山 行 記 録

【平成22年8月8日/朝日連峰 日暮沢〜清太岩山〜竜門山〜南寒江山



南寒江山(左)と寒江山



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】清太岩山1,465m、ユーフン山1,565m、竜門山1,688m、南寒江山
【地形図】(2万5千)朝日岳、(5万)村上
【天候】晴れ
【温泉】山形県朝日町 五百川温泉150円
【参考タイム】
日暮沢小屋 6:30(620m)〜清太岩山 9:00〜ユーフン9:30〜竜門山 10:5〜竜門小屋10:30〜南寒江山12:30〜竜門小屋13:00〜竜門山13:12〜ユーフン13:43〜清太岩山14:05〜日暮沢小屋 15:45

【概要】
 相変わらず猛暑日が続いている。今日は久しぶりに寒江山周辺の花を見たくて自宅を早めに出た。体はかなり疲れ気味なので、涼しいうちにと思ったのだが、結局歩き出しは6時半。すでに日差しが頭上から燦々と降り注いでいた。

 ところどころぬかるみになっている登山道をみると、昨日はかなりの量の雨が降ったのかも知れなかった。この蒸し暑さも手伝って体中から汗が噴き出した。ゴロビツ水場近くでは早くも下ってくる人たちに出会った。よくよくみれば西川山岳会の荒木さん、鳴海さん、三宅さんの3名だった。昨夜の山小屋は山岳会の人たちが結構集まったらしく、相当盛り上がったようだった。荒木さんは翌日にもまた日暮沢から登ってくるといいながら元気よく下ってゆく。みんなの様子を見ていると夏バテなどとは無縁の人たちのようであった。

 水場を過ぎて急坂をひと登りすれば清太岩山も近い。樹林帯から抜け出すと見晴らしがよくなったが、一方では日差しの強さが際だってくるから痛し痒しであった。しかし、清太岩山はすでに1465m。流れる風は爽やかだった。行く手にはユーフンが大きく迫っていた。右手の稜線上には竜門小屋が立つ。ユーフンの近くでは同じ山岳会の富田さんと久しぶりにすれ違った。

 ユーフンは奥行きの長い山頂部をもっている山で、その最奥まで進めば竜門山はまもなくとなる。ユーフンの山頂はマツムシソウのお花畑になっていた。さらにアキアカネが乱舞していて、季節はすっかり秋の気配が漂っている。しかし、そんなことには関係なく汗は止めどなく流れた。

 竜門山から小屋へ向かうとガスが広がってしまい、視界がほとんどなくなった。暑くないのはありがたかったが、展望がなくなってしまいがっかりだった。竜門小屋まではゆったり歩いてもひと下りだ。小屋の周辺ではハクサンイチゲやミヤマアキノキリンソウが咲く。小屋前のベンチでは竜門小屋の管理人である遠藤さんと石川さんがのんびりと休んでいるところだった。久闊を除して久しぶりの歓談にしばらく話が咲く。遠藤さんはかれこれ15日間も山小屋暮らしなのだというからうらやましい限りだった。一方、僕は熱射病にかかったらしく、昼食を済ませたところで、小屋で一休みすることにした。こんなときにはラプティパスが水枕の代わりになった。

 小屋の中は外よりもずっと涼しく、肌寒いほどだった。休んでいる間に石川さんは一足先に日暮沢へと下っていった。小屋の中ではラジオだけが鳴り続けている。しばらく休むと頭痛も少し治まり、僕は寒江山への散歩に出かけてみることにした。いつのまにか今日の泊まり客である登山者も少しずつ小屋へとやってきていた。

 竜門小屋から寒江山までは結構距離がある。体調の具合を考えるとせいぜい南寒江山までゆければ、というつもりで歩いてゆく。路傍にはミヤマリンドウやニッコウキスゲ、ヤマハハコなどが咲いているだけだったが、南寒江山への下りになると、一面のお花畑となった。お花畑の中心はやはりマツムシソウで秋の到来を告げているようである。ほかにもハクサンフウロ、ハクサンシャジン、イブキトラノオ、ミヤマキンポウゲなどが咲き乱れる。斜面には本当に字のごとく、乱れるほどに咲いているのである。ここは朝日連峰でも特に植生が豊かな区間だろうと思う。眺める光景も雄大で、鞍部から見上げる南寒江山と寒江山、そして右奥に大きな山塊をみせる以東岳。大朝日岳周辺と双璧をなすといっても過言ではない場所なのである。体調はいまひとつだったがここまで足を延ばしてよかったと思う瞬間だった。南寒江山へは最低鞍部からひと登りだが疲れた足には結構きつい登りだった。

 今日は日帰りで戻らなければならないのがつらい。山小屋で着替えてきたシャツはすでにびっしょりと濡れていた。午後も1時近くになっていて、そろそろ引き返すタイムリミットが近づいていた。僕は南寒江山のマツムシソウに出会えたことで満ち足りたい思いに浸っていた。

 竜門小屋まで戻るとたくさんの登山者が入っていて、遠藤さんはトイレの掃除などで宿泊者を迎える準備に追われていた。こんな様子をみていると、僕も今度は泊まりで来ようと思った。ザックのパッキングを済ませて遠藤さんに別れを告げた。

 下りは最初のうちこそ涼しくて快適に高度を下げていったのだが、清太岩山を下るあたりから気温がどんどんと上昇していった。疲れがどっと押し寄せてきて夏バテの体に拍車をかけているようだった。山小屋で汲んだ水を頻繁に飲みながら体温をさげようとするのだが一時の気休めにすぎなかった。体は異常なくらいに熱くなっていた。水は貴重品だったが途中で頭から水を被った。痺れるような痛みを感じた。休むときには日掛けを最大限に利用したがとても追いつきそうもなかった。今日はもしかしたら危ないかもしれないなあ、といささか不安を抱えながら日暮沢小屋をめざした。


日暮沢小屋


注意書き


ヨツバヒヨドリ(ユーフン)


マツムシソウ(ユーフン)


寒江山(ユーフンから)


竜門小屋


竜門小屋管理人のお二人


雪渓とユーフンの稜線


イブキトラノオ(南寒江山直下)


シラネニンジン(南寒江山直下)


ハクサンフウロ(南寒江山直下)


ハクサンシャジン(南寒江山直下)


ヒナコゴメグサ(竜門小屋周辺)


イワショウブ(竜門小屋周辺)


ミヤマキンポウゲ(南寒江山直下)


ミヤマクルマバナ(南寒江山直下)


ミヤマリンドウ(寒江山への途上)


竜門小屋の水場


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