山 行 記 録

【平成21年10月31日/赤鼻尾根〜祝瓶山】



祝瓶山山頂



【メンバー】単独
【山行形態】秋山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】祝瓶山 1417m
【地形図】(2.5万)祝瓶山、(20万)村上
【天候】晴れ
【温泉】長井温泉「桜湯」300円
【参考タイム】
祝瓶山荘7:00〜赤鼻尾根〜赤鼻9:00-9:20〜祝瓶山山頂10:50-11:00〜祝瓶山荘13:00

【概要】
 10月も今日で終わる。そして明日からは平地でさえ雪が降るかもしれないという大陸からの寒気が入る予報がでている。秋山を楽しむのはそろそろ最後なのかも知れないと思い、近くの祝瓶山に向かった。今年は例年よりも紅葉が早くて木地山の周辺が盛りを迎えていた。祝瓶山荘付近までくると半分以上は紅葉がすでに終わっている。それでも色付きの鮮やかな木立もまだ残っていて、朝の強い日射しを浴びると驚くほどの輝きをみせていた。今日の駐車場はまだがら空きで一番乗りのようだ。まだ誰もいない駐車場から一人歩き出した。

 今回は珍しく赤鼻尾根から祝瓶山を登ることにした。考えてみれば大朝日岳から赤鼻を通って祝瓶山には何回か登っているのに、山荘から左回りでの周回コースを登るのは初めてなのだ。これだけのことだがテーマが決まってしまうと何十回も登っている祝瓶山が新鮮に感じられるから不思議だった。

 ほとんど落葉の終えたブナ林は晩秋の雰囲気に満ちていた。登山道には落ち葉が降り積もり、山道をわからなくしているようだった。スカスカとなった木立の間からは周りの風景が見渡せるので気持ちの良い登りが続いた。

 今日の予報は快晴のはずだったが山の天候はそう思うようにはゆかなかった。早朝からの濃霧は容易には晴れる気配はなく、左手に見えるはずの祝瓶山が見えない。日射しはあるのに山頂付近の雲がなかなか晴れる様子がなかった。しばらく登ると稜線上の分岐点である赤鼻に着く。ここまでの高度差は約480m。ここから撮影のために右手の小高いピークまで登ってみる。そこは赤鼻の水場の少し手前になる。高度差は40m程度だがこのピークからは遮る樹林もなく、祝瓶山の撮影には格好の場所なのである。しかしせっかく登っては見たものの濃霧はなかなか晴れる様子はなかった。それどころか待っているあいだに雨粒さえパラついてくる始末である。幸い大降りするほどではなかったものの、快晴の予報など山では何の役にも立たない見本のような天候の急変ではあった。

 赤鼻からはいったん100mほど下って最低鞍部に着く。そこから鈴振尾根分岐までは急坂の連続だ。ひと降りした雨に濡れた笹からは雫が流れ、おかげでズボンまでが濡れている。さらに冷たい風が稜線を流れていて、僕は途中でゴアのヤッケを羽織った。急坂に喘ぎながらしばらく黙々と登る。いつのまにか山頂付近がうっすらと見えるまでに天候が回復してきていた。さきほどの雨は部分的なもののようだった。赤鼻から鈴振尾根分岐点までは約1時間30分。それほどの距離はないのにここは予想以上に時間がかかる区間だ。一方では久しぶりの縦走路にたまらない懐かしさを感じていた。

 鈴振尾根の分岐から祝瓶山までは約10分ほどだ。山頂は目前だった。登り切ってみると登山者が3人。早くも車座になり缶ビールを何本も並べて宴会をはじめていた。まもなく直登コースから二人組が登ってきたのをみて僕はさっさと直登コースを下ることにした。ここの下り始めは垂直に近い岩壁なので要注意箇所だ。岩場からは4、5人のグループが草付きを登ってくるのが見えた。

 下りは快適だった。天候がよいだけに登山靴のフリクションが効いて岩場も安心して下って行ける。気温が徐々に上昇しているのかつい先ほどまで覆っていた霧はほとんど無くなりかけていた。登ってくる人は多くてその後も二つのグループとすれ違った。ちょうど昼時間に会わせてみんな登ってくるようだった。この直登コースの下りは怒涛ともいえるほどで急坂は止めどなく続いた。沢音が大きく聞こえるようになるとまもなく平坦地の桑住平だ。歩き始めてからすでに5時間が過ぎようとしていた。この逆回りのコースは結構登りがいがあるので、直登コースに飽きたらない人向けに良いかも知れない。今日はいつになく充実した登りを感じた一日であった。


祝瓶山荘


直登コースの下りで


明るい尾根


木地山ダムから望む祝瓶山(帰路)

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