山 行 記 録

【平成22年9月24日〜25日/日暮沢〜清太岩山〜竜門山〜竜門小屋



竜門小屋



【メンバー】単独
【山行形態】冬山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】清太岩山1,465m、ユーフン山1,565m、竜門山1,688m
【地形図】(2万5千)朝日岳、(5万)村上
【天候】(24日)曇り時々晴れ(25日)曇り
【温泉】山形県朝日町 西五百川温泉150円
【参考タイム】
(24日)日暮沢小屋 9:00(620m)〜清太岩山 11:30〜ユーフン12:10〜竜門山13:00〜竜門小屋13:10
(25日)竜門小屋7:00〜竜門山〜ユーフン〜清太岩山8:05〜日暮沢小屋 9:50

【概要】
 竜門山は8月の下旬以来およそ1ヶ月ぶりである。今日はつい先日までの猛暑がまるでウソだったかのような寒い朝だった。日暮沢小屋前の駐車場は満杯で、林道にもマイカーが列をなして並んでいた。小屋前では自然公園管理人の志田さんが草刈作業の最中で、翌日予定されている保全作業用のネットのことを聞いてみると、まだ小屋の中にだいぶ残っているというのでひとつだけザックにくくりつけ登ることにした。

 始めは長袖で登り始めたが登るにつれて体が温まり、まもなく半袖でも十分となった。風音は止まなかったが、樹林帯までは風も流れ込んではこないので、山登りには最適な気温だった。清太岩山までは急坂が続いた。途中3名ほどの登山者を追い越してゆくと、先には誰もいなくなってしまった。

 竜門山ではすさまじいほどの強風が吹き荒れていた。高度にしてたった数メートルだが直下と稜線との天候の違いは歴然としていた。朝日連峰の稜線はさながら冬を思わせる程の寒さで満ちていて、ここから長袖や防寒着は必須であった。

 小屋にはいるとすでに受付を済ませた泊まり客が何名かいた。管理人の遠藤さんや石川さんは静岡のSさんと宴会の準備に余念がない様子で、管理人室の前でテーブルを囲み調理の真っ最中だった。僕はというとわずか2.5キログラムのネットのおかげで足が痙攣しそうなほどだった。しばらく荷物を片付けたりしながら、すっかり落ち着いたところでおもむろに宴会に加わりながら旧交を温めたのだった。

 石川さんからはマグロの刺身や餃子をご馳走になり、Sさんからはゆでたての枝豆や焼き肉などをいただきながら、僕は次第に酔いがまわっていった。日没の頃にはみんなすっかりできあがってしまい、話題は目まぐるしく展開してその話には果てがなかった。しかし、それはうんざりするといったものではなく、機知とユーモアに富んだ洒脱な小話の連続といったもので、聞いているものにとってはどこまでも心地よく、そして笑い声が絶えなかった。夜も深まった頃、2階の宿泊者も加わったため宴会はさらに賑わいを増していった。その夜は夜半から次第に風が強まり、動物の咆哮を思わせるうなり声が大地や小屋を揺るがし、窓ガラスは小刻みに揺れた。

 翌日は5時半に起床した。寒さのためになんとなく寝不足気味で早くから目が覚めていたというのが実際のところだった。今朝の冷え込みは厳しくて、おそらく3度から4度くらいだろう。稜線ではいつ降雪があってもおかしくないような気温の低さだった。僕はシュラフにくるまりながら食事の準備を始めた。

 窓の外を見ると強風は相変わらずだった。たったいま太平洋沿岸を進んでいるという台風の影響らしかった。さらに濃霧が小屋をすっぽりと包んでいて視界はほとんどなく、今日の保全作業は結構たいへんだろうと思った。僕は昼頃まで帰宅しなければならない用事があり、7時には小屋を出なければならなかった。ほかの宿泊者はというと、北海道からきた単独の登山者はこんな天候でも以東岳まで往復してくるといいながら早朝に小屋を出て行き、別の人は以東岳をあきらめて大朝日岳に向かうなど、今日の悪天候でみんなの行動予定は様々に変更を余儀なくされたようであった。

 僕は完全防備に身を固めてから小屋を出た。霧は次々と湧いては稜線を駆け上がり、雨が降っていないにもかかわらず雨具はたちまち濡れていった。そしてわずか登っただけで竜門小屋は見えなくなった。竜門山を過ぎて少し下ると風は少し治まり、さらに降りてゆくと視界が徐々に戻ってきた。途中では何人かの若い人たちを追い越したが、大朝日小屋に泊まったパーティのようだった。

 今日の保全作業の人たちとはゴロビツ清水がまもなくのところで出会った。先頭は大きなザックを背負った川口さんだった。川口さんとは6月の朝日連峰で出会って以来なので久しぶりだった。この作業班の人たちとはその後もポツポツと行き交うようになり、次いで現れたのは小国山岳会の井上さんと西川山岳会の柴田さんだった。そして西川山岳会会長や山岳会のほかのメンバーも後に続き、みんなとはそれぞれに久闊を叙しては別れた。最後尾はゴロビツ水場で休んでおり、その水場を過ぎると一般の登山者がわずかに登ってくるだけとなった。

 今日は最悪、本降りの雨模様も覚悟していたのだが、霧が晴れると意外と高曇りのような天候になり、割合に予定通りの時間で下ってゆくことができたのは幸いだった。上空には分厚く薄黒い雲が一面に広がっていたものの、その雲と地平線の境界付近は晴れているので蔵王の山並みや近くの山々を全体に見渡すことが可能だった。しかし、気温はほとんど上がらないらしく、途中から雨具や防寒着を脱いだものの日暮沢小屋が近づいても長袖シャツは最後まで欠かすことはできなかった。今日の寒さはハンパではなく、歩いている間こそ汗が流れたとはいえ、立ち止まると寒さに体が震えそうなほどで、降り立った日暮沢登山口での気温はわずか8度であった。


清太岩山


ユーフンと竜門小屋


竜門小屋の水場

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