山 行 記 録

【平成22年11月6日/朝日鉱泉〜上倉山



上倉山から小朝日岳



【メンバー】単独
【山行形態】秋山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】上倉山1,144m
【地形図】(2.5万)朝日岳(20万)村上
【天候】曇り後晴れ
【参考タイム】
朝日鉱泉6:15〜分岐〜上倉水場8:15〜上倉山9:00〜クロベ分岐〜上倉山10:20〜朝日鉱泉11:50

【概要】
 初雪の便りもあちらこちらで聞こえ始め、高山では多くの積雪に覆われているだろうと思われた。そんな中で行き先を決めるのは結構難しいものである。本格的な冬山にはまだまだ気分が乗らないので今回は朝日鉱泉から上倉山へと計画した。11月ともなると猿渡取水口の吊橋はすでに踏み板が取り外され、その先の朝日川に架かる吊橋も板は外されていた。

 今日は高気圧に覆われるはずだったが朝からすっきりしない天候だった。雨合羽を着るとますます気分が滅入ってしまい、だらだらと登山道を歩きだした。朝日川から対岸に渡ると地蔵様があり、ここで安全祈願のため手を合わせてゆく。昨年と同様に、できれば御影森山までは行きたいのだが1000mを超えれば相当な積雪だろうと考えると、無理をしてまで進む気持ちはなかった。

 このコースは最初こそ緩やかな勾配から始まるのだが、まもなくすると上倉山への怒濤のような急坂が連続する。上倉水場までは一息をつく暇もないほどの急斜面が続くのである。昨年はそれほど苦労することもなく登った覚えがあるのだが、今年はなかなか水場までが遠くて、一時は途中で止めようかと思ったほどである。年々体力が落ちているのを認めないわけにはゆかなかった。

 結局水場までは2時間もかかってしまった。その手前から積雪が現れ始めて、水場の周囲はうっすらと雪化粧をしていた。初冬らしい風景といえばそれまでだが、寒々としたわびしさを感じるばかりだった。ここまでは雪面に昨日か一昨日と思われる一人分の踏跡があったのだが、ここから先には全く踏跡はなくなっていた。かわりにウサギのトレースが登山道に沿って続いていた。久しぶりの雪山とはいえ、まだこの辺りでは標高もそれほどではなく、また雪も少し消えたらしく、積雪は予想よりも少なかった。

 上倉山には3時間近くを要してようやく登り着いた。気温は低いにもかかわらず急坂では汗をだいぶ搾り取られてしまった。周囲には結構積雪が見られるものの、さすがに山頂付近には雪はなかった。ブナ林の間からは小朝日岳が朝日を浴びて輝いていたが、大朝日岳は雲に隠れて姿をみることはできなかった。

 この上倉山から引き返してもよかったのだが、時計を見ればまだまだ時間は早かった。周りに明るさが戻ってきたこともあり、少し先まで足を延ばしてみることにした。少し降りてゆくと、「日本一のクロベ」への分岐に着く。ここは昨年見学しているので割愛してさらに先へと進んでみる。するとどんどんと高度が下がってゆき、前方に見える御影森山の稜線が逆に立ち上がってくる。このころになるとようやく高気圧が張り出してきたのか、青空が広がるとともに雲の間からは眩しいほどの日差しが降り注ぐまでになった。一方で積雪は徐々に増すばかりなのでどこで引き返そうかと思いあぐねていた。どうせ御影森までは行くつもりはないので、思い切って適当なところから折り返すことにした。

 登り始めこそ寂しい雰囲気が漂っていたのだが、青空が広がり始めると気持ちまでが晴れ晴れとしてきていた。寂しい冬山に一人きりで少し緊張気味だったのかもしれない。引き返すと決めてしまうと心が少し軽くなったような気がした。「日本一のクロベ」への分岐点ではようやく登山者と出会うことができた。今日初めて出会う登山者であった。ヘルメットを被り、大きなザックを背負ってはいるものの、キノコ採取のための籠も携えているので目的は違うのかも知れなかった。この人は立ち話を終えると「日本一のクロベ」へと降りていった。

 日差しが降り注ぐようになると周囲の紅葉も見違えるほど輝き始めていた。上倉山付近ではすでに冬支度をおえているようだったが、少し下ればまだまだ紅葉は盛りを見せていた。この時期は降り積もった落ち葉を蹴散らしながら下ってゆけるのが楽しいのだが、午後ともなると日没は瞬く間にやってくるだろう。僕はおそらく今年最後の朝日連峰の山歩きになるだろうと考えると感慨深くもなり、残りの区間は周りの景色を惜しみながらのんびりと下ってゆくことにした。



上倉山直下(雪道が続きます)


上倉山


上倉山付近の雪


紅葉が眩しい


気持ちの良い青空が広がっています


橋の板がはずされています


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