【概要】
今日の朝は冷え込みが厳しかった。米沢市内の気温は氷点下8度。厳冬期の気温にはまだまだだろうが、それでも寒気に触れると皮膚がピリピリとするようだった。明日から元旦にかけて強い寒波が入る予報がでているが、今日だけは好天に恵まれそうに見えた。久しぶりに吾妻連峰に出かけてみることにした。
下界は好天だったが天元台にきてみると早くも薄雲が広がり始めてしまい日射しはほとんどなくなっていた。それでもまだ天候は持つだろうと判断しリフトに乗り込んだ。北望台からは中大巓方向に一人分のトレースがあった。いつものルートとは少し違うものの、ありがたく利用させてもらうことにした。その人とはカモシカ展望台で出会うことができた。先日の月山で出会った米沢の高○さんであった。いつも思うことだが山スキーの世界は本当に狭いなあと思わずにはいられない。
中大巓付近は風の通り道なのか強風が吹き荒れていた。皮膚が切り裂けそうなほどの厳しい寒さのためここから目出帽をかぶった。高○さんも若女平の予定らしく早々と梵天岩へと向かった。鞍部付近で高○さんに追い付き、そこからはラッセルを代わった。天狗岩も風は強かったもののカモシカ展望台ほどではない。しかし、天候は確実に下り坂のようだ。視界はまだそれなりにあるのだが、西の空には雪雲が迫っていた。高○さんとは天狗岩で別れて僕は西吾妻小屋へと向かった。小屋のすぐ手前にツアーコースを示す標識が立っている。晴れていればここから飯豊連峰が正面に見えるのだが今日は全く展望がなかった。ここで僕はシールをはがして若女平のツアーコースへと下ることにした。振り返ると高○さんはまだ天狗岩にいるのが見える。彼は山小屋に立ち寄るといっていたのでだいぶ遅れて後を追ってくるだろうと思った。
さて、いつもの若女コースである。当然だが誰もおらずトレースも全くない。積雪はまだ幾分少ないものの豊富な新雪の斜面は楽しい。さすがに2000m峰である。軽すぎるくらいの粉雪がこんなに楽しいというのは久しぶりの感覚だった。それも一度にどっと降ったためだろう。転倒するとなかなか立ち上がることができないほどで底なしの感じさえするほどだった。
若女平の平坦部まできたところであまりの深雪になかなか進めなくなっていた。いわゆる下りラッセルというやつだ。スキーが滑りすぎるためにちょっとした登りでも手こずってしまい、しょうがないのでこの平坦部分だけはシールを貼ることにした。ここでシールを貼るなどというのは初めてのような気がした。それだけ単独のラッセルは難儀だということなのだろう。若女平を示す赤い標識を確認し、斜度がでてきたところでシールをはずし滑降に移った。まもなく強清水のヤセ尾根だった。
ヤセ尾根の積雪も結構あって安心した。ブッシュはまだ残っているがこれぐらいはしかたがないだろう。トップでこの区間を滑るときには直滑降がちょうどよい。適度なブレーキがかかるので快適に滑降できるのである。ヤセ尾根を通過するといつもはカラマツ林へと下ってゆくのだが、さすがにここだけはヤブが少し残っているので夏道に沿って下った。
何気なく前方を見ると何かの視線を感じた。目を透かして見ると尾根の右手からカモシカがこちらを見ているのに気付いた。カモシカはしばらく身動きもせずにいたのだが、写真を取り終えるとまもなくカラマツ林の中に下っていった。しかしいつもよりも逃げ足が遅いようだ。カモシカもまたラッセルに難儀しているらしく、スキーだとすぐにでも追いつけそうであった。
夏道沿いはブッシュもなく、道が開けているので難なく下ってゆくことが可能だった。最後は杉の植林地で、急斜面のため普段は横滑りぐらいしかできないところだが、雪が深いだけに今回はスキーの技術も何もいらない。足を少し動かすだけで下ってゆくことができて、ここは最高に楽しかった区間であった。
梵天岩と先行する高○さん(カモシカ展望台から) |
天狗岩の吾妻神社 |
若女平のツアー標識です |
若女平はシールを貼ってラッセルでした |
急斜面を下るとヤセ尾根に到着します |
ヤセ尾根も直滑降です |
すぐ近くにカモシカが・・・ |
はじめてみるツアー標識でした |
終点近くの尾根です |
橋を渡るとまもなくゴールです |