山 行 記 録

【平成22年6月12日/奥岳〜勢至平〜安達太良山】



勢至平から望む安達太良山とイヌツツジの群落



【メンバー】4名(清水、伊藤孝、伊藤賢、蒲生)
【山行形態】夏山装備、
【山域】奥羽山脈南部
【山名と標高】安達太良山 1,700m
【天候】晴れ
【参考タイム】
奥岳登山口8:20〜勢至平9:50〜峰ノ辻10:50〜牛ノ背11:10〜薬師岳13:15〜奥岳登山口14:20

【概要】
 雪のない時期に登るのはいったい何年ぶりなのだろうと、ちょっとやそっとで思い出せないほど、久しぶりの安達太良山だった。奥岳駐車場は満車というほどではないが結構混雑していた。ここはゴンドラを利用すれば山頂直下までゆけるので観光気分で訪れる人もかなり多いようだった。

 スキー場の傍らから林道を進むと静かな雰囲気に包まれるようになる。周囲は新緑が盛りでタムシバやムラサキヤシオがちらほらと咲いていた。途中で早くも下ってくる人と出会ったがほとんどタケノコ採りである。そういえば途中で立ち寄ったコンビニのおにぎりが1個残らずなくなっていたことを思い出した。このシーズンはタケノコ採りの人たちが未明からおにぎりを全部購入してしまうためらしかった。

 山道をしばらく登り見晴台で一休みをとる。澄み切った青空とみずみずしい新緑の風景にはうっとりするようだ。ここからはわずかな登りで勢至平に着く。今日の目的の半分は勢至平のイヌツツジでもあった。ほどなくその群生地があって立ち寄ってゆくことにした。イヌツツジは今が盛りとばかり、辺り一帯に咲き乱れていた。遠方には乳首のような安達太良山と鉄山。そして右奥には箕輪山が連なっている。このイヌツツジ群生地は周回できるようになっていた。

 勢至平の途中に三叉路を示す標識が立つ。まっすぐに行けばくろがね小屋だが僕たちは峰ノ辻へと最短距離で行くことにした。あれほど咲いていたイヌツツジはこの付近には見あたらなくなり、かわりにムラサキヤシオが目立つようになった。ここまでくればタケノコ採りの人達もいなくなり、登山者だけの世界だ。まもなく前方に牛ノ背のスカイラインが見えてくると大勢の登山者も目立つようになった。

 峰ノ辻はくろがね小屋と山頂へ直登するコースとの十字路になっている。行き交う登山者で溢れる光景は、すっかり夏山へ季節が変わったのを感じさせた。牛ノ背まではひと登りだ。しかし、稜線に飛び出すとすさまじいほどの風が吹き荒れていた。構えていないと体ごと飛ばされそうなほどである。強風は冷たくもあり、ここで全員長袖を着る。ここは真夏を思わせるような下界とは雲泥の差であった。

 荒涼とした沼ノ原を眼下に眺めながら稜線を進むとまもなく山頂に着く。見上げるほど大きな標識も久しぶりで懐かしさでいっぱいになる。乳首の山頂へは数珠つなぎの状態で混雑を極めていた。待っていても登れそうにないので僕たちは左手から岩場を登ってゆくことにした。といってもたいしたことはない。わずかな登りで乳首の山頂に立つことができた。

 山頂からは花曇りのような状態だったが、それでも天候はよいので見晴らしはよかった。北には吾妻連峰があり、後方には和尚山が聳えている。眼下は福島市の市街地だろうか。僕たちはさえぎるもののない大展望をしばらく楽しんだ。

 昼食は風のないところを探し、岩陰でとることにした。ゴンドラ乗り場の方角に少しおりると適度な休憩場所があった。休んでいると目の前を大勢の登山者が行き交う。中にはザックひとつ持たない人もかなり多く驚くばかりだった。

 下山はくろがね小屋経由の予定だったのだが、特に小屋へ立ち寄る気分でもなかったので、そのまま五葉松平経由で下ることにした。途中、驚くほどのムラサキヤシオを目にすることができて、思わぬ得をした気分になった。勢至平とは植生がずいぶんと違うのを感じる。まもなくするとゴンドラ乗り場と五葉松コースとの分岐に到着した。ここは薬師岳山頂でもあり、カメラを構えるカップルや休憩を楽しむ家族連れなど、多くの観光客で喧噪を極めていた。

 五葉松平コースへと下ってゆくと再び静けさが戻った。ここは奥岳へ下る最短ルートでもある。逆にいえば結構きついルートのために登りに利用する人はほとんどいないようだ。やがて右手にゲレンデが見えるようになると駐車場も近い。下山の途中で山菜採りを楽しむ団体もいた。こんな光景を眺めていると、ひさしぶりにのんびりとした山歩きをしたような気分になった。


登山口


新緑


峰ノ辻


沼ノ平


混み合う山頂


山頂の裏側へ


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