山 行 記 録

【平成22年1月8日/坊平高原〜刈田岳】



リフトトップでは晴れていたのだが・・・



【メンバー】単独
【山行形態】山スキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m(※馬ノ背まで)
【地形図】(2.5万)蔵王山、(20万)仙台
【天候】風雪
【参考タイム】
ライザスキー場リフト終点10:00〜お田ノ神〜廃線リフト10:40〜馬ノ背11:10〜お田ノ神避難小屋11:50-12:30〜ライザスキー場13:00

【概要】
 天気予報ではこの3連休は荒れ模様だった。そのなかでも初日が一番よいようなので久しぶりに蔵王に向かうことにした。ここならば少々荒れても刈田岳ぐらいは楽勝だろうという見込みである。予想外に天候が良ければ澄川へも下れるのである。

 上山市は朝から青空が広がり今日の好天は間違いなしだろうと思われた。しかしライザスキー場が近づくにつれて、稜線はほとんど見えなくなり、中丸山がどうにか判別できる程度となったのを見ていささか気落ちしてしまった。それでもスキー場トップはまだ視界があったからよかった。先行者も目の前に3名、さらにその先へも2人分ぐらいはありそうだった。

 積雪はここ蔵王連峰でも驚くほど量が増していた。厳冬期並の樹氷が立ち並んでいてどこへでもシール登行は可能だった。しかし天候は下り坂だった。お田ノ神避難小屋を過ぎる頃から視界はほとんどなくなってしまい、さらに風雪が追い打ちをかけてくるようだった。先行していた3人組を途中で追い越したが、なんとなく初心者がいるのかまごついているように見えた。

 寒気は今までにはないほど強烈なものであった。それでも廃線リフトまでたどりつくのは問題はなかった。あとは目の前にある斜面を登れば馬ノ背。そして刈田岳まではいささかも距離はない。それに悪天候が続けば山頂の避難小屋へ逃げ込むことができるのである。

 コースはいつものとおり登山リフトの下が一番わかりやすかった。しかし木立の全くない吹きさらしというのは厳しいものだった。ホワイトアウトの上にブリザードのような風雪が蔵王連峰に襲いかかっていた。リフトトップの小屋を過ぎると風はさらに強まった。まもなく馬ノ背が近づいていた。目出し帽はとっくにつけていたが、それでも顔が引き裂けそうなほどの冷たさである。それも後ろからの風でさえそんな具合なのだから、これが下りとなれば想像以上だろうと思わずにはいられなかった。GPSは持っているので不安感はそれほどではなかったが、今日の天候はあまりにひどすぎた。今日はおとなしくお田ノ神避難小屋へと戻った方が良さそうだった。

 馬ノ背から引き返すと猛烈な風と雪がぶつかってきた。取りあえず無防備では何も出来ず、リフト小屋で風を避けながらゴーグルなどの完全装備に身を固めた。シールをはがすこともとりあえず中止だった。そんなことをする余裕もなかったのである。リフト下を下るのはあっという間だった。廃線小屋に戻ると先の3人組がそこから引き返すところだった。そこまではよかったのだが今度は避難小屋を探すにも苦労しなければならなかった。GPSには小屋の位置が入っているのだがホワイトアウトではそれでも困難なときはあるのだ。右往左往しながらもどうにか小屋を見つけたのだがまたまた難題が降りかかる。今度は小屋の窓が凍っていて開かないのである。いくら叩いても氷を削っても窓は開かず結局断念するしかなかった。しょうがないので僕は小屋前にツェルトを張り、とりあえず寒さから身を守ることにした。小屋にはその後も人の来る気配はなかった。

 ツェルトの中は少々の悪天候でも普段ならば天国なのだが、今日の気温はハンパではなかった。異常なほどの寒さではじっとしているのもつらくなり、行動食をとり終えたところで早々に下山することにした。下りは視界不良とはいえ少しずつ周囲が分かるようになり、滑降するには支障はなくなっていた。歩き始めは晴れていたリフト終点付近も、下りではすっかり視界がなくなっていて、リフト終点付近にもスキーヤーは一人も見あたらなかった。僕はゲレンデを滑る興味はほとんどないので、リフト終点からはトレースのないリフト下を滑った。続いてブナの林間に入ってゆきパウダーを少しだけ楽しんだ。短時間だったが耐寒訓練のような一日がようやく終わった。


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