山 行 記 録

【平成22年5月3日/姥ケ岳北斜面〜装束場〜湯殿山南斜面〜月山荘



装束場から姥ケ岳山頂を見上げる



【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】月山
【山名と標高】姥ケ岳 1,669.7m、湯殿山 1,500m
【地形図】(2.5万)姥ケ岳、(20万)村上
【天候】晴れ
【参考タイム】
月山荘駐車場9:00=(バス)=姥沢駐車場9:30〜リフト上駅10:00〜装束場10:50-11:20〜湯殿山〜12:00〜月山荘駐車場13:00

【概要】
 今日はとんだアホなことから1日が始まった。姥沢駐車場についてみればシールを忘れていたのに気づいたのだ。この時期、ツボ足でも全然かまわないのだが、今日予定していたコースは長丁場、そして沢底からの大きな登り返しが何回もあるのでシールなしではとても不可能と判断するしかなかった。しょうがないので駐車代金を返してもらい早々に月山荘前の駐車場に移動する。急遽、姥ケ岳と湯殿山をたどる安直ツアーコースに変更することにした。これでも二つの山をたどると滑走の累計高度差は1000m以上あるのでそれなりに楽しめそうだ。もちろんツボ足でも十分なはずであった。

 月山荘前のバス停にはいつのまにか大きな駐車場ができていて、連休に限り臨時のバス便もたくさん出ていた。それにしても驚いたのは積雪の豊富さだ。例年よりははるかに多く、5月の連休でこんな様子は見たことがなかった。飯豊も朝日も多いとは聞いていたが、月山周辺ではこの1週間でさらに増えたようであった。姥ケ岳や装束場、湯殿山の山頂はまるで3月か4月上旬の光景と見間違うほどだ。

 GWのまっただ中の今日は雲一つない快晴のドピーカン。リフトの順番待ちする春スキーの人達でリフト乗り場は大混雑だった。ようやく上駅に登り着くとそこからは姥ガ岳へとツボ足登行。積雪はかなり多いのでTバーリフトも山頂直下に設置されている。そこまではゲレンデスキーヤーもスキーは担いで登らなければならないというわけである。

 姥ガ岳山頂もまだ雪が豊富だった。例年ならばほとんど雪が解けて木道がむき出しになっているところだが、いつもと全然違う光景にうれしくなる。さっそく北面へとスキーを担いでゆくとそこには信じられないほどの白く大きな大斜面が広がっていた。さらにスキーヤーも全く見当たらないのだ。

 滑降を開始すると快適なザラメにたちまち装束場へと滑り降りてゆく。すると何人かのスノーボーダーが5、6人で休憩をとっているところだった。雪像を作ったり、少し登り返しては滑ってみたりと、のんびりまったりとこの桃源郷を楽しんでいる様子である。僕もこの装束場でしばらく昼食を楽しむことにした。装束場は石跳川の源頭部でもある。しかしこの大雪原をみていると広大なゲレンデをみているようで、つい源頭部であることを忘れそうであった。

 姥ガ岳からは300mほど下ったが湯殿山へは150mの登り返しがある。しかし、初夏を思わせるほどの好天と、そして大量の積雪のおかげで登りも楽しいばかりだ。雪はいささかも潜らないのでシール無しでも全く問題はなかった。右手眼下には湯殿山神社が見えていて、多くのマイカーも停まっている。GWに併せて有料道路も開通したようであった。前方には先行する2名の姿が見えていたが、なかなか追いつけない。もしかしたら僕と同様に姥ガ岳経由の山スキーなのかも知れなかった。いくつかのピークを越えてゆくと湯殿山の山頂が正面だ。遠くからみれば切り立った稜線にもみえるのだが、あまりに積雪が多いために広い雪原となっている。ここはまるで朝日か飯豊の稜線のようだった。

 湯殿山山頂にようやくたどりつけばもう登りはない。先行の二人組はすでに下ったらしくみあたらなかった。東斜面をのぞき込んでみたがトレースはない。この斜面も雪があまりに豊富なために急斜面という感じがしなかった。うっかり誘い込まれそうだったが石跳川を下るつもりはないので踏みとどまる。僕はもう昼食を済ませているのであとは滑降あるのみだ。久しぶりに南斜面へと進んでみると、ここにもトレースはなく、やはり二人組は尾根伝いに下ったようであった。

 南斜面の滑降は快適だった。広くフラットな中斜面が延々と続いているのである。一気にブシ沼近くまで滑り込んで行き、途中から進路を左方向に転換だ。観客のいない一人舞台はあっという間に終わったが、シュプールをながめて一人満足感に浸った。あとは緩斜面のブナ林を一路、月山荘まで滑ってゆくだけである。ここのブナ林も積雪が多いために、例年の3月か4月の光景をみているような錯覚を覚えた。

 ネーチャーセンターを過ぎると石跳川の末端だ。ここには砂防堰堤があり、駐車場はその向こう側になる。下流部も雪でふさがっていたが登り返しが嫌でそのまま道路に下った。最後は2、3分ほどスキーを担いで駐車場に戻った。今日はシールを忘れるというポカをしてしまったが、そんな失態を忘れさせてくれるほど快適な滑りを楽しむことができたのは予想外だった。こうしてみると何が災いするかわからないものだと、あらためてスキーの魅力、あるいは機動力というものに感謝した一日であった。


湯殿山山頂で


湯殿山への登りから見下ろす湯殿山神社

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