山 行 記 録

【平成22年8月1日/吾妻連峰 天元台〜西吾妻〜西大巓



大凹付近の湿地帯



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西大巓1981m
【地形図】(2.5万)白布温泉、天元台(20万)福島
【天候】曇り
【温泉】小野川温泉「ルシオーレ小野川」400円
【参考タイム】
北望台9:30〜カモシカ展望台9:55〜大凹10:30〜梵天岩11:00-12:00〜西吾妻小屋12:20〜西大巓13:00〜西吾妻小屋14:00〜梵天岩14:30〜カモシカ展望台15:15〜北望台15:30〜ロープウェイ乗り場16:30

【概要】
 先週に続いてまたまた天元台から吾妻連峰である。カミさんとの西吾妻は久しぶりだった。最近は数年ぶりとか十数年ぶりといった山行きが多くなった気がするが、連日の猛暑で遠方まで出かける気力が全く湧かないのである。今日も夏バテのため登る前から疲れ気味だった。

 リフト終点では大勢の登山者で賑わっていた。みんなカモシカ展望台から西吾妻山方面をめざすらしかった。今日は思いの外、雲が多く日差しはあまりなかった。天元台から西吾妻は冬山のイメージが強いのだが、登山道歩きも結構楽しい。なにもかもが新鮮なのである。カモシカ展望台まで登れば一段落だ。ここからなだらかな木道歩きが始まる。前方の視界が開けてくると一面の湿原が広がった。まぶしいくらいの深緑の中に、色とりどりの高山植物が咲いている風景は、眺めているだけで心が安らぐ思いがするようだった。

 大凹の水場で水筒に清水をたっぷりと汲み、次は梵天岩への登りとなる。大きな石が登山道を塞いでいて、歩きづらいので少し慎重さが必要だ。風が無くて終始汗を搾り取られる。再び視界が開けると今度はいろは沼の湿原が広がっていた。ここではイワオトギリやワタスゲが爽やかな風に揺れている。

 梵天岩まで登ってはきたものの、周囲はガスに包まれていて目前の西吾妻山は全く見えなかった。しかし、こんな天候でも登山者は数え切れないほど多い。みんな腰を下ろして昼食をとっているところだった。僕たちもあまりパッとしない天候に、先に進む気力が湧かず、しばらくのんびりと昼食をとることにした。ガスコンロを取り出し、ラーメンを作り、コーヒーを湧かしたりと、ここでは1時間以上も休んでいた。気づいてみると周りには誰もいなくなっていた。みんな西吾妻山方面へと向かっていったようである。視界がないのは残念だったが、暑くないだけありがたいといえばいえる。下山するにはまだまだ時間は早いので少し僕たちも足を伸ばしてみることにした。

 天狗岩に建つ吾妻神社に立ち寄り、今日の安全祈願をかねてとりあえず参拝だ。岩場からは降りてゆくと再び木道歩きが始まる。西吾妻小屋は若女平の分岐点からすぐだった。不思議だったがほかの登山者は全く見当たらなかった。西吾妻山にでも立ち寄っているのだろうか。

 ここまでくると山歩きに慣れてきたのか、カミさんの調子が思いの外良さそうだった。久しぶりに西大巓まで足を伸ばしてみることにする。西吾妻山は冬山で何回かカミさんも登っているために今回は割愛である。

 西大巓には他のルートから毎年のように登ってはいるのだが、天元台から訪れるのは何年振りなのだろうか。小屋からのルートはいつのまにか少し違っているようだった。いささか懐かしい風景に驚く。真冬には数え切れないほどきているのに、一面、新緑の光景を目にするのは、まるで初めてのような新鮮さがあったのだ。さわやかな高原散策はこれだからやめられないなとも思った。

 水場のある最低鞍部をすぎるとそこからは西大巓の山頂まで急坂が続く。人の声がするので振り返ってみると2、3人の登山者が我々の後方を歩いてきていた。この区間ではキンコウカやハクサンシャジンが結構が咲いている。とくにミヤマリンドウの群落は見事だった。さらに勾配が増してきて、ひと踏ん張りすると三角点のある山頂に到着した。あいにく西大巓の山頂もガスの中で全く展望はなかった。

 薄曇りの天候のためだろうか。西大巓はいつもならば大勢の登山者で賑わうところだが、今日は先客が二人しかいない。大展望の山頂も天候がいまひとつだと訪れる登山者は極端に少ないようだった。ここまで登ればあとは思い残すことはない。僕達は天元台から再奥に鎮座する山頂まで登れたことで満足だった。

 時間はすでに午後1時を過ぎていた。こんな時間に西大巓まで登ってくる人もなく、引き返す登山道は僕達の貸し切りだった。木道もすれ違う人がいないので気分的にかなり楽なのもよかった。西吾妻小屋、梵天岩、そしてカモシカ展望台と順調に往路を戻ってゆく。空一面を覆っている雲は、午後になりますます濃密になってゆくようだった。カモシカ展望台から樹林帯にはいると夕暮れのような薄暗さに包まれた。

 北房台からはスキー場を下ってゆくだけだった。ところが少し下り始めたところでカミさんが足の痛みを訴えはじめた。今日はたいした山登りではないとはいいながらも、いくつものアップダウンが続いたためなのだろう。しょうがないのでカミさんだけはリフトを利用することにした。遅い時間帯だったがなんとかリフトの最終便には間に合ったのは幸いだった。僕はリフトを追いかけながらゲレンデを駆け下りた。そしてカミさんがリフトを降りるとリフトは次々と停まった。周りを見渡しても登山者や観光客は見当たらず、リフトは僕たちを待って営業終了したようだった。ロープウエイ乗り場に着いたのは午後4時30分。日差しがないだけに日没が迫っているような気配が漂っていた。


チングルマ(大凹付近)


ワタスゲ(大凹付近)


ガンコウラン(梵天岩)


西吾妻小屋


ミヤマリンドウ(西大巓)


ハクサンシャジン(西大巓)


西大巓


若女平分岐点


inserted by FC2 system