山 行 記 録

【平成23年1月22日/吾妻連峰 高湯温泉〜家形山】



家形山山頂で



【メンバー】西川山岳会3名(荒谷、上野、蒲生)
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】 家形山 1,877m
【地形図 2.5万、20万】(板谷・土湯温泉・吾妻山)(福島)
【天候】雪
【参考タイム】
スカイライン除雪終了地点9:00〜賽河原9:50〜山鳥山10:20〜井戸溝11:25〜慶応吾妻山荘分岐11:45〜慶応吾妻山荘12:00-12:30〜1700P13:00〜家形山14:00〜大根森14:25〜慶応吾妻山荘分岐14:50〜山鳥山〜ゲレンデトップ15:15〜林道終点15:50〜駐車地点16:00

【概要】
 今回は先週に続いて山岳会メンバー総勢3名によるスキーツアー。山形県内が例によって雪模様のため恒例になっている高湯温泉から家形山をめざすことにした。もちろん廃業した吾妻スキー場のパウダーを楽しむためである。できれば今回は家形山からの滑降も楽しもうとモチベーションはいつもよりも高めだった。

 スカイラインの除雪終了地点では2〜3台の車が入っていて今日のコースは結構賑わいそうだ。平地の積雪はそれほどではないが、山に入ればどこも今年は雪が多いようだった。上野さんの車がパンクをしたとかで出発時間が遅くなったものの、そのかわりラッセルの必要はなくなり、ルート上には高速道路ができあがっていた。今日の家形山は楽勝かも知れなかった。

 快晴の天候を予想していたのだが、意外にも雪は絶え間なく降り続いていた。出発は午前9時。風も結構あって山は風雪だろうと思ったが、コースそのものはしばらく樹林帯が続くのでそれほど心配はない。トレースは靴程度の深さだったが斜度が増すと結構なラッセルなので今日のトップは大変だろうと思った。

 賽河原まで登ればしばらく平坦な山歩きが続く。途中の井戸溝は夏山では水場ともなるところだが、この沢もかなりの積雪に埋まり橋もほとんどわからなくなっていた。徐々に高度を上げて行けばまもなく慶応吾妻山荘分岐に着く。トレースは山荘方向へと続いていて僕たちもそれを追った。小屋の管理人は不在だったが先客は中に入ってストーブを焚いているようだった。僕たちは入口の一角を借りて昼食をとることにした。時間はすでに12時を過ぎていて3人ともシャリバテだった。雪は小降りでも気温は低いので、こんな時の山小屋のありがたさにしみじみとしてくるようだった。

 小屋を出ると別のグループと思われる先人達が早くも下ってきたところだった。私のサイトを知っている方で、昨年も会ったのだといわれて徐々に思い出してくる。先客は方角を少し間違えたとかで反対側のピークに登ったらしく、そのトレースは追わない方がよいだろうとアドバイスを受けた。しかし、途中まで登ってみるとそこから右手の正規ルートへのトラバースは急斜面に加えてあまりの深雪のため一歩進むにも容易ではなかった。これは少しでもトレースを利用させてもらった方が良さそうだと判断し、先人達の到達点である1700mPまで上がることにした。1700mPからは沢をはさんで対岸に大根森が見えた。正面の高みはすでに一切経山で右手奥のピークは家形山のようだった。ピークの周囲は深い樹林帯となっていて進むのも容易ではなかったが、少し降りてから杉林の密林を抜けると正面が開けてきた。ここを登れば五色沼の外輪山の一角である大石に出るようだった。雪は相変わらず降り続けていたのだが、それでもときどき薄日が差す天候でそれほどの悪天ではない。この分ならば家形山までは可能だろうと思った。

