今年の事業はずいぶんと雨に流され、また泣かされもしたが、今日はめずらしく天候の心配はなさそうであった。冬山では宮城県側から何回か登っていのものの、山形側から夏山を登ったのはかなり昔でずいぶん久しぶりとなる。そして今回の観音寺コースは初めてだ。天童市から関山街道に入り、黒伏山を過ぎて柳沢林道の終点が登山口であった。一帯には涼しい風が吹いていて、すっかり秋の気配が漂っていた。
10台程度停められる広さの駐車場には2台だけですでに人影は見あたらない。よく歩かれているらしくとても気持ちの良い登山道を歩き出した。ろくに地図も眺めてこなかったがコースは結構変化に富んでいる。周りはブナの2次林らしく若い木が多かったが、中には樹齢が何十年も経ったような太いものも目立つ。静寂としたブナ林は心地よく、極上のハイキングコースのようでもある。ほどなく粟畑十字路の分岐点に着く。右手は白髪山への道であり、ここは今年の2月、山スキーで楽しんだのを思い出す。ここまで200mほどの高度差を登ったのだがここからはいったん下り坂となる。それも終わりが見えないほどの下りと言った感じで、うんざりした頃になってようやく最低鞍部にたどりつく。結局登山口と同じくらいの標高まで下ってしまったようだった。粟畑十字路からは200m近くもくだらなければならなかったのである。標識には仙交小屋跡分岐とあり、そこからは定義温泉へも下れるようであったがその道はすでに廃道となっていた。
仙交小屋跡からは一転して急坂の連続となった。鞍部から山頂までの標高差は約500m。これを一気に登って行くのである。今日の気温は思ったほど上がらず、さらに樹林帯なので涼しい中の登りだったが、一方では汗が止めどなく流れた。1300mを越えると樹木の背丈が低くなり、ようやく高山の雰囲気となる。やがて左手前方に小屋が見えてくるとまもなく山頂であった。
山頂では多くの登山者でにぎわっていた。雲が次々と湧いていてすっきりとした展望は得られなかったが、雲の間からは蛇ケ岳や前船形山などの船形連峰の山々、そして山形県側をみれば仙台カゴや最上カゴといった岩峰群、そして黒伏山なども見渡せた。高山植物はあまり見られなかったがウメバチソウは今が盛りのようであった。僕たちは風のない場所でこの展望を楽しみながらしばらく休憩をとることにした。
休んでいる間にも登山者は続々と登ってきていた。ほとんどが宮城県側かららしく、高校生の団体や夫婦連れも多い。さすがに人気の山だなあと思わずには居られない。僕たちは下山する前に新しい山小屋を確かめてから山頂を後にした。
登山口 |
ブナ林が続く登山道 |
お疲れさま! |
避難小屋 |