山 行 記 録

【平成22年9月18日/針生平〜祝瓶山



 祝瓶山



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】祝瓶山 1,417m
【地形図】(2.5万)祝瓶山、(20万)村上
【天候】曇り
【温泉】西置賜郡小国町「りふれ」500円
【参考タイム】
大石橋7:40〜鈴出ノ水8:25〜一ノ塔10:25〜祝瓶山11:00-12:00〜一ノ塔12:20〜鈴出ノ水13:30〜大石橋14:00

【概要】
 今日は朝から風が強い日だった。針生平(はんなりだいら)の駐車場で準備をしていると、若いブナがいっせいに横に揺れ大きくしなった。うなり声をあげながら風が舞う様子は薄気味悪いほどで、何となく落ち着かない気分だった。それでも先日までの猛暑日に比べれば今日はだいぶ涼しく、夏の季節が完全に終わったのを感じた。

 大石橋の登山口では環境省から依頼されたという女性が、ひとり入山数調査をしていた。登山計画書を提出して吊り橋を渡り、すぐ先の渡渉箇所までくると、先日の大雨の影響からか沢に渡していた板が半分流されていた。いくら涼しいとはいっても、尾根の取付からは急坂が連続し、たちまち汗が滴り落ちた。途中で「鈴出ノ水」の水場に降りていってみた。確認するのは久しぶりだったが、雨が続いたせいなのか流れが結構あり、清水というよりもただの沢水にしか見えなかった。

 一ノ塔まではまだまだだというのに早くも異様なほどの疲労を感じていた。おかげで何度も途中で休まなければならなかった。今日はこのコースを登っている人などいるのだろうか。駐車場に地元の車は1台もなく、みな県外ナンバーだったところをみると、登山者の大半は大朝日岳が目的だろうと思った。左手には大朝日岳から西朝日岳へのスカイラインがあり、後ろを振り返れば巣戸々山、そして桧岩屋山から袖朝日岳へと連なる稜線が見えた。青い空は夏のようなギラギラとしたものではなく、穏やかで優しい日の光が尾根道に降り注いでいた。

 一ノ塔には3時間近くもかかってようやく登り着いた。体調があまりに悪いので、途中で頭痛薬を飲み、すぐまた整腸剤も取り出した。ダマシダマシきたのだが、今日はここまでが実に長かった気がする。全身は汗でビッショリと濡れていて、風に晒されるとたちまち冷えてしまいそうだった。しかし、一方では涼しく爽やかな風は火照った体を少しずつ癒してくれるようでもあった。

 眼下には針生平の草原が広がっていて、目を少し上げてみれば下越の秀峰、光兎山があった。伸びやかに広がる展望を目にしていると疲れも少し回復したようだった。一ノ塔から祝瓶山まではまもなくだ。目前のわりと大きなピークを越えて行かなければならないので、疲れた身には少しきついところだが、祝瓶山の一角が途中から見えてくれば力も湧いてこようというもの。大朝日岳への縦走路分岐点からは約10分で山頂に到着した。

 登りはじめて約3時間半。今回は結構時間がかかっていた。山頂では女性の先客がひとり横になって休んでいるだけで、まだ時間が早いということもあり、静かな祝瓶山山頂だった。晴れているとはいっても、まわりは霧が流れていて小国側は真っ白で何も見えない。北側に聳える大玉山がかろうじてわかるものの、大朝日岳周辺の峰々はほとんどわからなかった。僕は食事を済ませてから草むらに横になった。そしてラジオを聞きながらいつしか眠ってしまった。

 しばらく時間が経ったようだった。地面を踏みしめる足音で目が覚めた。長井側から大勢の人達が登ってきたところだった。僕は40分以上眠っていたようで、時計を見るともう12時近くになっていた。団体さんは十数名もいるらしく、時間が経つに連れて次々と山頂に登ってきた。若い人から年輩の人まで様々だったが、話の様子からして同じ職場の集まりのようであった。

 あまりに騒々しくなってきてしまい、横になって休んでいる雰囲気ではなくなり、これを機会に下山することにした。いっこうに霧が晴れる様子はなく、相変わらず視界は悪かった。上空にはいつのまにか雨を降らせるような黒々とした薄雲が広がり始めていた。



登山口


大朝日岳(右)


水場


吊り橋


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