山 行 記 録

【平成23年1月10日/細野〜白鷹山】


虚空蔵神社(白鷹山山頂)


【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】白鷹丘陵
【山名と標高】白鷹山994m
【天候】曇り時々晴れ
【参考タイム】
白鷹町細野(国道348号駐車地点)10:30〜白鷹山(虚空蔵神社)14:00-14:30〜駐車地点15:45
  
【概要】
 白鷹山は朝日連峰からわずか東に離れた、白鷹町、山辺町と南陽市との境界地点に位置し、白鷹丘陵の中心をなしている山である。山頂には虚空蔵神社が建 ち、四方から登山口もあって、標高が1000mに満たないことから、四季を通じて多くの参拝者、登山者が訪れているが、もちろん冬には登る人はまれで、山 スキーとしての記録もあまり聞かない山である。

 今日の予定は湯殿山だった。悪天候はある程度予想していたので今日はあくまでラッセル訓練のつもりだった。 しかし想定していた以上の悪天候そして一向に止まない地吹雪には唖然とするばかりだった。今日のようなひどい悪天候、そして積雪は志津温泉界隈では初めて のような気がした。待ち合わせをしていた山岳会のメンバーからも山越えをできないとキャンセル連絡が届いていた。駐車スペースには県外からの車も何台か あったのだが、結局全部引き返して行き、僕もしばらくしてから志津温泉を後にした。そして自宅へ戻る途中で決めたのが今日の白鷹山だった。地形図もないの に決めたのは一部に青空まで見えるほど下界は晴れていたからである。

 前回は白鷹トンネル付近から登り始めたのだが今回も同じではつまらないので、白鷹町の細野地区から登ること にした。細野地区は標高もずっと低いのでそれだけ登り甲斐もあるだろう。国道348号の除雪で広くなった路肩に車を置き、ここからシール登行を開始した。 しばらく棚田のような雪の緩斜面を登ってゆく。降雪直後の積雪はかなりあってスキーは膝までもぐった。ラッセル訓練なのでうれしいばかりだが出だしが遅い だけにこれでは今日中に山頂を踏めるかどうかが怪しくなった。

 まもなく白鷹町の史跡「かぶと松」という箇所を通過する。そして尾根はここから前方の高みへとつながってい るようだった。右手に林道らしき部分があるがどこへつながっているかは分からないので尾根伝いが無難だと判断した。まもなく林道の道形らしき部分を横断す る。しかしここも安易にたどってゆくわけにはゆかず、ここからは杉林の急斜面をひたすら登った。

 はじめは半分ヤブのような尾根に閉口させられたが、積雪は徐々に増えて、次第にどこでも登ってゆけそうなほ どになった。やがて見晴らしの良い場所に飛び出すと国道348号と自分の車を停めた地点が見えた。高度計をみるとこのあたりでの標高はおよそ600m。結 構登ってきたつもりだと思っても駐車地点からはまだ130mほどしか登ってはおらず、山頂まではまだ400mも登らなければならないのだと知ってがっかり だった。深雪のラッセルに歩みは遅々として進まず、行程的にはまだまだ序盤戦なのだった。

 途中のある地点から登山道らしき部分が現れてきたためそこからはそのくぼみに沿って登ることにした。地形図 がないのでなんともいえないのだが、やはりここは細野地区からの登山道があるようであった。高度が徐々に上がってゆくと左手には大きなピークが現れ、そし てその右奥には雨量レーダーの立つピークが見えてきた。青空も大きく広がりだして春山のような日差しさえ降り注ぎ始めてきた。こうなると膝上のラッセルと はいえ俄然山頂への意欲も湧いてくるようだった。

 登山道の切り開きがわかるだけでもヤブをかき分けるよりも遙かに登りやすいのは確実だった。登るにしたがっ て太い杉や松の木、それにブナやナラなども多くなる。途中一段と高いピーク付近でルートを見失うが、このピークを踏んだことでまた先に尾根が続いているの を確認することができた。 この尾根は樹林が混んでいるため山スキーには適さない感じだが、今回降った多くの積雪のおかげで下りもそれほど苦労することは なさそうだった。しかし歩き出してからすでに3時間が経とうとしていた。その分だけ両足にも疲れが見え始めていた。ふと気を緩めると筋肉が攣ってしまいそ うになった。ようやくブナの疎林帯になるとそこは山頂から連なる稜線だった。この辺りは前回、5年前に登ったときも通過しているので記憶に残っていた。左 手の高みへと進めば山頂の虚空蔵神社もまもなくのはずであった。

 山頂には3時間30分かかって登り着いた。たった500mそこらの登りにこれだけかかったのはやはり単独 ラッセルに苦労したのだろうが、一方ではラッセル訓練と称した目的は達したわけだった。目の前には「白鷹山バイオトイレ」と看板が掲げられた新しい建物が いつのまにか建っていた。その後ろに休憩小屋と虚空蔵神社がある。耳を澄ますと小屋の方角から人の話し声が聞こえてきた。休憩小屋の前では7、8名の登山 者が昼食を終えてこれから下山を始めるところであった。こんな時間に出会うとは思っていなかっただけにお互いに驚いたようだ。団体は大平からカンジキで 登ってきたようだった。スキーの私を見てみな一様に驚いていたが、記念写真を手伝ってあげると団体はまもなく大平へと下山していった。

 僕は静かになった山小屋でひとり昼食時間をとることにした。いままで薪を燃やしていたらしく、囲炉裏からは 煙がまだ燻っており小屋内には煙がまだ充満していた。外もそれほど寒さは感じなかったが、日差しがあっただけに汗をかいてしまい、動かずにいるとたちまち 冷えてくるようだった。やはり小屋の中の方が断然よかった。

 昼食が終わればシールをはがして滑降の開始だ。元の道を下るだけだが雪が深いだけに少々の斜度では滑らない ので自分のトレースをたどるのが手っ取り早い気がした。それでも稜線からしばらくはブナの疎林帯があって、そこはトレースに関係なくターンができるから結 構パウダーを楽しめる区間だった。ヤセ尾根になるとジグザグのトレースを無視してほとんどショートカットで下ってゆく。途中、702mピークへの登り返し を嫌ってそこは左から回り込もうとショートカットで下ったらトレースを見失ったりした。方角はわかっているのだが、小さな支尾根がいくつも現れてくるので なかなか元きたルートに戻れずしばらく四苦八苦した。一度スキーを外したら腰まで体が潜って身動きが取れなくなったりした。

 地形図さえあればそれほど苦労することもなかったのだろうが、結局トレースを追いながら最後まで下ることに した。当然ながら他に登ってくる人もなく、出会う人もなかった。国道が見える地点まで滑り降りてくると、いつのまにか雪が舞い始めていて、青空はどこをさ がしても見つからなかった。歩き始めたのが遅かったとはいえ、西の山は雪雲に覆われて、置賜の里にはすでに日没が迫っているようであった。


駐車地点(R348号)

かぶと松

雨量レーダーのピークは右奥

駐車地点が見渡せる

ブナの疎林が広がる

山頂に建っていた新しいバイオトイレ


コース概要

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