山 行 記 録

【平成23年4月30日/飯豊連峰 梅花皮荘〜西俣ノ峰】



西俣ノ峰から望む杁差岳



【メンバー】西川山岳会(柴田、神田、大江、荒谷、蒲生)
【山行形態】山スキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】1,023.2m
【地形図】(2.5万)長者原、(20万)新潟
【天候】曇り後雨
【温泉】梅花皮荘 500円
【参考タイム】
梅花皮荘(300m)7:00〜奥川入7:15〜登山口7:35〜大曲り分岐8:30〜727m峰9:00〜西俣ノ峰10:00-10:30〜登り返し地点10:50〜700m11:10〜登山口11:30-12:00〜梅花皮荘12:45

【概要】
 西俣ノ峰は飯豊連峰における冬山ルートである。西俣ノ峰からさらに進めば頼母木山に至る。以前から山スキーでたどってみたいと思いながらも何年も過ぎていた。今回は好天を見計らってのGWの計画だったが天候はあまり芳しくない。小国町では昼過ぎから雨が本降りとなり、周りの景色も雨に煙っていてほとんど見えなかった。今回のメンバーは遠方からが多く、前日、梅花皮荘駐車場の一角にテントを張り、昼過ぎからはさっそく車座になり天気祭りが始まった。雨は音をたてて降り続いていたが、雪上にテントを張ったため至極快適な幕営生活だった。

 翌日は朝から高曇りの天候だった。まあ雨は降らないだろうと決めて7時に駐車場を出発した。梅花皮荘から奥へ進むと民宿「奥川入」があり、ここから一面に雪原が広がっている。雪さえあればどこの尾根からでも取り付けそうだったが、どの尾根を見ても雪はほとんどなかった。いったいどこを滑ってこられるだろうかといささか不安気味だった。

 夏道の登山口から尾根に取り付くと、そこからは急坂の連続だった。尾根には全く雪は見当たらない。沢沿いにはまだかなりの残雪があり、その白い残雪と萌葱色のブナ林が美しく、実にうっとりとするばかりである。登山道にはイワウチワやカタクリが咲き乱れ、この飯豊連峰にもようやく遅い春の訪れを告げているようだった。

 今日は気温もかなり高いのだろう。汗が全身からほとばしるように流れた。主尾根まではそれほどの高さはないのだが、スキーを担ぎながら岩場混じりの急坂ではペースもなかなか上がらなかった。主尾根にあがるとそこには「大曲り分岐530m」と標識がぶらさがっている。左手には真っ白に輝く飯豊本山やダイグラ尾根、そして御西へ連なる稜線が見えた。大曲りからは勾配もかなり緩やかになったのだが、雪のない状況では気持ちがいまひとつ盛り上がらなかった。

 シール登行が可能になったのは700m付近からだった。ここからは727m峰の前方に西俣ノ峰を望むことができる地点だ。さらに左手には西俣ノ峰から伸びる急峻な尾根筋が沢底へと落ちている。心配していた天候も、いつのまにか一面に青空が広がっていて、今日はどこまでもゆけそうな空模様にみえた。

 700m付近で休んでいると今日、頼母木小屋泊まりだという3人連れが登ってきた。さらにその先では早くも西俣ノ峰から下ってくる単独の男性に出会った。昨日はかなりの悪天候だったらしく、頼母木小屋までもたどり着けなくて途中でビバークした人だった。やがて前方が大きく開けると西俣ノ峰の山頂だった。ここは飯豊連峰の大展望台ともいえそうなほど視界が広がっていた。山頂で休んでいると頼母木山から下山途中の登山者が下ってきた。この人もやはり悪天候のためビバークしたらしく、目的を果たせないで下る悔しさをつぶやいている。

 西俣ノ峰から谷の向こう側には杁差岳が望めた。ここからどうやって往復してこようかなどと思いは広がるばかりだったのだが、この頃から空模様が怪しくなり始めていた。すでに関川村あたりは雨が降り出し始めたのかすでに真っ暗だった。今日の天候は変わりやすく早くも下り坂の様相だった。

 時間はまだまだ早くできれば頼母木山へと向かうはずだったが、山スキーにきて雨だけはいただけない。先週も僕たちは雨に祟られているのである。今日は潔くこの西俣ノ峰を山頂と決めて引き返すことにした。30分ほどの休憩を終え下り始める頃には早くも小雨がふりだしはじめていた。

 西俣ノ峰からの滑降はザラメということもあって快適だった。高度が下がると天候の悪化もほとんど気にならなくなる。登りの尾根道はスキーでくだれないため、僕たちは途中から沢筋を狙って降りてゆく。しかし、下るに従って雪の状態が怪しくもなり、安全策優先ということになる。結局途中で登り返して727m峰へと戻った。

 727m峰からは西ノ俣沢沿いに斜面を滑ってゆく。途中で尾根にいったん戻ったものの、スキーを担ぐとまた目の前に雪が現れたため、僕たちは再びスキーで下ることにした。仙台組の二人は安全を優先し、スキーを担ぎながら尾根を下ることになった。この斜面は途中デブリの通過こそあったのだが、最後まで雪がつながっていて、なんとか登山口へと滑り込む。200mの高度差もスキーで下れば瞬く間だ。僕たちは歩きの二人を待ちながら雪原で大休憩となった。まだ12時を過ぎたばかりだった。スキーを担いだ二人組はそれから30分もたった頃になってようやく降りてきて短い山スキーの一日が終わった。


二日目の朝、梅花皮荘の駐車場


奥川入から飯豊連峰を仰ぐ


奥川入から雪が現れる


尾根の取り付き


大曲り分岐


ようやく雪が出てきました


727m峰付近を登る


気持ちが良いです


イワウチワ


デブリ地帯の通過


コース概要

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