山 行 記 録

【平成23年1月3日/天元台〜西吾妻山〜西吾妻小屋〜若女平〜白布温泉】



若女平から西吾妻を仰ぐ



【メンバー】単独
【山行形態】山スキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西吾妻山2035m
【地形図 2.5万】天元台、吾妻山、白布温泉
【天候】晴れ時々曇り
【参考タイム】
北望台9:40〜カモシカ展望台10:30〜梵天岩〜西吾妻山11:00〜西吾妻小屋11:20-11:50〜若女平12:30〜強清水(ヤセ尾根)13:00〜若女平登山口13:30〜駐車場13:50

【概要】
 先日の若女平があまりによかったために今回は二匹目のドジョウ狙いである。置賜地方は今日も朝から冷え込みが厳しく、朝から快晴の兆しが伺えたが、いざ天元台に上がってみると東大顛の方角は雲ひとつ見あたらないというのに、西大顛のさらに西側、つまり栂峰付近に巨大ともいえるような黒い雪雲が居座っていた。これがまもなく西吾妻山一帯を覆うだろうと思うとなんとなく気が重くなるようであった。

 北望台からは3名のトレースが中大顛に向かって伸びていた。4日ぶりの天元台だったが先日よりは積雪がかなり増えた気がしたが、風で雪が締まったせいなのかラッセルというほどではなく、スキーはほとんど潜らなかった。3名の内一人はスノーシューなのでもしかしたらスノーボードなのかもしれなかった。

 1月ということもあって北望台からの樹氷はすでに完璧にできあがっていた。カモシカ展望台からは目も覚めるような青空が広がり、好天の間にと写真をたくさん撮った。先行者がちょうど鞍部付近を歩いているのが見えた。しかし梵天岩へと向かう途中からガスが広がり始めてしまうと視界はたちまちなくなってしまった。それでも前回よりは風が穏やかなのが救いか。先日は皮膚が切れ裂けそうなほどの風が辺り一帯を吹いていたのだ。

 天元台でみた巨大な雲が西吾妻山付近にやってきたようだったが、それでも時々薄曇りになるときもあった。完全なホワイトアウトではないのでツアーには支障はなさそうだった。3名の先行者達には梵天岩で追いつき、軽く挨拶を交わした。今日の行程は僕と同じように若女平かと思ったら、元の道を引き返す予定なのだと返事が返ってきた。僕は先日踏めなかった西吾妻山に登り、昼食は久しぶりに避難小屋でとる予定である。その場で別れるとガスのために3名はたちまち見えなくなってしまった。

 迷路のような樹氷群を縫いながら登ってゆくとほどなく西吾妻山の山頂だ。ここは吾妻連峰最高峰ということもあって、視界がよければ磐梯山や檜原湖、そして西大顛の様子などを眺めることができるのだが、残念ながら視界はそれほどよくない。といっても方角がわからないほどではなかった。僕はここで無線を飛ばしてみたのだがどこからも応答がなく、しばらくしてから小屋へと向かうことにした。

 西吾妻小屋の入口は凍り付いて最初はなかなか開かなかった。先ほどであった3名が立ち寄ったものとばかり思っていたのだが小屋には誰も入った形跡がなかった。ドアを開けるまでに少し時間がかかったが中にはいるとホッとするようだった。さっそくカップラーメンを作ってコーヒーを飲む。寒いときには温かいものに限る。冷え切った体が中から温まってくると気持ちまでが落ち着いてくるようだった。しかし今日は天候もあまりよくないせいだろう。その後も小屋に入ってくるものは誰もいなかった。

 小屋からはさっそくシールをはがして滑降にうつった。今日の雪質はパウダーとはいっても雪が少し締まっていた。さらに積雪と風のおかげで大きなくぼみといったものがないのでコンディションはよい。しかし前回とは違って下りラッセルの必要はなかった分だけスピードがでるので注意しながら林間を滑らなければならなかった。天候は下るに従って好天へと変わり、日差しも時々差すまでに回復していた。若女平が近くなると鮮やかな青空が広がり、気持ちまでが明るくなるようだった。この辺りの積雪は前回とほとんど変わりがなく、まだまだ雪は少なかった。ブッシュが至るところに残っていてまだまだ快適とは言い難い感じだ。

 若女平付近までくると不意にスキーのトレースが現れた。一人はスノーボーダーで、山スキーが2名。梵天岩で出会った3人組のようである。3人は予定を変更して若女平を下ったものだろうと思った。おかげで前回の下りラッセルとは違い、若女平の平坦部は少しも難儀することはなかった。

 天候が回復したおかげでヤセ尾根からは右手奥にアルブ天元台などを見渡すことができる。そして眼下には遠く新高湯温泉が見えた。視界がきいて天候に恵まれるとツアーは楽しい限りだ。単独ゆえの不安感は薄れ、少しも急ぐ必要もなくなるのである。

 カラマツ林、そして杉林とほぼ夏道に沿いながら下ってゆく。先行者のトレースでは滑りすぎるためになるべく違うルートをとったが、登山道の一部にはトレースがうっすらと残っていた。最後の急坂は先行者のおかげで斜面が荒れに荒れていた。ここは前回のような快適さとはほど遠く、林道に出るまではほとんど横滑りで対応するしかなかった。スカイバレーがみえてくればツアーも終わりとなる。車道はスキーを担いで菓子パンを食べながらのんびりと駐車場へと戻った。


中大巓付近


西吾妻山山頂


西吾妻小屋


若女平


ヤセ尾根から天元台が見えます


若女平登山口(スカイバレー入口)


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