月山の山頂も今日は穏やかであった。積雪は一週間前よりもさらに少なくなっている。北方をみれば雲ひとつない快晴の空に白い鳥海山が浮かんでいた。今日の北月山コースはこの鳥海山をめざして下るだけである。記念写真を撮り終えればなにはともあれ滑降だ。トップが走り出せば次々と雪崩をうつように北月山荘へと滑走していった。
昨年は洗濯板のようなアイスバーンに難儀した斜面も今年はなんの問題もないような極上のザラメ雪。メンバーの足並みも揃っているのでたちまち仏生小屋へとたどり着く。今年のペースは異常なくらいの早さであった。仏生小屋を後にするとさらにスピードが増して行く。広大な弥陀ヶ原はまさしく自然が作り出したゲレンデのようなもの。心地よい薫風を体全体に感じながらの大滑走は至福という言葉しか見当たらない。八合目の小屋へもほとんど時間がかからなかった。
北月山コースは北に向かうばかりとはいえ、ルート取りは初めてでは結構難しい。尾根をひとつ間違えると決して北月山荘には向かわなくなるから要注意だ。それだけに地形は変化に富んでいるので、スキーで飛ばす快適さは数ある月山のツアーコースでもでも随一である。今回はメンバーの足並みも揃っていることもあって早い早い。たちまち三角峰が近づいていた。983m峰ではいつものように最後の大休止となる。気温も高く休んでいるとうたた寝をしたくなるような気持ちよさであった。
983m峰からは最後の斜面が待っている。ブナ林を縫いながらの滑走は快適の一言である。ツリーランの醍醐味がここにはあるようだ。三角峰のすぐ先で雪が切れてしまったが、ここはいつものように杉林を抜けて鶴巻池側に下った。残雪の多い斜面を少し下ればそこは鶴巻池キャンプ場だ。キャンプ場の一角にはミズバショウが咲きはじめていて辺りはすっかり春一色となっていた。人の姿はまださっぱりでここには遅い春がようやく訪れたような雰囲気が漂っていた。
鶴巻池からはいったんスキーを担いだ。しかし、林道には雪がまだかなり残っていて、北月山スキー場の直下まではスキー滑走が可能であった。あとは人里離れた秘湯のような月の沢温泉に浸って帰るとしよう。そんなことを考えていると北月山荘は目前であった。
リフト終点から |
品倉尾根 |
月山山頂 |
八合目付近 |
983m峰でのんびりと |
無事北月山荘に降り立つ |