山 行 記 録

【平成23年2月12日/朝日連峰 白太郎山】



白太郎山の山頂



【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】朝日連峰周辺
【山名と標高】 白太郎山 1,002.8m
【地形図】(2.5万)徳網、(20万)村上
【天候】晴れときどき曇り
【温泉】西置賜郡飯豊町「がまの湯」400円
【参考タイム】
駐車地点(325m)8:30〜766mP〜白太郎山11:20-11:40〜駐車地点12:00
  
【概要】
 白太郎山は徳網山と祝瓶山のちょうど中間付近に位置しており、荒川の左岸に聳える山である。朝日連峰とはいっても祝瓶山からなんとか尾根がつながっている程度だから、どちらかというと朝日連峰周辺の山ということになるだろうか。この山には夏道はないので、雪のあるこの時期にしか登れない。徳網山と比較すると標高は120mほど高く、1000mをちょっと超える。登り口で325mほどだから標高差は約700mで、夏であれば2時間程度というところだろうが、冬は豪雪地帯のために倍以上の時間を要する山となる。

 前日の湯殿山の疲れが残っていて自宅を出るのが遅かった。今日も南岸低気圧の影響で天候がどう変化するかわからなかったが、迷ったあげく気にかかっていた白太郎山へと出かけてみることにした。豪雪の今冬においてやはりこの山をはずすわけにはゆかないというのもあった。

 小国町最奥の集落、徳網地区は小国町の中心部からは20キロも山奥にあるため、積雪の多さは想像以上のものがある。いつも車を停める地点からは雪壁が見上げるほどの高さにあって唖然とさせられた。これではスキーで取り付くわけにもゆかず、近くの民家の入り口付近から登らせてもらった。民家で飼っている柴犬から盛んに吠えられながら山へと入って行く。

 すぐに急斜面だが積雪があまりに多いためか斜度がいつもよりもなだらかに感じる。杉林を抜ければもうそこはブナの疎林帯だ。今日もまた登る人はいないのか、貸し切りのラッセルだが、堅いベースの上に30〜40cm程度の新雪が載っている程度なのでそれほど大変というわけではない。むしろ森閑としたブナ林を黙々とシール登行をするのは心地良いばかりだった。

 天候は朝から高曇りといった状態でときどき雲間から日の光が淡く滲んで見えた。一部には青空も透けて見えそうな程だ。穏やかなブナ林に佇んでいると気持ちが落ち着くようである。これならばいくらでも登って行けそうな気がするから不思議だった。後ろを振り返ると徳網山があり、それは登るに従って徐々に低くなってゆく。樋倉集落も眼下に見えてくると高度もだいぶ稼いだ気分になった。やがて766ピークを過ぎると前方に山頂から派生する尾根が見えてくるようになる。疎らだったブナ林はますますその間隔が広くなり、そして見事な太さのブナが多くなる「白い森の国おぐに」の面目躍如といったところだろうか。

 そんなことを考えながら登っていると途中から不意に下からのトレースが現れてびっくりする。良く見れば今日のトレースである。そして登りのラッセルの傍らには一緒にシュプールも残っていた。早くもこの単独行の人は下ってしまったようであった。どうやら僕とは全く違ったコースから登ってきてこの800m地点で合流した形らしかった。なにはともあれトレースがでてきたためにここからのラッセルは不要となったのである。この分ならば予定よりも早めに山頂を踏めるだろうと思った。

 山頂部が近づくに連れて天候はますますよくなってくるばかりだった。上空を見上げればいつのまにか澄んだ青空が広がっている。霧氷のブナ林と新雪と青空のコントラストは実に美しいばかりだった。

 白太郎山には2時間50分で到着した。登り始めは軽いラッセルも766m峰を越えると深い新雪となったが、途中から現れた先行者のトレースのおかげで大分時間が短縮できたようだった。いくら天候が回復したとはいえ、快晴とまではゆかず、祝瓶山の雄姿は残念ながらみえない。しかし山頂からの展望は抜群でやはり山スキーとはいえ、山頂のピークを踏んだ感激は大きいものがある。僕はしばらく展望を楽しみながら疲れた足を休めることにした。

 山頂からの滑降は至福の極地といったところだろうか。適度な深雪はスキーも良く走り、そして心地よく浮いてくれる。雪は軽くてどこでも自在に滑ってゆけそうだった。滑るほどにこの白太郎山は山スキーの山なのだなあとつくづく思った。

 自分のシュプールを撮影するために何回か立ち止まったものの、まもなく杉林が目前となり最後の急斜面が近づいていた。3時間かけて登った山だったが下りは20分で滑り降りた事になる。山スキーの機動力をいまさらながらに思うばかりである。考えようによってはなんとももったいないような気がするようだがこの刹那性こそ山スキーの醍醐味なのだろう。そんなことを考えながら滑っていると眼下には民家が見えてきた。


駐車地点


このお宅の手前から登らせてもらいました


家の裏手です


盛んに吠えられました


最初は浅いラッセルです


心地よいブナ林を登ります


山頂から振り返ったところ


山頂から滑降が始まります


樋倉集落が眼下に


快適な滑降が続きます


快適な滑降が続きます


県道がゴールです



ルート

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