山 行 記 録

【平成22年4月25日/月山〜オモワシ尾根〜北月山荘】



広大なオモワシ原を行く



【メンバー】西川山岳会10名(柴田、神田、菊池、荒谷、大江、上野、橋本、蒲生)+ゲスト(後藤+女性1名)
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】出羽三山
【山名と標高】月山 1984m
【地形図】(2.5万)月山、立谷沢、(20万)仙台
【天候】快晴
【温泉】北月山荘 350円
【参考タイム】
北月山荘=(車)=姥沢駐車場
 姥沢駐車場8:00〜リフト終点9:00〜牛首10:00〜月山10:40〜オモワシ原(大休止)11:30-12:10〜濁り沢渡渉点13:10-13:30〜林道13:40〜月ノ沢発電所14:40〜北月山荘16:00
 
【概要】
 今日の予定は当初、北月山コースだったが雲ひとつ無い快晴の空を見て急遽「オモワシ尾根」へと計画が変更となったものだ。北月山コースを下っていると右手に見えている尾根で、また月山肘折の際には左手奥に高台のようにも見える尾根である。いつかはという思いがあったコースなのは確かだが、幸いに昔滑降したという経験者もいることから迷うことなく決まったものである。

 駐車場からはリフトで上駅へとあがる。時間はちょうど9時。すでに大勢のスキーヤーや登山者が姥ケ岳をめざして斜面に貼り付いていた。上空には雲ひとつ見当たらなく天候は全く問題ないようだ。しかし、風は予想外に強くて、金姥、紫灯森、牛首とすべて稜線の下を卷くようにして高度を上げていった。おかげで風に晒されることもなく、むしろ背中からは汗が流れるほどであった。といっても無風状態はここまでで、鍛冶小屋跡を過ぎると猛烈な風が襲ってくるようになった。さすがに2000mの稜線は違うものだ。この天候をみて鍛冶小屋跡付近や急坂を前にして引き返した人も多かったろう。それ程山頂の風はすさまじいものだった。

 僕たちは山頂直下でシールを早めにはがして山頂に立った。この山頂さえ越えれば後は滑降あるのみである。少し高度が下がるとガスは一気に晴れて行き、するとこれから下る予定の「オモワシ尾根」の全体像が見渡せるようになった。広い!広すぎる!といったのが最初の実感だった。それは「広大」と言った単純な表現ではとても足りず、新雪をまとった雪原が延々と続いていた。今までは大雪城の広さに唖然としていたものだが、ここはその倍以上も広く長いのである。前日までの降雪もあって雪質は最高の状態だった。初めてのコースとはいいものだ。次ぐ次と現れる風景が実に新鮮で胸が踊るようである。みんなは狂ったようにオモワシ原をすっ飛んでいった。写真などとても撮影している暇などはない。僕たちはまるで空を飛ぶ宇宙飛行士にでもなったような気分で宙に舞っていた。

 快適な広い雪原が少しずつ狭くなって行くが、それでも通常の北月山コースよりはかなり広い尾根であった。そしてひとつも登り返しがないというのもごきげんだった。右手に小岳や念仏ヶ原が見えそうな地点まで下ったところで大休止だ。1時間近くほとんど休み無く滑りっぱなしだったのだ。両足はパンパンに張り疲れ切っていた。秘境とも言える地点にいることの幸福感はなかなか言葉には言い尽くせない。僕たちはしばし至福の感激を味わっていた。

 休憩地点からも快適な尾根が続いた。気付いてみると遠くに見えていた藁田禿山がすぐ近くに聳えていてそのかなり低い地点を滑っていたのに気付いた。標高はかなり下がったことを実感した。高度が1000mを下回る頃には美しいブナ林が広がるようになり、推進滑降気味で次の地点をめざした。当初は尾根をつなぎながら下る予定だったのだが、雪はところどころで途切れがちになり、途中から雪が無くなるのは目に見えていた。そのため「ニゴリ沢」へと下って行く。尾根の右手は立谷沢川である。どちらでもよかったのだが「左」をたまたま選択したということだった。

 沢底に降り立つとニゴリ沢の水量は予想以上に多かった。川幅は2〜3メートルほどだがそこは全員が渡渉となった。対岸には林道の道形が見えている。そこまで20m程度の登りをシールで登る。登り切ったところに冷たい雪解け水が流れていた。雪解け水は僕たちの乾ききった喉やはらわたに沁み渡った。

 林道にはまだまだ雪が残っていてスキーを担ぐ必要はまだなかった。気温が低くなれば滑落の危険もある林道の通過だったが今日はまだその心配はない。雪は柔らかくしばらく推進滑降で凌いで行く。月ノ沢発電所が眼下になると前方にようやく北月山荘の尾根が見えてくるところだ。しかし、そこまではまだまだ距離はありそうだった。発電所を過ぎるとところどころで雪が切れ始める。雪がないことろは当然ながらスキーをはずしたがすぐにまた雪が現れるといった繰り返しが続いた。この「オモワシ尾根」の核心部はもしかしたらこの林道歩きに尽きるかも知れない。歩いても歩いてもなかなか終点がみえなかった。もう1週間早かったならば林道の雪は全てつながっていただろうと思われた。

 ようやく前方に北月山荘の建物が大きく見えたときには午後も4時近くになろうとしていた。しかし、僕たちは初めての”秘境”オモワシ尾根を滑降した満足感でいっぱいだった。北月山荘の温泉に浸っていると長かった今日の行程がまるで夢を見ているような錯覚に陥った。


月山をめざして


月山山頂


月山山頂


オモワシ尾根で


オモワシ尾根でで大休止


オモワシ尾根で大休止


小岳などの山並み


長大な尾根が延々と


まだまだ続く


快適です


桃源郷


林道への登りで


林道の通過


月ノ沢発電所が眼下に


ルート概要

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