【概要】
白布温泉から西吾妻スカイバレーで白布峠を越え、早稲沢集落から登るこのコースは4年ぶりであった。しかし、林道への入り口を知らず知らずのうちに見逃してしまい、檜原湖まで進んでから気付いてしまったのである。要するに道に迷ったわけだ。そしてこの道迷いは登山道に入ってからも起こしてしまうのだからほとほと呆れるばかりであった。初めてならばそれもたまには有りだろうが、僕はこのコース2回目なのである。
その二度目の道迷いは布滝から本格的に山道に進むべきところを、その100m手前から何の気なしにデコ平方面に右折してしまったことから始まった。急坂が始まるのは全く同じなのでなんの疑いもしなかったのである。いつのまにか急坂も階段等の設置でずいぶんと整備されたなあなどとのんきに考えていたのだから我ながら情けない有り様である。さすがに途中からなんだか様子が違うぞと思ったのだが、気付いた時にはすでにデコ平湿原近くまでも歩いていた。標高差もさることながらここで時間を相当無駄遣いしてしまい、布滝まで戻るのに1時間30分を要してしまった。
こんなことから体力や気力が一気に萎えてしまい、その後の行程に支障が出たのは当然であった。ただでさえも夏バテ気味で体調が今ひとつなのにこんなことでは疲れも倍加しようというものであった。
早稲沢口の駐車場には4台ほど車があったのだがみんな釣り人のようであった。吾妻川で渓流釣りをしている人を何人か見かけた。相変わらずこのコースは人が少ないようだ。まあ、1000mほどの標高差を登らなければならないのだから100名山を目標にしている人などは、手っ取り早くみんな天元台からロープウェイとリフトで一気に上がってくるのだろうと思った。
4年前もそうだったが登山道には今年も倒木が多かった。ほとんど雪崩による倒木のようだった。4合目という標識が現れると次の標識を励みに登るだけである。ここは結構アップダウンがあってなかなか高度が上がらない。そしてかなり汗を搾り取られたところから急坂が始まるのだ。疲れ切っていたのだが僕はただひたすらに黙々と、そして少しずつ登って行くだけだ。
それでもなんとか山頂に到着した時には出発してから5時間が経過していた。前回よりは2時間も余計にかかっている。まあしょうがないか。ただ残念なのはガスに覆われている事だけだった。途中では目の覚めるような青空が広がったりしたのだが、山頂周辺は濃霧に覆われていてほとんど展望がなかった。暑くないのはありがたいが、せっかく吾妻連峰の西大顛にきて、大展望が楽しめないというのではあまりに寂しい。山頂には10人程度休憩中であった。ちょうど正午ということもあって次々と西吾妻方面から登ってくる人も後を絶たなかった。ほとんどの登山者は天元台から登ってきているようだった。
ガスは山形県側から吹き上がってくる感じで、わずかに霧が晴れることもあるのだが、結局視界が戻るほでではなかった。予定では体調さえ良ければ西吾妻山まででも往復するつもりだったが、途中の道迷いですっかり体力を使い切ってしまった身にはそんな余裕はなかった。体は異常なほどの疲れを感じていた。怪我をすることだけはないように、そればかりを考えながら涼しい西大顛の山頂を後にした。