山 行 記 録

【平成21年2月8日/St.MARYスキー場〜雁戸山



風雪のゲレンデを登る



【メンバー】3名(柴田、神田、蒲生)※西川山岳会
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】雁戸山(※1220m地点まで)
【地形図】(2.5万)笹谷峠、今宿(20万)仙台
【天候】風雪のち曇り
【温泉】るぽぽ川崎 500円
【参考タイム】
St.MARYスキー場第1リフト終点(570m)8:10〜ゲレンデトップ(940m)9:20〜1220m地点10:50-12:00〜岩下沢〜ゲレンデトップ〜St.MARYスキー場13:45
 
【概要】
 今日の宮城県内は暴風警報が発令されていた。St,MARYスキー場も朝から風雪であった。今日は少し行程が長いので早めにゲレンデトップまで行きたかったのだが、最終リフトはおろか2番目のリフトさえ動かない。山を見上げれば真っ黒い雪雲が居座っていて稜線は見えなかった。今日の雁戸山は大荒れのようであった。

 今日のような悪天候の時には自分の足で登るのが一番楽しいものである。僕たちは第1リフト終点からシールを貼って黙々と登り始めた。当然ながらスキー客もいないので静かなゲレンデが3人だけの貸し切りだった。バージンスノーのゲレンデに僕たちのトレースが後ろへ後ろへと伸びてゆく。このゲレンデ登りの標高差は約400m。他に人の姿もないのでこのハイクアップは山スキーらしい雰囲気もあって結構楽しいものであった。

 ゲレンデトップには1時間ちょっとのラッセルを経てようやく登り着いた。ゲレンデの荒れ模様は少し治まり穏やかなものになっていた。しかしここまで登ってくると1000m近い標高だけあってさすがに風は強い。樹林帯に潜り込んでしばし風雪を避けながらの小休止とする。

 ゲレンデトップからはいったん沢に下らなければならない。そして降り立ったところから適当な尾根にとりつくのである。ここも結構急斜面のため取り付くまでに苦労するところだ。しかし尾根にあがってしまえばあとは時間をかけて登るだけである。スキー靴程度のラッセルだがトップになると少しきつい。ブナの疎林帯は下りの滑降ルートを想像しながら登った。天候は回復傾向だろうと考えていたのだが山はなかなか晴れる兆しがなかった。逆に風雪は激しさを増し、時々視界を遮るような風雪が樹林を突き抜けてきた。

 こんな時には早々に森林限界を山頂と決め、ツェルトを張って大休止しようかと意見がまとまる。山頂へこだわっていては楽しいものも楽しくなくなるのだ。1200mを過ぎた辺りで今日の山頂はここぞと決めてツェルトを張ることにした。すでに森林限界ということもあって風の強さはハンパではなかった。

 ツェルトを張る場所としてはもったいないほど時間をかけて整地を行った。風雪は相変わらずだったがツェルトに潜り込むと天国となった。体を寄せ合いながら温かい飲み物などを何杯も飲むと冷え切った体が少しずつ温まった。ツェルトの中ではたちまち時間が過ぎてゆく。1時間以上も休んでいたおかげで体が温まった反面、そのぶんだけ外に飛び出したときの冷え込みは厳しいものがあった。手先の感覚がほとんどなくなるほどでさらに体も震えがきていた。こんな場所で長居もしていられない。急いで滑降に移ろう。

 悪天候のおかげもあって雪質は最良の状態を保ってくれていた。下りは快適であった。狭い樹林を抜けてゆくと次第にブナの疎林帯となる。広い斜面に出るとカメラを頻繁に取り出してビデオ撮影などを楽しんだ。時間をかけて登ったところもスキーで下れば早い。たちまち僕たちは沢底へと降り立った。ここからは偵察と称してそのまま沢なりに下ってみようとなった。うまくゆけば登山道へと行き着くだろうという目論見である。しかし快適に沢中を滑ったのもつかの間で、まもなくすると大きな滝が前方に現れて進めなくなる。20数メートルはあろうかという氷瀑が目前に聳え立ち、沢底が見えないほど大きく真下に落ち込んでいた。これでは命がいくらあっても足りない。両側は切り立った断崖でもある。半分は想定内だったこともあってそれほど落胆することはなかったが、いささかがっかりしたのは否めない。そこからは下ってきた沢をシールでとぼとぼと引き返した。後からわかったことだがここは水無沢の上流部で僕たちは岩下沢を下ったようであった。

 引き返す沢の途中から見当をつけて適当な斜面へ取り付いた。ここも結構なラッセルと急斜面に知らず知らず喘ぎ声が漏れるようだった。しかし尾根は間違っていなかったらしく、しばらくすると斜度も緩んで前方からはゲレンデの賑わいが聞こえてきた。ゲレンデトップからはスキーセンターまでだらだらと下ってゆくだけである。いつのまにか天候は少し回復していたらしく、ゲレンデででは大勢の家族連れなどでにぎわっていた。


コブ斜面のラッセルが続く


1220m付近で大休止


滑降の時


滑降の時


氷瀑が現れる



コースマップ


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