 大石から見下ろすと五色沼は風雪のためにうっすらと分かるだけで全体像は見えなかった。稜線は吹きさらしのため岩が露出していて雪はほとんど吹き飛んでいた。僕はシールのまま岩の上を進み、上野さんと荒谷さんは途中からスキーを担いで鞍部へと降りてゆく。鞍部から家形山までは見上げるほどの高さだが、標高差はたいしたことはない。しかしここはなかなか登る機会が少なく冬期に登るのは初めてだった。はじめシュカブラのため歩きづらかったが徐々に雪面が柔らかくなりスキーアイゼンまでは必要なかった。これならば山頂からは快適に下れるだろう。

 家形山到着は午後2時。この時期の日没時間を考えればタイムリミットだろうと思ったが、みんなの体調に問題はなく3名とも初めて家形山に登頂した感激にしばらく浸った。山頂の雪はほとんど吹き飛んでいたものの、すぐ近くの樹林帯をみると深々とした雪に埋まっている。山頂における強風のすさまじさと吾妻連峰の雪の多さを思うばかりだった。

 せっかく登り切った家形山。のんびりとしたいところだが時間も気にかかるのでシールをはがして早めに下ろう。五色沼へと滑り降りてゆく快適さは登った人だけの特権であろう。雪は適度に柔らかい新雪のパウダーが一面で、スキーで滑るには何の問題もなかった。それどころか寒気のため雪質がよくて滑りすぎるぐらいなのである。僕は一気に鞍部へと滑り降りて行き、しばらくビデオの撮影をした。

 大石からはいつものルートで下ってゆくことにしたが、ここはまだ誰もトレースを刻んでいないバージンスノーだった。沢を見下ろすと山頂付近などとは比較にもならないほどの積雪量があるようだった。斜度もあるので至福の激パウが味わえそうだ。ここは躊躇するところではなく一気に斜面へと飛び込んでゆくだけだった。このディープパウダーを楽しむために4時間の登りに耐えてきたのである。その喜びは言葉には言い表せないほどである。沢筋を一気に下り途中から左手の尾根に乗ると大根森からは再び激バウの連続だった。下るのがあまりにももったいないので樹林帯で一服をとりながらしばし休憩をとった。まさに至福の時間だった。

 慶応吾妻山荘分岐では山荘の管理人に出会って少し立ち話をした。休憩で小屋を利用させてもらった礼を申し上げたが、管理人はここまでのラッセルに結構苦労したらしく、今日はこのまま2週間ほど山小屋に滞在する予定だとため息をついていた。

 慶応吾妻山荘分岐からは無人となった吾妻スキー場のトップをめざして一気に下る。ここも先人達のトレースのおかげでスキーは滑りすぎるくらいだ。深雪とトレースを交互にたどりながらスピード調節をするだけなのでここは快適なツリーランを楽しめる区間でもある。

 スキー場のトップからは今は営業廃止となった吾妻スキー場のゲレンデが広がっていた。もちろん深々としたパウダーの世界だった。天候は下り坂なのか雪が絶え間なく降り続いていたが、邪魔になるものはほとんどない。僕たち3名はそれぞれ勝手気ままにスキー場を飛ばした。滑っても滑っても限りがないようなパウダーの世界だった。そして今回は「バニーハット」にはまわらずにそのまま最後までゲレンデを下ってゆき、途中から林道へと降りていった。もちろんトレースがあったからだが、最後はスカイラインに飛び出し駐車地点へと滑り込んで今回のスキーツアーが終わった。駐車地点到着は午後4時。今日の全行程7時間、滑降高度1050mと、いつにないほど充実したスキーツアーのため、全身に心地よい疲労感が漂っていた。



出発です


慶応吾妻山荘に到着です


先客がいました


山荘の入口(雪に埋まっていました)


昼食を終えて慶応吾妻山荘を出発です


五色沼への登り(風雪に耐えています)


五色沼の大石に到着しました


家形山への登りです


家形山の標識


家形山の山頂(雪が舞いはじめました)


大根森付近 雄叫びが聞こえそうです


駐車地点に無事到着しました


今回のルート(赤は登り、青は下り)

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