山 行 記 録

【平成21年3月8日/吾妻連峰 天元台〜中大巓〜藤十郎〜大平



1393mピークへの登り



【メンバー】12名(柴田、上野、菊池、荒谷、鳴海、大江、蒲生)+ゲスト(武田夫妻、大滝)+逆コース班(大場、阿部兄)
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】中大巓1,964m、
【地形図】(2.5万)天元台、(20万)福島
【天候】曇り時々晴れ
【温泉】米沢市白布温泉「森の館」395円
【参考タイム】
天元台リフト終点9:00〜中大巓10:00〜人形石10:25〜藤十郎11:10〜間々川渡渉点12:30〜1393mピーク13:00〜不忘閣ヒュッテ跡13:20〜大平公民館前14:10

【概要】
 吾妻連峰の大平コースは古くからあるツアーコースである。リフトを利用すれば短い登りで滑りを楽しむことができるのは大沢下りとよく似ていて、天元台から藤十郎までは同じコースをたどる。稜線に登ってしまえば藤十郎から大平の集落までは、約1400mの標高差を滑ることができるというから結構ロングコースでもある。およそ1kmの登りに対し、滑走距離は14kmも楽しめる。その大平ツアーに今回も早朝から多くの仲間が集まった。総勢10名だがその他にも逆コースをたどっているというメンバーが2名いるのだと聞いて驚いた。人の嗜好とは実に様々である。

 大平コースは実に6年ぶりとなる。今シーズンのことさえ定かでなくなっている身からすれば、6年前ともなると遠い昔日の出来事のようでもある。大平集落に向かうのも懐かしさが漂った。集落の終点が大平公民館でここが除雪の終了点にもなっている。この公民館に車をデポして天元台へと向かった。天候は快晴とはゆかないもののまずまずの好天というべきだろうか。しかし北望台に上がると雪質はたいへんな状況であった。たぶんに雨でも降ったのだろうが、そこへもって冷え込んだために、今日はストックさえ刺さらないようなアイスバーンであった。出だしからスキーアイゼン着用となったが、アイゼンがない者はかなり難儀をしながらのシール登高となった。転倒すればゲレンデでさえも止まることができないのだから怖い。ある者はあげくにストックが折れたり曲がったりと散々であった。

 ようやく中大巓の山頂へと着けばとりあえず一安心だ。そこからはシールをはずして人形石へと滑って行く。人形石から藤十郎へは至近距離だが急ぐ必要もないので風を避けながら小休止となる。目前にはこれから滑り降りて行く尾根筋がはっきりと見て取れた。藤十郎まではひと滑りだがここもまだアイスバーンが続きスキーは恐ろしいくらいによく走った。藤十郎からは早くも滑降の始まりだ。目標は間々川の対岸に聳える箕輪である。最初は堅い雪面にみな恐る恐る下った。しかし用心をしていても転倒するものが続出する。新雪もところどころにあるのだが、部分的にはスキーのエッジさえ効かない箇所があり、転ぶと雪面はまるでコンクリートのようであった。その雪質がようやく変化し始めたのは100mほども下った頃だろうか。堅いベースに適度な積雪が載った状態となり、予想外の快適な滑りの始まりとなった。

 高度が1600m付近まで下ったところでようやく逆コースを登ってきているメンバーと出会った。二人は早朝6時半に登り始めたというからここまで結構な時間がかっている。合流後は全員一緒に下ることとなりひとまず昼食兼大休止だ。総勢12名にもなり、今日のツアーはさらに賑わいが増したようだった。この辺り一帯は例年だと樹氷が一面の尾根筋なのだろうが今日の樹氷は見る影もなかった。反面、オオシラビソを覆っている霧氷は今日の厳しい寒気のおかげで、思わず見とれてしまうほどの美しさを感じさせた。

 休憩地点から間々川の渡渉点までは一気に下って行く。途中からダケカンバ帯となると周りの景色は一変し、急に明るさが増したようでもあった。間々川はほとんど雪で埋まっていて渡渉は全く問題なかった。対岸からはシールを再度貼りなおして1393mピークへと向かう。この一帯もダケカンバが目立つ所で、うっとりとするような光景が広がっている。前回訪れたときもそうだったが、まるで夢の世界へ急に飛び込んだような景色が展開するところだ。

 1393mピークからはさらに快適なツリーランの始まりとなった。適度な斜度はテレマークスキーにこそ相応しい感じがするようだ。極上の雪質と積雪はバックカントリーの天国を思わせる。風を切り木立を縫ってゆく爽快さは思わず歓声をあげたくなるほどであった。

 そのツリーランも林道の道形が現れる頃にはほとんど終わりとなる。不忘閣ヒュッテはいつのまにか取り壊されてしまい跡形もなくなっていた。林道からはさらに斜度が緩み降雪直後だと下りラッセルとなりかねないところだ。前回も大平集落までは延々と深雪のラッセルだったことを思い出す。ところが、今回はワックスをかけたこともあるのだろうが、林道はそれこそ飛ぶようなほどにスキーがよく走ったのである。林道は距離もかなりあるので時間がかかるところだが、今日はその長さがかえって嬉しいばかりであった。春の爽やかな風を切りながらスキーを走らせるているとたちまち大平集落が近づいていた。毎年全層雪崩が起きているという箇所を足早に通り過ぎればまもなく車道に飛び出す。車道もまだまだ積雪が残っていた。さらに田園地帯もスキーは良く走り、気付いてみれば駐車地点まではもうまもなくであった。


北望台から望む飯豊連峰


コース概要
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