山 行 記 録

【平成21年2月15日/吾妻連峰 大沢下り



東大巓目前



【メンバー】西川山岳会(柴田、上野、山中、荒谷、神田、大場、蒲生)、ゲスト(武田夫妻、阿部兄、丹野)
【山行形態】日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】中大巓1,964m、東大顛
【地形図】(2.5万)天元台、(20万)福島
【天候】晴れ
【温泉】米沢市「鷹山の湯」500円
【参考タイム】
天元台リフト終点(北望台)9:50〜中大巓10:20〜人形石10:25〜藤十郎のコル11:15〜東大巓12:00〜明月荘12:10-13:00〜砂盛通過13:40〜放牧場14:40〜大沢駅15:30
  
【概要】
 今日の集合場所である「鷹山の湯」にはなんと11名もの仲間達が集まった。予定では栂森だったのだが雲ひとつないような快晴の吾妻連峰をみて、急遽大沢下りへと予定が変更となったものである。どちらにしても大沢駅には向かわなければならないので、この変更はきわめて簡単に決定した。こうして全世帯が10世帯あるかないかの小さな大沢集落に、一挙に10数台もの車が入ってゆく。集落内は早朝から季節外れのお祭り騒ぎのような賑わいとなったのはいうまでもない。大沢駅からは列車とバスを乗り継いで天元台へと向かった。大きなザックとスキーを担いだ僕たちはしばし旅人としての時間を楽しんだ。

 ゴンドラとリフトを乗り継げばそこは1830mの北望台。ここでは濃霧と冷たい風に晒されてしまい今後の雲行きが少し不安となる。さらにシールを貼っているとストックも刺さらない堅い雪面にみんなスキーアイゼンを装着した。しかし、いざ登ってみると雪は適度に柔らかく、シール登高にはいささかの支障もなかった。さらに人形石までくると雲から抜け出したらしく急速に天候が回復した。前方の東大巓やこれからめざす明月荘まで見える程まで青空が広がったのである。

 こうなるともう春山気分。人形石からはシールをはずしていざ滑降の開始である。あいにく雪面は堅くてパウダーどころではなかったが、逆にスキーは走りすぎるほど走った。たちまち鞍部まで着いてしまい、ほどなく藤十郎のコルへと着いてしまった。11人ものメンバーなのに、こんなに早くて本当に良いのだろうかとさえ思えるほどのすばやさであった。春のような日射しを浴びながらゆっくりと一休みする時間は心地よいものであった。大沢下りの目玉はもちろん長過ぎるほどの滑走距離なのだが、それ以上に楽しいのはこうして好天に恵まれたときの弥兵衛平付近だと僕は考えている。そういった意味で今日は願ってもない一日のような気がした。そんな気持ちも通じたのかもしれない。トップをゆく隊長からは東大巓をどうするかという無線が入る。こんな天候はそうないだろうということで東大巓を久しぶりに踏んでみることになったものである。この辺りは例年ならば広大な樹氷原地帯なのだが、今日ばかりはそうはゆかない。昨日までは山頂でも雨が降り続くという信じられないような事態に、樹氷はみる影もないほどの無惨な姿をさらしていた。

 樹氷はがっかりだったが雪面が堅いだけに登りは楽勝だった。たちまち東大巓の山頂へと着いてしまい、めざす明月荘は目前となった。ここからは明月荘まで一気に滑り降りて行く。パウダーとはほど遠い雪面だがこんなことも山スキーでは当たり前なのだろうと今回は諦めるしかない。明月荘では先客のパーティが休憩中だった。僕たちは小屋の中で休憩をとることにした。休んでいる間もツアースキーの人達がやってくる。関東からの入山者も多く、みんな大沢下りを目的に繰り出してきたようだった。

 明月荘からは本格的な滑走となる。くじらの大斜面まで推進滑走で進めばあとは自由奔放に弾け飛んでゆく。11名もの大所帯だとまさしくゲレンデを飛び交うスキーヤーとほとんど変わりがない光景だった。アオモリトドマツの間を縫ってゆけばほどなく忠ちゃんの大斜面だ。ここではかなり前に小屋を出たはずの先客たちがまだ斜面に貼り付いているところだった。忠ちゃんはいつもの深雪とはちがって今回ばかりは難儀な斜面である。それでも考えようによってはいつもの楽しいところに変わりはなかった。みんなの表情からは終始笑顔が絶えなかった。渋川の上部をトラバース気味に横断し、そこからは砂盛直下をめざしてしばらく歩きとなる。歩きとはいってもシールは不要だった。まもなく放牧場が眼下に見渡せる場所までくればそこは砂盛のコル。目の前には栂森がそびえ立っていた。

 長い休憩時間が終われば最後の滑走となる。ここも無木立の斜面に続いてツリーランが続くところだが、まだまだ風は冷たく雪面は少しも柔らかくならなかった。しばらく騙しながらの滑走もやむを得ない。まあ、へたな下りラッセルよりはよほど快適ともいえそうではある。林道にでれば楽しかったツアーも終盤だ。林道の途中からは放牧場の上部へと進入する。今日はこうした道草がなんとなく多い。これもみな今日の好天のおかげである。この付近まで来るとさすがに気温は高くなり雪は悪雪ともいえる湿雪となっていた。こんどは直滑降でもブレーキがかかるほどスキーは走らなくなっていた。

 放牧場からはスノーモービルの踏跡もあってスキーはよく走った。4km近い距離もスキーが走れば早い早い。たちまち大沢駅が近づいていた。途中で大沢スキー場に立ち寄ってみると、今日は何かイベントがあったらしく、大勢の子供達のものらしい踏跡が一面に散乱していた。祭りは少し前に終わったものらしく、まだ付近には名残が漂っているようだった。大沢スキー場からは大沢駅に滑り込み、楽しくそして長い一日のツアーが終った。


人形石で急速に天候が回復する(遠方は東大巓)


人形石付近から滑降の機会を伺う


広大な弥兵衛平を歩く(後方は中大巓)


東大巓山頂


砂盛のコルで一休み


今回のコース概要

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