出した。
スキー場のゲレンデからはお清水の森を経由する。登り口には東屋があり、すぐそばには冷たい清水が豊富に湧いていた。ここは女人禁制の時代、女性の参詣者がお山参りをしたといわれるルートで、周囲には杉の大木やブナ林が広がっている。昔からある刈田岳への登拝路であり、さらに古石仏が至る所にあって興味がつきない登山道だった。
しばらく樹林帯のため日差しが遮られるだけ救われたが、しかし第2リフト乗り場付近でそれも終わる。きらつくような日差しが頭上から降り注ぎ、それだけで体力が奪われそうだった。ゲレンデを過ぎると少し雲が広がったたがここまで登れば残りの距離はそれほどではない。途中の湿原一面に咲くキンコウカを眺めながらのんびりと歩いてゆくと刈田駐車場はそこからまもなくだった。
お釜 |
五色岳へ向かう |
五色岳目前 |
お釜のお鉢巡り |
馬ノ背 |
ヤマハハコ |
仙人橋 |
キンコウカ |