山 行 記 録

【平成21年5月9日/祓川〜七高山



祓川から鳥海山めざして



【メンバー】2名(妻)
【山行形態】山スキー、春山装備、日帰り
【山域】鳥海山
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【地形図】(2.5万)鳥海山、(20万)新庄
【温泉】秋田県由利本庄市鳥海町 猿倉温泉「鳥海荘」350円
【天候】晴れ(快晴)
【行程と参考コースタイム】
祓川駐車場8:40〜鳥海山(七高山)13:20-14:10〜七ツ釜避難小屋14:30〜祓川駐車場15:10

【概要】
 鳥海山の山スキーといえば祓川といわれるほどで全国各地から大勢訪れる登山口だ。毎年のように来てはいるのだがカミさんとは久しぶりである。山形県の南端から北端への大移動なのでもっと早出をしたいところだがなかなかそうもゆかない。今日も4時間ほどかかって祓川駐車場に到着した。GW最後の週末とあって激混みを予想していのだが大ハズレ。上の駐車場もまだガラガラに空いていたのである。1000円の定額高速料金を利用した遠方からの来客達はみんなステージから去ったようであった。

 週末とは思えないほどの静けさが漂う中、無線のスイッチを入れてみると、すぐに聞き慣れた声が入ってきた。同じように祓川を計画していたGTX氏であった。どうやらGTX氏は一人旅らしく、すでに七ツ釜避難小屋に着いたところだという。これから登り始める僕たちとはかなり時間の開きがあるようであった。しかし、どこかで合流できればと語り合いながら駐車場を登り始めた。今日の祓川は無風快晴。陽はすでに高く日射しもたっぷりだ。日焼けが心配なのでお化粧をしっかりと整えた。今日は半袖一枚と軽装で十分である。もちろん手袋などは無用の長物だ。

 天候の心配がないというのは一番だ。おかげでなんの問題もないので順調に高度を稼いで行く。しかしカミさんが少しバテ気味のようだった。数日前の八甲田の疲れがまだ残っているのかも知れなかった。僕たちは急斜面をさけるため東側を大きく回り込みながら山頂をめざした。いわゆる百宅コースまで大トラバースするのである。眼下に唐獅子小屋が見えてくると高度もかなり稼いだことになる。その視線の先には大清水園地に立つ山小屋がある。さすがに人の姿はなかったが、スノーモービルが数台登ってきているのが見えた。そのエンジン音が僕たちまで響きわたってくる。積雪は例年よりもだいぶ少ないようだった。雪が何とかつながっているからよいようなものの、沢を塞いでいる積雪量がかなり少ないように見えた。鳥海山から伸びる山襞がほとんどわかるほどで、この時期としてはブッシュがやたらに多いように感じた。

 GTX氏とは途中で何回か無線の交信を試みたのだがこちらの電波が弱いせいかなかなかつながらなかった。しかし山頂直下まできたところで見覚えのある姿が前方に見えて声をかけてみたらやはりGTX氏であった。GTX氏はいったん山頂から滑り降りて途中から再び登り返しているところだった。さすがに若いなあと思わずにはいられない。これを見てカミさんも呆れているようだった。結局、七高山の山頂には5時間近くの時間をかけて到着することができた。まあ時間は関係ない。途中で何度も挫折しかけたにもかかわらずよくぞ山頂まで到達できたものだ。ここまでがんばったカミさんに拍手を贈ろう。

 七高山には結構人だかりができていた。まだまだ登ってくる人達も多いようだった。カミさんも疲れてはいるものの体調は良いようなのでひとまず安心といったところだった。今日のランラメニューはラーメン1個とおにぎり1個だ。その他にもたくさんあるのだが今日はこれで十分。カミさんとはそれぞれ半分ずつ分け合って食べることにした。

 山頂直下の斜面は坪足や多くのシュプールで荒れに荒れすでにガタガタであった。どうも今日の気温が高すぎて雪はザラメを通り越し、早くもグサグサに腐り始めているようだった。それでも斜度があるだけにスキーは快適に走った。GTX氏はいつものようにスピードにのって一気に駆け下りていった。一方のカミさんはというと亀の歩みのようにはるか後方をのんびりと下っていた。

 明るすぎるくらいの日射しが降り注いでいた。陽はまだまだ高く、日没などは当分訪れる様子がないようでもある。途中の七ツ釜避難小屋ではまたまた西川山岳会のメンバーと出会い、あらためて世間の狭さを痛感させられた。避難小屋からは鳥海山の広大な裾野が広がっていた。その中に赤い屋根の祓川ヒュッテが見えた。もうひと滑りすれば駐車場なのだ。初夏を思わせるような日射しを浴び続けていると、山スキーも終盤が近いのを感じないわけにはゆかない。滑りの快適さはいつもと同じだったが、厳冬期のような緊張感がまるでないという、この時期特有の寂しさも思わずにはいられなかった。そんなことを頭の片隅でチクチクと考えながら僕は駐車場に向かって降りていった。


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